ヒュンダイ・グレンジャー
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ヒュンダイ・グレンジャー(Hyundai Grandeur)は韓国の現代自動車が生産する高級セダンである。
車名である「グレンジャー(Grandeur)」とは、英語で「壮麗」「壮大」を意味する。日本では3代目モデルから輸入が開始された。
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[編集] 歴史
[編集] 初代(1986年-1992年)
それまでノックダウン生産されてきたフォード「グラナダ」に代わるフラッグシップモデルとして、またソウルオリンピックを前に、同大会の公式スポンサーだった現代自動車が、訪韓する各国のVIPの送迎車として、提携していた日本の三菱自動車に開発を依頼し、三菱「デボネア」の2代目モデルのライセンス生産車として1986年に発売された。
当初直列4気筒2000ccエンジンにマニュアルトランスミッションのみの設定だったが、後に2400ccエンジンやV型6気筒3000ccエンジン、オートマチックトランスミッションなどを装備したグレードも追加され、韓国国内におけるトップセラー車となっていった(ちなみに一般向けの2代目デボネアにマニュアルトランスミッションの設定はなかった)。
[編集] 2代目(1992年-1998年)通称・ニューグレンジャー
初代から一歩進んだ形で、三菱自動車との共同開発車となり、3代目デボネアの兄弟車として1992年に発売された。直列4気筒2000cc~V型6気筒3500ccまでのラインナップを誇り、韓国国内の高級車市場においてトップシェアを維持し続けた。初代との区別から「ニューグレンジャー」と呼ばれた。
なお、1996年には、本車をベースとした上級車「ダイナスティ」が発売され、更に1999年には、最高級車「エクウス」(三菱・プラウディアの兄弟車)が発売された。
その後ダイナスティは2005年に生産を終えたが、エクウスは現在も生産されている。
[編集] 3代目(XG型、1998年-2005年)グレンジャーXG
1998年発売。韓国では「グレンジャーXG」とサブネーム付きの車名になった。「グレンジャー」の名称を承継はしたが、実質的には1995年に発売された「マルシア」(2代目ソナタベースのミディアムサルーン)の後継車であった。 2002年モデルより「ニューグレンジャーXG」としてマイナーチェンジ。初期の韓国国内のモデルではテールライトの形状をL型テールにしていた(通称:LテールXG)が、韓国国内では不評であったらしく後のモデルで輸出用のテールとほぼ同じデザインになった。
なお、日本も含めて海外市場へは「ヒュンダイXG」の名称で輸出された(ヒュンダイ・XGの項目を参照)。
[編集] 4代目(TG型、2005年-)通称・グレンジャーTG
韓国で2005年5月に発売。開発コード名から「グレンジャーTG」とも呼ばれる。エンジンは、当初は新型のV型6気筒2700cc(デルタ(δ)エンジン)と3300cc(ラムダ(λ)エンジン)の二本立て、翌年3月に3800ccエンジン(λエンジン)を搭載したモデルが追加されている。また、2700CCのLPIエンジン(LPG車のインジェクションタイプ:液状でLPガスを噴射する高性能エンジン)も2005年8月に追加されている。
2005年末には北米市場にも3800ccエンジン(λエンジン)を搭載したモデルが「アゼーラ(Azera)」の名称で投入されている。
発売からわずか約1ヶ月でフロント部分の外装のデザインの一部が変更されている(具体的には、韓国国内仕様車専用装備だったボンネットマスコットの装備を取りやめ、代わりにフロントグリルの中心部にヒュンダイのCIロゴタイプのエンブレムを配した、他国向けの輸出仕様車と共通のデザインとなっている)。
2007年3月には2400cc(シータ(θ)エンジン)を搭載したモデルが追加された[1]。
[編集] 日本仕様車(2006年-)
日本では2005年の東京モーターショーに参考出品し、翌2006年1月に発売が開始された。ボディサイズは先代のXGよりも拡大され、全長4895mm、全幅1865mm、全高1490mmとなり、トヨタ・クラウン(全長4840mm、全幅1780mm、全高1470mm)や日産・フーガ(全長4840mm、全幅1795mm、全高1510mm(4WDモデルは1525mm))を上回る大きさを持つ。
エンジンはCVVT(連続可変バルブタイミング機構)搭載のV型6気筒DOHC(234馬力(6000rpm)・31.0kg-m(3600rpm)、排気量3300cc)のレギュラーガソリン仕様であり、グレードは基本グレード(タイヤサイズ225/60R16)の3.3GLS(税込299万2500円)と、サンルーフ等を装備する上級グレード(タイヤサイズ235/55R17)の3.3GLS Lパッケージ(税込339万1500円)の2種類である。
また、同年10月30日より量産輸入車としては日本初のLPIモデル(グレンジャーLPI)が発売になった。
エンジンはLPI(電子制御LPガス液状噴射システム)(先進型LPG車)搭載のV型6気筒DOHC(165馬力(5400rpm)・25.0kg-m(4000rpm)、排気量2700cc)のLPG(オートガス)仕様であり、グレードは基本グレード(タイヤサイズ225/60R16)の2.7 Q270(税込297万1500円)と、17インチホイール・プレミアムサウンドシステム等を装備する上級グレード(タイヤサイズ235/55R17)の2.7 Q270 Lパッケージ(税込328万6500円)の2種類である。
量産輸入乗用車でLPG車が、日本で型式を取得した例は初めてであり、またLPG車で電子制御噴射式が自動車メーカーから発売されるのも初めてである。また、日本国内で発売される量産LPG車としても史上初の100Kwを超え、121KW、価格もガソリン車と殆ど変わらず、燃料費も1L当り70円と安い為その動向が注目されるモデルである。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ヒュンダイ自動車・グレンジャー公式サイト(韓国語)
- ヒュンダイモーターアメリカ・アゼーラ公式サイト(英語)
- ヒュンダイ自動車・グレンジャーカタログページ(韓国語)
- ヒュンダイモーターアメリカ・アゼーラカタログページ(英語)
- ヒュンダイモータージャパン・グレンジャー クルマ紹介(日本語)
- 現代グレンジャーファンサイト(日本語。本項目作成に際し、参考資料とした)