バンドブレーキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バンドブレーキは、円筒形の回転体の外周を、帯状の摩擦材で締め付ける形式のブレーキであり、各種産業機械や、一部の自動車用自動変速機などにも使われているが、本記事では自転車の後輪に使用されるバンドブレーキについて述べる。
目次 |
[編集] 構造
車輪のハブにねじ込まれた円筒形のブレーキドラムを、薄い鋼鉄製の帯に摩擦材を貼り付けたバンドで押さえつける。バンドと、バンドを締め上げる機構が、鋼板製のパネルに組み込まれており、これがブレーキシステムを覆い隠すカバーを兼ねている。(しかし裏面は開放状態であり、摩擦面が外部に露出しているため、雨中を走ると水濡れにより制動能力が一気に落ちる)これだけの簡単な構造である。
[編集] 現状
過去の長きにわたって、一般的な自転車の後輪用ブレーキとして使われてきたが、使ううちに音が大きくなる欠点があり、後に現われたサーボブレーキやローラーブレーキの普及により、近年は時代遅れの形式とされている。しかしその構造ゆえに価格が安いため、量販店向けの低価格な自転車には使用され続けている。できるだけ購入時に他のブレーキに付け替えるか、最初から違うブレーキを付けた物を選ぶのが望ましい。晴天では短い時間で強いブレーキ力を得られるため、テールスライドに興ずる少年達に好まれる。(ローラーブレーキではテールスライドに不向きであるので、敢えてバンドブレーキ付き車輪に換装する事もある)
[編集] 禁止事項
音防止のため油などを塗る者があるが、これは絶対してはならない。バンドブレーキ貼付のシールにも記されている。制動力が極度に落ち、場合によってはバンドから摩擦材が剥がれ落ちる可能性も出てくるためである。
[編集] 搭載車
先にも書いたように価格が安いため、スーパーやホームセンターの特売で売られるような、安価な軽快車、子供用車に付けられる。
[編集] 健康への懸念
過去に摩擦材に石綿を含むものもあったが、石綿の毒性が知られ国内では使用されなくなった。しかし2005年に、国内ブレーキメーカーが中国で操業する工場で生産したバンドブレーキの摩擦材に、石綿が含まれていることがわかり、その多くが子供用自転車に使われていたこともあって社会問題となった。中国製の素材を採用する際に、充分な検討を怠ったと見られる。同社製や、他の中国製バンドブレーキを採用していた自転車メーカーでは対応に追われた。このさい回収などの対策から漏れた物や、非常に古い物には石綿が含まれている可能性がある。