バンダイホビーセンター
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バンダイホビーセンター(BANDAI HOBBY CENTER)は、静岡市葵区にあるバンダイホビー事業部の事業所兼工場。2006年3月1日に旧静岡工場(静岡ワークス)より移転、稼働を開始した。同社が販売している『機動戦士ガンダム』のプラモデル(ガンプラ)の、国内唯一の製造拠点。
[編集] 概要
バンダイホビー事業部は元々静岡市清水区にあった静岡ワークスでプラモデルの設計、製造を行っていた。静岡ワークスは当初今井科学の模型工場であったが、今井科学の経営悪化に伴い1969年に同社より建物設備を買い取り、サンダーバードや昆虫等のプラモデル製造を開始。1980年からはガンプラの製造を開始し、以後バンダイのプラモデル事業の最重要拠点として稼働してきた。
2004年、ホビー事業部の佐々木克彦(現ホビー事業部 ホビーセンター長)がホビーセンター建設構想を社内で取りまとめ会社に提案。承認され、翌2005年に日東紡静岡工場跡地である現在地を静岡県土地開発公社より取得、建設が開始される。
2006年2月、バンダイホビーセンターが竣工し、静岡ワークスの移転と同時にそれまで別建物だった成形工場、金型工場といった製造工場を全て集約した。併せて製造ラインもほとんどが自動化され、製造効率の向上が図られている。
建物内にある製造ラインには東芝機械と共同開発した、世界で唯一の4色多色射出成形機[1]が17台配備され稼働している。この多色射出成形技術はバンダイの特許となっている。
現在はホビー事業部が展開するプラモデルの企画・開発・試作・製造をこの建物内で一貫して行っている[2]。
[編集] 特徴
国内唯一のガンプラ製造拠点として、機動戦士ガンダムの世界観を随所に取り入れている。一例として、建物外壁の高さは初代ガンダムの(設定上の)高さと同じであり、壁面には同作品に関わるエンブレムやイラスト等が掲出されている。製造ラインにおいても、プラモデルの部品を製造する射出成型機はホワイトベース、自動搬送機はザクやシャア専用ザクを模した装飾がそれぞれ施されており、また従業員は全員地球連邦軍の制服を模した作業着を着用しており、袖には社内の役職に応じて階級章が付けられている。
他にもガンダムへのこだわりが徹底しており、同作品のファンや、特にガンプラの愛好者からは「ガンプラの聖地」と呼ばれることもある。またアニメ『ケロロ軍曹』に登場する「ガンプラ工場」は、静岡ワークスやバンダイホビーセンターがベースとなっている(ただし作品中に登場する建物はフィクション)。
世界観へのこだわりだけでなく、環境対策にもこだわった造りとなっており、壁面に太陽光発電パネルが埋め込まれており施設の電力の一部を賄っているほか、雨水や地下水の再利用システム、ゼロ・エミッションの実践など徹底して環境負荷低減に取り組んでいる。
施設の一部は見学できるようになっており、1階エントランスには1979年からホビー事業部で発売したプラモデルの展示コーナー、2階は実際の製造ラインが見学できる通路や店舗の陳列サンプルが設置されているプロモーションルーム、過去の貴重な資料が展示されているアーカイブコーナー、3階は実際に従業員が勤務している事務室や試作用の光造型機「エデン」などを見ることができる。見学は日時、定員指定の完全予約制であるため、毎回見学希望者が多数に上り抽選になるほどの人気となっている。
2008年5月17日~18日に開催された第47回静岡ホビーショーに合わせてパブリックビューイングと題し、2日間限定で初めて1階および2階の一部の見学コースが一般開放された。
[編集] 脚注
- ^ 普通の射出成形機は1つの金型で1色しか成形できないが、多色射出成形機は特殊な金型と複数の樹脂注入口を設けることで、複数色の樹脂を色分けされた1つの部品として成形することができる。一般的に多色射出成形機で一度に成形できるのは2色までだが、バンダイでは独自の技術により1つの金型で一度に4色の成形が可能となっている。
- ^ 外箱および説明紙の印刷・梱包・出荷は静岡市内にある複数の委託会社で、営業・プロモーションは東京都台東区の本社で行っている。
[編集] 外部リンク
- BANDAI HOBBY CENTER
- バンダイホビーサイト
- 機動戦士ガンダム0083 web - 静岡ワークスの外観やホビー事業部の沿革が掲載されている。