バルカン (惑星)
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バルカン(英語:Vulcan)は、水星の更に内側に軌道を持つとされる惑星である。望遠鏡の精度の向上と、サングラス・フィルターを使用しての太陽光球面の実視観測において発見が報告された。後に、水星の近日点移動が説明できることが分かり、仮説として存在が想定された惑星である。しかし存在が確認できず、現在ではバルカンは存在しないとされる。
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[編集] 命名の由来
水星よりも更に太陽に近い軌道を取っており、その表面は非常な高温であると考えられる。このため、ギリシア神話では鍛冶の神であるヘーパイストスに対応する、ローマ神話の火の神ウルカヌスに因んで命名された。バルカンは、ラテン語名ウルカヌスの英語での形を日本語で慣用的に表記した名である。
占星術用語としては、高炉星と訳されることもある。
[編集] 概説
[編集] 水星近日点移動
19世紀当時は、天文学界は外惑星の軌道の摂動から海王星の存在を予言することに成功したところであり、水星軌道の問題も同様に解決できるのではないかと考えられた(1846年、パリ理工科大学の天文学講師ユルバン・ルヴェリエがバルカンの存在を提唱した。ルヴェリエはまた天王星などの軌道の摂動から海王星の位置を予測し、それをもとにヨハン・ガレが海王星を発見した)。
その後、幾つかのバルカンの存在を示唆する観測結果は報告されたものの、決定的で再現性ある報告はなくバルカンの存在は否定的に考えられるようになった。
水星の近日点移動は、アインシュタインの一般相対性理論によって解決可能であることが示唆され、歴史的な日蝕観測を通じて、一般相対性理論の妥当性が検証されると共に、この問題も、仮説の惑星バルカンの摂動による説明は主流から外れた。
[編集] バルカン・リング
ただし、当初の一般相対性理論による近日点移動の計算数値は、観測誤差から言えば正確なものとは言えなかった。バルカンを一個の天体とするのではなく、バルカン軌道に存在する多数の微小天体群の摂動を考えれば、これによっても水星の近日点移動が説明可能なことも主張された(バルカン族仮説)。しかし小惑星では観測されないので、もっと微小な塵の集合リングが想定されたが確認されていない。
[編集] バルカンの夢
バルカン仮説は科学の仮説としては主流の地位を失ったが、そのユニークな説はSF作家(ことにスペースオペラの作家)に好んで使われることがある。
また、現在では小惑星において、バルカンと同様の軌道を周回するバルカン族(Vulcanoid Asteroid)という族が仮説として提唱されており、捜索されているが2007年現在一つも発見されていない。
更に、2006年に惑星の定義が明確にされ、仮に微小天体群としてのバルカンが見出されたとしても、惑星には分類されない。