ハルマゲドン
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ハルマゲドン(希:Ἁρμαγεδών Harmagedōn 英語などの Armageddon は、語頭の気息音を無視した形)とは、新約聖書中ヨハネの黙示録(16:16)が記述する、世界の終末における、善と悪の最終的な決戦(世界最終戦争)の場所である。ヘブライ語で「メギド Megiddos の丘(山)」を意味するという説が有力で、「メギド」はイスラエルに実在する地名である。メギドは何度も大きな闘いの戦場になったため象徴的に世界最終戦争の場所として述べられているだけという考えもある。著名なものに、古代エジプトのナポレオンと呼ばれたトトメス3世のメギドの戦いなどがある。
後に意味が転じて、この戦い、すなわち世界最終戦争そのものの意味で使われるようになった。
[編集] キリスト教における位置づけ
ヨハネの黙示録(16:16)によると、善と悪の最終決戦がハルマゲドンで行われた後、神(とイエス)が降臨し、キリスト教の教えに忠実に生きてきた善人のみを救い出し、1000年続く王国(ミレニアムキングダム、千年王国)をつくりだす(いわゆる最後の審判)としている。すなわち、ハルマゲドンの後には千年王国が誕生するわけであり、一般的な日本での捉え方(人類滅亡)とは異なっており、比較的肯定的な捉え方をしている。なお、仏教における終末論(末法思想)と似ているので何らかの関連性も指摘されている。
[編集] 現代の文化との関わり
SF小説・SFアニメ・SF映画などサイエンス・フィクション作品にも、この構図は使われつづけている。映画『アルマゲドン』は善と悪の決戦を描いたものではないが、“巨大小惑星の地球への衝突、そしてそれによる地球上の全生物の滅亡”という、その終末的雰囲気からこの名をつけたのだろう。
日本では、1995年の地下鉄サリン事件以降、オウム真理教がその教義においてハルマゲドンの到来を主張していたことがワイドショーでたびたび報じられ、キリスト教信者でない者にもこの単語が広く知られるようになった。
[編集] 備考
善と悪との最終決戦という二元論的図式は、キリスト教に先行するユダヤ教に由来する。(最後の審判)
さらに善悪二元論は一神教のユダヤ・キリスト教的思想のものというよりも、異教の思想である(元はゾロアスター教の思想)。そのため、聖書を重視した宗教改革時代のマルティン・ルターでさえヨハネの黙示録を嫌悪している。