ハイスピードカメラ
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ハイスピードカメラ(High speed camera)とは、高速現象を撮影することを目的としたカメラ装置である。 古くは旧来のフィルムを記録媒体に用いたフィルム式ハイスピードカメラ(フィルムを高速回転し撮影)が主流であったが、現在では記録部に半導体デジタルメモリ(DRAM)を用い記録速度を速めたものが主流となっている。デジタル記録方式のカメラ技術が進んだためフィルム方式のハイスピードカメラはその取り扱いの煩雑さやコストの面からもほぼ終息した。但し、フィルムが持つ情報量はデジタルのそれを遙かに凌駕しており、解像力を重視する映画やCMの現場、濃度情報を重要視するテーマ(燃焼など)を抱える研究・開発系の現場ではまだフィルムカメラが多用されている。ただ、確実にこうした業界へもデジタル方式のハイスピードカメラは浸透し始めており、フィルム式ハイスピードカメラの稼働率は確実に低下している。
※ハイスピードカメラとハイスピードシャッターカメラを混同するケースがあるが、”ハイスピードカメラ”は1秒間に30フレーム(コマ)を超えるフレーム(コマ)を連続的に撮影する事が出来るカメラのことであり、”シャッターカメラ”はあくまでも1フレーム(コマ)を撮影する間の露出時間が短いカメラのことを指す。
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[編集] 構造
フィルム式ハイスピードカメラの多くは書き落とし式を採用しており、 上記は間違いである。 多くはロータリープリズム方式である。 かきおとし式のハイスピードカメラは、35mmで300コマ程度までである。 ロータリープリズム方式より高画質である。 カメラに収められたフィルムのロールを高速で回し(送り)撮影を行う。書き落とし式のフィルムハイスピードカメラの撮影速度は、メカ駆動であることもあり最大で1万コマ/秒程度が上限。(2万コマの機器は存在する。) フィルムをドラムに巻いて撮影する方法などで少ないコマ数ながらも100万コマ/秒を超える機器も存在する。 その機構上、目的とするコマ数にフィルムを送る速度が達するまでの立ち上がり時間が必要で、実質的に目的とする速度に達した後に定速撮影出来る時間は数秒程度が一般的となる。また、フィルムを高速で送るためフィルムの最後の部分がカメラ内で暴れ粉々に砕けるため、次の撮影を行う場合はカメラの機構部分を分解するなどして念入りな清掃作業が必要となり、繰り返し撮影を行う場合は相当なる時間を要する。
デジタルハイスピードカメラの構成要素はビデオカメラと大差ないが、大別すると一体型と分離型が存在する。一体型はカメラのボディー内に記録用メモリーや処理系の回路を内蔵し、筐体としては1つのハードで構成される。分離型はセンサーとその周辺回路以外の機能を持たない小さなカメラヘッドと、専用のカメラケーブルで結ばれたメモリや処理系の回路を内蔵した本体部分で構成される。こうした外観の違いは使用される環境や目的を考慮した結果である。また、撮影後の画像データを保存する必要がある場合は更にパソコンが必要なる。パソコンとの接続にはUSB、IEEE 1394、FIBRE CHANNEL、ETHERNETなど様々な形式があるが、どの接続方式を採用するかはメーカーの考えに依存している。また、一部の分離型ハイスピードカメラの中には本体部分に専用のボディーを使用せず、直接パソコンにカメラを接続し使用する物もある。
デジタル式の場合、撮影後すぐに映像を再生することが出来るため映像の評価がその場で簡単に行うことが出来る。また、繰り返し撮影を行う場合は再度録画ボタンを押すだけで良いため、手軽に繰り返し撮影が行える上消耗品も発生しないという特徴がある。この他、メモリ式カメラの最大の特徴としては、エンドレスループレコーディング機能が挙げられる。ビデオテープやフィルムを記録媒体に用いた場合は物理的に記録時間に限りがあるが、デジタルメモリーはその容量に応じた絶対記録時間内であれば、上書きを繰り返しエンドレス記録(リングバッファー)が行える(但し、この場合上書きされた映像は消えてしまう)。
ハイスピードカメラに使用されるセンサーの多くはCMOSでありCCDを使用したカメラは少ない。ハイスピードカメラに求められる最大の機能は、当然の事ながら高速で映像を撮影出来ることであるため、高速で電荷を読み出せるCMOSの特徴がマッチするためである。ただ、CMOSはCCDに比べ感度やノイズの点で不利な場合が多く、こうした問題点を如何に解決するかがセンサー開発の鍵となる。
最近では高画質・高感度なCMOSセンサーが開発され始め、少しずつハイスピードカメラに採用されるケースが増えつつある。しかし、こうしたハイスピードカメラに使用出来るセンサーが手軽に入手出来る様になったことから、ハイスピードカメラのメーカーが乱立しており、ユーザーの立場から見れば使用する場合に選択の幅が広がったとの利点もある代わりに、機能や性能・特徴を表示したカタログやWEB上での表現が分かりづらいために、目的とする機能・性能を得ることの出来ない製品を誤って選択してしまうケースがあるので注意が必要。
[編集] 用途
主には工業系計測装置としての用途とエンターテイメント系の制作用途に分類される
(工業系)
- 自動車の衝突安全性の試験、運転者や同乗者が衝突時にエアバッグで適切に保護されるかなどといった状況の撮影
- 半導体生産装置(マウンター、ワイヤーボンダーなど)の不良動作解析
- 各種製品や材料などの落下・衝撃試験
- スポーツ選手のフォームチェック、特にゴルフのスイングの解析や陸上選手の動作分析など
- 爆発現象、燃焼現象の解析
(制作系)
- 映画、CM、PV制作
- テレビに於ける各種スポーツ中継(野球/ピッチング、バッティングの瞬間、ゴルフ/インパクトの瞬間、テニス/サーブ、レシーブ、スマッシュの瞬間)
- テレビドラマやバラエティー系番組のハイスピードシーン制作
- ミニチュア撮影におけるスケール感の演出。
[編集] 補足
- ミルクの王冠(milk crown)は、フィルムカメラの時代には撮影が困難だったが、ハイスピードカメラを使用すれば難なく撮影する事ができる。
- TBS系の情報番組「ブロードキャスター」にも度々ハイスピードカメラを使った映像が放映される。