ネギトロ
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ネギトロとは、寿司ネタのひとつである。脂身を多く含むペースト状のマグロに万能ネギを散らしたものが一般的。形態は軍艦巻のほか、細巻きや手巻き寿司(ネギトロ巻)、丼物(ネギトロ丼)の材料にも使われる。
本来は大型の寿司店で、隠れメニューとして供していたもの。これは、ネギトロの材料が骨の隙間にある中落ちや皮の裏についている脂身をこそげ落として調理していたためであり、本マグロを1本丸ごと買い付けるような店でないと出せない代物だったためである。その後、回転寿司屋に代表される庶民的な価格の寿司屋などで、工業的な手法で調理した具材が出回るようになり一般的となった。
大量生産でかつビンチョウマグロなど安価な材料を使う、従来からのネギトロの調理手法では味が安定せず、サラダ油などを加え食感を向上させているもの(人工ネギトロ)がほとんどである。また、マグロに食味が似ているアカマンボウ(マンダイ)の身を配合したネギトロに似た「マグロたたき」も出回っており、消費者団体などが「食用油を加えるものはネギトロと言えない」と問題視したが、そもそも中落ちを使った本来のネギトロは高価なこともあり、シシャモなどと同様、偽物とも本物とも区別の付かないネタになりつつある。
ネギトロの「ネギ」は野菜のことではない。中落ちをそぎ取ることを「ねぎる」「ねぎ取る」といい、そこから付けられた名前。野菜のネギが入っていなくてもネギトロと呼ぶ。