ナイスゴーイングカード
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ナイスゴーイングカード(NICE GOING CARD)は、九州旅客鉄道(JR九州)が発行する若者向け鉄道割引カードである。1996年4月1日に登場した。
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[編集] 概説
入会すると、JR九州線に片道101km以上乗車する場合、在来線の乗車券・特急券などの切符が4割引(九州新幹線のみ又は在来線と九州新幹線を乗り継ぐ場合は3割引)になる。切符の種類は特別企画乗車券(特企券)だが、他の特企券と違い、途中下車ができる。入会資格は16~29歳の者で九州外の者も入会できる。有効期間は1年間で翌年の同月末日まで。有効期間内に30歳になった場合、カードの更新はできないが、すでに発行したカードは無効にならず有効期限までは使用できる。30歳の誕生月の誕生日前(すなわちまだ29歳のとき)に入会した場合、31歳の誕生月の月末まで使用可能ということになる。
[編集] 適用条件
- JR九州の路線であること(ただしグリーン個室・寝台特急・JR九州バスは除く。また山陽新幹線の博多~新下関間・博多南線はJR西日本線であり対象外)。
- 営業キロが101km以上となる区間の乗車券を購入すること。
- ナイスゴーイング割引の普通乗車券で乗車する場合(営業キロ101km以上の区間)、特急乗車区間が101km未満の営業キロであっても特急券を割引料金で購入できる。
- 利用できる日は、金・土・日・祝日および4月29日~5月5日・12月30日~1月3日の期間である(これ以外の日については、有効期間内であっても乗車できない)。
- 特急券は、グリーン席、DXグリーン席、ゆふDXのパノラマシート、ムーンライト九州の博多~下関間の指定券も割引料金で乗ることができる(787系電車(リレーつばめ等)の個室グリーン券等は除く)。また、廃止された寝台特急あかつきのレガートシートの下関~長崎間も乗ることができた。
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- ※例えば、12月27日が日曜日であり、12月27日通用開始の乗車券(4日間有効)を購入した場合、有効期限内(12月30日まで)であっても、12月28日および29日については乗車できない。なお、乗車券類の払い戻しについては曜日や日付の制限はなく、有効期間内または期間前においていつでも取り扱う。有効期限などの取り扱いは、対応する一般のJR九州の切符類に準じる。
[編集] 入会
以下の場所で入会手続きを取り扱い、年会費は500円。入会時に、会員カードとスタンプカード、ガイドブックが交付される(またカード更新時などに、旧版ガイドブックと引き換えに更新版を受け取れる)。
- JR九州のみどりの窓口
- JR九州のジョイロード各支店
- JR九州の駅旅行センター及び旅コーナー
- JR九州の沖縄支店
- 九州内にある一部の大学生協
郵送・インターネットなどによる手続きは行っていない。このほかJR九州以外の会社のみどりの窓口等では入会・継続入会を行わない。また、原則として、カードの再発行は行わない。
[編集] 適用切符の購入
- 適用切符の購入は、JR九州のみどりの窓口やJR九州が運営している旅行会社でのみ購入でき、列車内・一般の旅行会社・他のJRグループのみどりの窓口では購入できない。乗車後の割引料金での乗り越し、行先変更はできない。
- 発券時、きっぷに「ナイスゴーイング割引」というスタンプが押されるか、払い戻しや乗車変更に制限がある旨の注意書きが券面に印字される。
- 有効なNGC割引乗車券を所持している場合、発売箇所で会員カードと共に提示すれば別途特急券や座席指定券の購入ができる。
- 払い戻しは制限あり。実際に乗車した区間が101キロ未満の場合、(払戻額)=(購入価格)-(実際に乗車した区間の普通運賃)-(払戻手数料210円)である。
[編集] ナイスゴーイング2枚きっぷ
以下の区間では「ナイスゴーイング2枚きっぷ」として、通常の4割引よりもさらに安い値段で購入できる。
- 福岡市内~熊本・光の森:4,000円(1枚当たり2,000円、特急列車の普通車自由席利用)
- 福岡市内~長崎:5,000円(1枚当たり2,500円、特急列車の普通車指定席利用)
- 福岡市内~佐世保:4,000円(1枚当たり2,000円、特急列車の普通車指定席利用)
- 福岡市内~別府・大分:5,000円(1枚当たり2,500円、特急列車の普通車指定席利用)
利用条件は以下の通り。
- 有効期限は1ヶ月。通常のナイスゴーイングカード適用きっぷと同様に金・土・日曜・祝日及び4月29日~5月5日・12月30日~1月3日のみ利用可。
- 2枚きっぷ・4枚きっぷではピーク期の指定席利用の際に追加料金が必要になるが、ナイスゴーイング2枚きっぷでは追加料金なしに指定席の利用が可能。
- 途中下車は出来ない。
[編集] 下関駅について
この制度では、JR西日本との境界駅である下関駅までの切符・下関駅発の切符を購入することができるが、下関駅はJR西日本が管理・運営しており、JR九州の職員は配置されておらず、JR九州のみどりの窓口も設置されていないため、NGC割引適用切符は購入できない。そのため下関駅発の切符を購入する時は、事前に九州内の発売箇所で購入しておかなければならない。
[編集] 特徴
- 鹿児島本線 門司港~新八代(「リレーつばめ」等)から九州新幹線に乗り継ぐ場合の特急券は、通算で3割引となり、グリーン券も同様である。
- スタンプカードは、購入切符1,000円毎に1個押され、30個貯まると片道のグリーン席券が無料になる(1年間で30個に届かなかった場合は、1回の更新が認められ、2年目まで継続して貯めることができる)。このとき、乗車券+自由席特急券の値段でグリーン席に座れる。なお、「リレーつばめ」などのDXグリーン席は利用不可。
- ナイスゴーイング割引の乗車券類による乗車時は、共に会員カードを所持しなければならない。あわせて、乗務員・改札掛などから会員カードの提示を求められた場合、いつでも提示しなければならない。
[編集] ナイスゴーイング割引乗車券が101km未満の近距離乗車券よりも低廉となる場合など
ナイスゴーイングカード割引適用の101~120km区間の乗車券は、61~100km区間の無割引運賃に較べ、より低廉となる。例えば小倉から博多ゆきの普通運賃1,250円(経由:鹿児島本線)に較べ、ナイスゴーイング割引の小倉から久留米ゆき乗車券は1,240円(同)であり10円安くなるほか、途中下車もできる。(ただし福岡近郊区間内相互発着となる場合は下車前途無効。例:門司港から鳥栖ゆきのナイスゴーイング割引乗車券では途中下車出来ない)
このほか、乗車券の区間に九州新幹線が含まれる場合は割引率が一律3割となるため、九州新幹線新八代~鹿児島中央間を乗車し(3割引)、かつ、鹿児島中央または新八代両駅から起算し、営業キロが101kmを越える区間の在来線(単独乗車の場合、4割引)に乗車する場合、両駅で乗車券を分割購入した場合の方が、乗車区間を通算する切符に較べ、より安くなることがある。
[編集] 高速船ビートルの割引
JR九州高速船の運営する高速船「ビートル」(博多~釜山間)が平日に限り4割引で利用できる。
- 利用条件
- 平日(月曜~木曜)福岡発、往復購入に限る。
- 4月27日~5月6日・8月11日~8月20日・12月28日~1月6日の期間は利用できない。
- 有効期間は福岡出発から7日間。
[編集] 鉄道以外の割引
- ジョイロードが主催する国内外の旅行商品が最大5%割引。
- 鉄道・高速船ビートル以外にもレストランや様々な施設の入場料・レンタカーの割引などの多くの特典もある。
[編集] その他
- NGC登場時は往復利用が条件であったが、2002年4月より片道でも利用できるように改善された。これは、2001年10月に登場した「2枚きっぷ・4枚きっぷ」においてNGC割引よりも安くなる区間が現れたため、NGCの優位性を保つためと思われる。
- 「つばめ」や「にちりんシーガイア」がビュッフェ車を連結していた頃は、NGCを提示するとホットコーヒーが1杯貰えた。このサービスは現在、ビートルでのみ実施中。
- 以前は、キャナルシティ博多にあった福岡ジョイポリスではNGCを提示するだけで入場料が無料になっていた。現在ではジョイポリスの撤退とともに廃止になった。