トーマス・シェリング
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トーマス・クロンビー・シェリング(Thomas Crombie Schelling, 1921年4月14日)は、アメリカの経済学者・政治学者。メリーランド大学の教授であり、外交問題、国家防衛、核戦略、軍備管理などの問題を専門に扱っている。
シェリングの最も有名な著書は、1960年に発表された The Strategy of Conflict(紛争の戦略)である。この著書は交渉と戦略的行動に関する先駆的な研究を記述したものであり、1945年以降の西側諸国で最も影響力のある100冊のうちの1冊として賞賛された。
1971年、シェリングは論文 "Dynamic Models of Segregation"(住み分けの動学的モデル)を発表し、たとえ白人と黒人が隣同士で暮らすことに抵抗がなくとも、いつの間にか白人が多く居住する地域と黒人が多く居住する地域に分かれてしまう理由をゲーム理論的に説明した。シェリングはこの住み分け現象を隣人に対する寛容性あるいは我慢の強弱に起因するものであると仮定し、この論文は人種問題を扱う数多くの文献に引用された。
2005年、シェリングはゲーム理論の分析を通じて対立と協力の理解を深めた功績が称えられ、アメリカとイスラエルの二重国籍を持つ経済学者ロバート・オーマンとともにノーベル経済学賞を受賞した。
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[編集] 著書
[編集] 単著
- National Income Behavior: An Introduction to Algebraic Analysis, (McGraw-Hill, 1951).
- International Economics, (Allyn and Bacon, 1958).
- 高中公男訳『国際経済学』(時潮社, 1997年)
- The Strategy of Conflict, (Oxford University Press, 1963).
- Arms and Influence, (Yale University Press, 1966).
- Micromotives and Macrobehavior, (Norton, 1978).
- Choice and Consequence, (Harvard University Press, 1984).
[編集] 共著
- Strategy and Arms Control, with Morton H. Halperin, (Twentieth Century Fund, 1961).
- 『戦略と軍備管理』(防衛研修所, 1963年)
[編集] 編著
- Incentives for Environmental Protection, (MIT Press, 1983).
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ノーベル財団の公式ホームページ(英語)
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