デコポン
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?デコポン | ||||||||||||||||||
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デコポンの箱詰め |
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
(Citrus unshiu × C. sinensis) × C. reticulata | ||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||
しらぬひ(デコポン) | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
デコポンは、長崎県南高来郡口之津町(現・南島原市)にある農林水産省果樹試験場口之津支場(現・独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所カンキツ研究口之津拠点)で、1972年に清見(きよみ)タンゴールと中野3号ポンカンを交配して育成された柑橘類。
品種名は「不知火(しらぬひ)」。「デコポン」は登録商標で、不知火のうち一定の基準をクリアしたものだけが、その名を使用することができる。全国統一糖酸品質基準を持つ日本で唯一の果物である。全国の生産量の半分近くを熊本県産が占め九州各地が特に多い。
[編集] 特徴
果皮が一見厚いがむきやすく、じょうのう膜も薄く袋のまま食べられ種もほとんどない。加えて、糖度が高く食味にも優れることから、市場や消費者の支持を得、価格が低迷していた甘夏、ハッサク等に代わる有望な中晩生柑橘として、平成以降急速に栽培面積が増加した。
果形は果梗部にデコが現われやすく不揃いになりやすい、果皮は見た目が粗く成熟するとややくすんでしなびる、こういった外見上の弱点のため、育成試験場では選抜対象とはならず、品種登録されなかった。
しかし昭和60年頃、甘夏に代わる果実を探していた熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市不知火町)に、この穂木が正規の経路を経ずに流出し、食味が極めて良かったこと等から、栽培の取り組みが始まり、不知火海(八代海)沿岸の宇土半島、天草諸島、葦北地方などに広がった。
[編集] 名称
品種名の「不知火」は、最初に産地として穂木が持ち込まれ栽培された不知火町に由来する。正規の手続きを経ず産地へ流出したために種苗登録はされていない。熊本県では、不知火の中で糖度13度以上のものを選択して、「デコポン」の名称で商品化された。
「デコポン」、「DEKOPON」は熊本県果実農業協同組合連合会(熊本果実連)の登録商標(平成4年認可)で、いびつな外見上の特徴を逆にセールスポイントにしようとして命名された。
当初は熊本県産の「不知火」以外には「デコポン」の名称を付けることが禁止されていたため、他県の「不知火」には「ヒメポン」(愛媛県)、「キヨポン」(広島県。「ヒロポン」だと覚醒剤と同じ名称になり消費者へのマイナスイメージにつながるため)、「フジポン」(静岡県)や「ラミポリン」(鹿児島県)など別の名前が付けられ、市場・消費者の混乱をまねく結果となった。
このため、関係機関で協議した結果「デコポン」に名称を統一することとなり、熊本果実連と日本園芸農業協同組合連合会(日園連)との間で商標権使用許諾契約が締結された。これを受けて日園連傘下の農協が出荷する「不知火」のうち糖度13度以上、クエン酸1.0%以下の基準をクリアしたものには産地にかかわらず「デコポン」の名称を使用して良いことになり「デコポン」の名称が幅広く普及した。
以上の経緯から、日園連傘下の農協を経由しないで出荷される果実、品質基準を満たさない果実には「デコポン」の名称は使用できないが、基準に満たないものに無断で「デコポン」の名称を使用しているものも見られる。