タンブレロ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タンブレロ(Tamburello)はイタリア発祥の球技で、タンバリンを原型とするバットを使用する。野外競技のアウトドア・タンブレロ (Outdoor Tamburello)と室内競技のインドア・タンブレロ(Indoor Tamburello)がある。また類似したスポーツとして、タンブレリ(Tambourelli)・ タムビーチ(Tambeach)・タンブレウ(Tamboreu)などがある。
目次 |
[編集] タンブレロの歴史
人が互いにボールを打ち合うという球技は、エジプト文明、メソポタミア文明など紀元前から世界各地でみられるそうだが、タンブレロの源流は、テニスと同じで、紀元前15世紀ごろのエジプトの壁画に確認することができるといわれる。イタリアでは、ローマ時代からさまざまな形でこの球技が行われたという。11世紀頃、ヨーロッパに進出してきたウマイヤ朝の影響が、テニスの原型とも言われる「ジュ・ド・ポーム (Jeu de paume)ジュドポーム(手のひらゲーム)」の始まりという説があり、ラケットという言葉はアラビア語の「rahat」が語源といわれ、「手のひら」という意味だそうだ。
現在のタンブレロの原形となったゲームは、16世紀から18世紀ごろ、中世の北部イタリアで盛んだった、「Pallone col bracciale」 という、木製の円筒状の筒を前腕にはめてボールを打つ競技だと言われている。ちなみに、現在のテニスのラケットの原型が登場したのも14世紀のイタリアだそうだ。タンバリン(太鼓)の起源も同様に、エジプト文明、ギリシャ、ローマ帝国の頃からみられ、スポーツのTamburello(イタリア語のタンバリン)は、このバット(タンバリン)をラケットの様に使用してボールを打つことから、このスポーツの名が付いたと言われている。現在のタンブレロがイタリアで確立されたのは19世紀後半で、1896年にはイタリアでの最初の選手権が行われた。今行われている競技の公式ルールが最初に作られたのは、1920年だそうだ。
[編集] アウトドア・タンブレロ
この競技は主に屋外でプレイされます。80m x 20mのグラウンド(図1参照)を使用し、センター・ラインはグラウンド中央に引かれ、各チーム5名が相対しプレイします。
直径28センチのバット(タンブレロ)を使用し、直径6cm、重さ約78g(フランス)又は88g(イタリア)のボールを相手のコートに打つ競技です。ネットは使用しませんが、ルールはテニスと同じように考えたら分かりやすく、サーブからゲームが始り、ボールが2バウンドする前にレシーブしないとポイントを失います。また、打ったボールがアウトになったり、センター・ラインにタッチしたりしたら、ポイントを失います。
チームは9人で構成され、各チーム5人の選手がグラウンドへ入り、残り4名がベンチで控えます。選手の典型的なフォーメーションは、図2を参照してください。
ディフェンダーの役割は主に敵陣のなるべく後方へロブを上げて相手に攻撃のチャンスを与えないよう、ゲームのペースを作ります。アタッカーは、チャンスボールをボレー又はスマッシュし、ウィニング・ショットを狙います。センターは、アタック兼ディフェンスの役割を果たします。点数も、ほぼテニスと同じように数えます。(15, 30, 40、ゲーム:ただし、フランスでは40ではなく45と数える場合もあります)。40対40になった時、テニスと同様デュースとなりますが、2回目のデュースを「Game Ball」と呼び、その時のポイントを勝ったほうが、1ゲーム勝つことになります。18ゲーム先取したチームが勝ちます。
[編集] インドア・タンブレロ
インドア・タンブレロは、1930年代ごろに始められ、1950年代に人気が上がりました。正式な協議として確立されたのは1934年で、戦後には、ミラノ、ローマ、ジェノバ、ボローニャ、フィレンツェなどの都市部の公共施設で多く開催されています。アウトドア・タンブレロの人気が天候の悪い冬季の期間に盛り下がることを危惧して、1980年代にイタリア協会が、大々的にインドア・タンブレロのプロモーションを行い、1987年頃から冬季のタム競技として、広くプレイされ ています。
インドアのルールはアウトドア・タンブレロの応用で、コートの広さは、他のインドアスポーツとの共存のためアウトドア・タンブレロよりかなり小さいサイズとなっている。(図1参照)。大きさは地域によって色々ですが、典型的には34メートルx16メートルでプレイされます。センター・ラインから両サイドに向かって2メートルのところにセンター・ラインと平行のサービス・ラインが引かれ、サーバーは相手コートのサービス・ラインを超えるサーブを打たなくてはなりません。
直径28センチのバット(タンブレロ)を使用し、ボールを相手のコートに打ちます。使用されるボールはアウトドア・タンブレロより軽く、子供用のテニスボール(テニスボールより若干軽い)が多く使用されます。ネットは使用しませんが、ルールはテニスと同じように考えたら分かりやすく、サーブからゲームが始り、ボールが2バウンドする前にレシーブしないとポイントを失います。また、打ったボールがアウトになったり、センター・ラインにタッチしたりしたら、ポイントを失います。点数もテニスと同じ得点制度を使用します(15, 30, 40、ゲーム:ただし、フランスでは40ではなく45と数える場合もあります)。40対40になった時、テニスと同様ジュースとなりますが、2回目のジュースを「Game Ball」と呼び、その時のポイントを勝ったほうが、1ゲーム勝つことになります。13ゲーム(又は18ゲーム)を先取したチームが勝利します。
各チームの選手は3人(左右サイド前衛のアタッカー2名と、センターバックのディフェンダー1名)から構成されます。センターバックがバッター(サーバー)を兼ねます。選手の典型的なフォーメーションは、図2を参照してください。