タダラフィル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。 |
タダラフィル (tadalafil) はイーライリリーが製造・販売する勃起不全 (ED) の治療薬。一般には商標名であるシアリス (Cialis®) という名称が用いられている。
目次 |
[編集] 開発史
2003年に販売を開始。他のED治療薬に無い特徴(食事の有無に関わらず服用が可能なこと、投与後36時間にわたって勃起機能改善効果が認められていること)から、日本でも多くの個人輸入代行業者が扱うようになった。
日本では2005年9月に厚生労働省へ承認申請が行われ、2007年7月31日に製造販売承認を取得、同年9月12日より日本イーライリリーから医療機関向けに販売された。
先行する同効薬バイアグラ、レビトラ同様に、薬価基準未収載である。
[編集] 作用機序
シアリス(タダラフィル)は、生体内で環状グアノシン一リン酸 (cGMP)の分解を行っている5型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) の酵素活性を阻害する。これが陰茎周辺部のNO作動性神経に作用して血管を拡張させ、血流量が増えることによって機能すると考えられている。
勃起不全の症状がある場合、ペニスが勃起し、性行為が正常に行える。性的刺激があったときのみ勃起が起こる、勃起機能改善効果である。投与(服用)後36時間にわたり効果が継続することから、性行為の30分くらい前に服用する必要があるバイアグラと差別化される。また、高脂肪食であっても食事の影響を受けないことも利点である。
バイアグラ、レビトラ同様に性的刺激による勃起を補助する効果であり、催淫剤では無いので、性欲を亢進させる働きは無い。
[編集] 副作用
硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン等の硝酸塩系薬剤)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、併用は禁忌である。
死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているので、投与の前に、心血管系障害の有無等を十分確認すること、との警告がなされている[1]。
[編集] 社会現象
日本で正規に入手するためには医師の処方箋が必要である。健康保険の適用外の自由診療(保険外診療)のため、各医療機関が価格を定めることができ、1錠およそ1,800円(10mg錠)~2,500円(20mg錠)程度となっている。用途の関係から医療機関や薬局へ出向くのが恥ずかしいこともあり、個人輸入代行業者による販売が行われている。迷惑メール等の宣伝行為を行う業者も多く、迷惑メールの頻出キーワードとなっている。
[編集] 参考文献
- ^ シアリス錠5mg/シアリス錠10mg/シアリス錠20mg 添付文書(日本イーライリリー)