スプリットフィンガード・ファストボール
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スプリットフィンガード・ファーストボール(英:split-finger fastball)とは、野球の球種の一つである。日本では名称の長さから省略してSFFあるいはスプリットと言う場合が多い。アメリカではフォークボールとまとめてスプリッター (splitter) と総称される。
握り方はフォークボールに近く、ボールを人差し指と中指で挟み込むようにして投げる。フォークボールに比べると握りが浅く、リリースもよりストレートに近い形で行う。ボールの軌道はストレートのような軌道から打者の手元で落ちる。落差はフォークボールよりも小さいが、代わりに高速で投げ込むことができるため打者のバットの芯をはずして内野ゴロを狙うときなどに多用される。しかし、ストレートと変わらぬ速度で手元で急に落ちるボールなので、落差が大きいものでは空振りも奪うことができ、三振を奪うための決め球としても使える。
指が短いと深くボールを挟めないため、指の短い投手がフォークボールの代わりに使用する場合もある。そのため、「フォークボールの神様」と呼ばれている杉下茂は、「一般的な日本人選手がフォークとして投げているものは、ほとんどがSFFである」と語っているほどである(ちなみに、杉下はフォークに適した長い指の持ち主である)。
アメリカ野球殿堂入りを果たしているブルース・スーターが開発したといわれている。1986年にマイク・スコット(ヒューストン・アストロズ)がSFFを武器にリーグ最優秀防御率 (2.22) とリーグ最多奪三振 (306) の二冠を達成。メジャーから「現代の魔球」として輸入され、1987年に桑田真澄(巨人)が「サンダーボール」と呼んで投げ始めたことにより一躍その存在が有名になった。
アメリカでは1980年代初頭から急速に普及し一世を風靡したが、故障を抱えることが多く「デス・ピッチ」として現在はこのボールを投げる投手はそれほど多くはいない。現在はジョン・スモルツ、カルロス・ザンブラーノ、リッチ・ハーデン、ダン・ヘイレンなどが主な使い手である。
日本では現在清水直行(千葉ロッテマリーンズ)などが用いる。斉藤和巳(福岡ソフトバンクホークス)の高速フォークもこう呼ばれることがある。