スケートボード
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スケートボード(skateboard)は、主に合板製のボードに普通4個の車輪を取り付けた、人間の身長に満たない乗り物。またこれに乗って行う競技も指し、エクストリームスポーツの一つでX Gamesの一種目である。
日本ではスケボーと呼ばれることが多いが、この名を嫌うスケートボーダーもおりSK8表記でスケートと呼ばれることもある。一時期はローラーサーフィンなどと呼ばれたこともあった。また同種のスポーツであるBMX、インラインスケートと併せてB3と呼ぶことがある。
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[編集] 競技の分類
- ストリートスタイル
- その名の通り、街中に存在するもの(ハンドレール、レッジ、ステア、カーブなど)を使用してスケートすること。また、ダウンヒルなどが始まりだと言われている。主に平地で行われるもので、障害物をジャンプで越えたり、ストリートランプを使ったジャンプなどの競技を行う。
- フリースタイル
- フラットランド(平地)において様々な技を連続的に行い、フィギュアスケートのように演技を行う種目。代表的な技としてキックフリップ・360度スピン・ドッグウォーク・ホッピング・などが上げられる。
- バーティカルスタイル
- ランページまたはボール、ハーフパイプと呼ばれるところでターンをしながらジャンプ・トリック・ポーズなどを競う。
[編集] 歴史
スケートパークの出現によりスケートボードのトリックは劇的に変化した。 フラットランドでのスケートトリックは二次元的であり、フラットランドで行われるフリースタイルのトリックはアイススケーターのようであった。 スケートボードパーク内に設置されているランプでの競技により多種多様で三次元的なスケートボードトリックが発明された。 その重要発明の一つとしてアラン"オーリー"ゲルファンドによるオーリーまたはノーハンドエアリアルの発明があげられる(1978年)。 また、バートランプのトリックはストリートスタイルのスケートボーダーに取り入れられていった。
優秀な技能を持つスケータにはスポンサーがつき、シグネチャーモデルのスケートボードや、スケートボードシューズの製造販売が行われた。また、スケートボードテレビゲームの監修やスケートボードシューズの TVCM への出演も行った。
例えば、トニー・ホークは テレビゲームを監修し、MTVミュージック・アウォーズに出演した。また、スティーブ・キャバレロモデルのスケートボードシューズ「ハーフキャブ(Vans)」は有名である。
トム・ペニー (英国 Flip Skateboard) は、最小の努力で最適なスケートスタイルを構築したとして未だ支持されている。彼は、1990年代初頭、ストリートでのスケートボーディングにおいて初めてキックフリップをエアキャッチした人物とされている。
[編集] 第一世代(1960年代)
- ボード
- 木製の板にローラースケートのローラー部分を取り付けたスケートボードであった。
- 競技
[編集] 第二世代(1970年代)
- ボード
- ボード部にグラスファイバーやアルミニウムを使用したスケートボードが登場した。ボード部の幅は25cmほどであった。飲料水メーカのグラフィティがついたスケートボードなどがあった。
- 競技・環境
- すり鉢状の家庭用プール内で行うスケートスタイルが発生した。スケートボードパークが建設が行われた。
[編集] 第三世代(1980年代)
- ボード
- スケートボードのテール部に角度(キックテール)がつけられ、ノーズ部とテール部が区別されていた。又トリック成功率向上を図るため、足にボードが張り付くように滑り止めとして紙やすりのようなグリップテープが張られるとともに、ボード前半部が凹状(コンケーブ)になった。
- スケートボード前面 前足部及び後ろ足部にデッキテープが張られ。中央部にはスケートブランドのラベルや、スケートボードのモデル名があしらわれた。
- スケートボード裏面 ヘビーメタルのレコードジャケットのようなグラフィティが主に用いられた。
- 競技
- バートランプでのトリックが発展した。
- ストリートスタイルの発生 フラットランドにおいてバートランプトリックを応用する試みが行われフラットランドでのトリックが停止したままから、滑走状態からトリックを繰り出すストリートスタイルへと発展した。
- 環境
- スケートボードの宣伝がスケートボード会社により活発になった。スケートボード会社がT-シャツ、ジーンズ等洋服の製造をした。競技用スケートボード靴製造会社が設立された。スケートボード専門誌が設立された。世界的にも広く普及し始めた。
[編集] 第四世代(1990年代)
- ボード
- ボードの大きさは、ほぼ幅187.5×縦800mm(7.5"×32")ぐらいであった。材質はmaple plywoodである。ウィールの大きさは、ほぼ50~56mmぐらいの大きさであった。
- ノーズ部のコンケーブがより強くなった。
- ストリートスタイルをとるスケートボーダーが多く、構造もストリートトリック向けになっていく。
- スケートボード前面 中央部にはスケートブランドのラベルや、スケートボードのモデル名があしらわれたが、トリックの成功率向上のため全部分においてデッキテープが張られた。デッキテープは黒が好まれた。
- スケートボード裏面 時代の流行音楽を反映し、ハードコアパンクやオルタナティブロック、ヒップホップ調のグラフィティがあしらわれた。また、有名企業の商標をパロディしたものも流行した。
- 競技・環境
- ストリートスタイルが発展し、文字どおり街頭の建造物を使用したトリックが発展した。スノーボード、BMX などと同一種に分類されエクストリームスポーツと呼ばれるようになった。スケートボードの宣伝がさらに活発になり、ビデオマガジン会社が設立された。
[編集] 現在
- ボード
- 1990年代からのスタイルが定着しているが、2005年頃には2輪タイプ(Tボード)から14輪タイプのものが登場。2006年にはデッキを真ん中で分離し、さらにウィールを縦に配置したフリーラインスケートにまで進化した。これは従来のスケートボードの主なパーツがデッキ・トラック・ウィールから構成されていたものに対して、デッキとトラックは一体型としている。
- 競技・環境
- ストリートスタイル普及の結果、街頭の建造物がスケートボーダーにより破壊される問題が発生し、街頭でのスケートボーディングが一部制限され、スケートボードパーク内にストリートセッションを設置したスケートパークが増えている。この結果、スケートパーク内でのスケートボーディングが発展し、X-Sports大会が世界主要都市で開催されるようになっている。2007年からGATE JAPANが公認プロ制度を開始。
[編集] 主なスケートボードトリック
- チックタック
- ストリートなどでスケートボードの前方を振り子のように左右に振って前進していく基本的な技。
- マニュアル
- 自転車でいうウィリーのようなトリック。前輪だとノーズマニュアル。後輪だとテールマニュアル。
- ボンレス
- 片手でスケートボードを支え、軸足(後方の足)と反対の足で障害物を踏み切ったり、ランページのターンをする技。
- オーリー
- テールを強く踏んでジャンプしノーズ側の足でボードを擦り空中で地面とボードを平行にし着地するジャンプの基本トリック。
- フリップ
- オーリーの途中、足でデッキを擦り抜いて回転を加え、複数回転させて再び自分がデッキに乗るトリック。かかとで回すヒールフリップと、つま先で回すキックフリップがある。
- ハンドプラント
- ランページのトップでターンする時、片手で逆立ちするような形でリップ部分に手をついてターンしたり、ポーズを取ったりする技。
- エアーウォーク
- ランプなどを使ってジャンプした際、スケートボードを手で持つ代わりにフリーになった足で空中を走るようなポーズをする技。
- スライド系トリック
- スケートボードのデッキ部分を使って階段の手すりやランページ・ボールのリップ部分をすべる技。例えば、ノーズスライド、ボードスライド、テールスライドなど。
- グラインド系トリック
- スケートボードのトラックのシャフト部分で滑るトリック。火花が出ることもあり、なかなか刺激的でもある。例えば、50-50グラインド、5-0グラインド、Kグラインド、ノーズグラインドなど。
[編集] スケートボード用語
- デッキ - スケートボードの板の部分を指す。別名=ブランクス。
- ノーズ - デッキの進行方向側の先端部分。
- テール - デッキの進行方向と逆の先端部分。
- ウィール - スケートボードにおける車輪部分。
- トラック - デッキとウィールをつなげる部分。
- ビス - トラックとデッキを支える金属部品
- キングピン - トラックのベースプレートとハンガー部を固定するボルト。
- ベアリング - ウィールを回転させるために、ウィール内にはめ込むリング状の金属機構。
- グリッチョ(俗称) - スケートボードで足首、手首を捻挫すること。
- グキル(俗称) - グリッチョと同じくスケートボードで足首、手首を捻挫すること。
[編集] その他
スケートボードは、法律上は遊具に分類される(自転車は軽車両となる)。使用制限については、道路においては道路交通法第76条4項「道路における禁止行為等」において、
「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること」
と挙げられている(但し遊具であるスケートボードを公道で交通手段に使用するのは、使用者の安全確保の面からやはり推奨されない。例えば「坂道ではどうやって制動を掛けるのか?」など。これはローラースケートにおいても同じ)。まして車道と歩道が明確に分けられている路線での使用は論外である。一方、公園等では市などの地方自治体の条例により、使用を禁止する事例が多くみられるが、相模原市のように公園に専用スペースを設ける自治体もある。