ジーベック (船)
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ジーベック(Xebec)とは、帆船の1種である。
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[編集] 形状
ジーベックは16世紀から19世紀ごろに地中海で使用された。正確な起源は明らかではないが、おそらくアラビアの国ではないかとされる。ジーベックは帆と櫓の両方を推進力を得る手段としており、それはベルベル人の海賊船の様式と似ていた。初期のジーベックは2本のマストを持っていた。
18世紀以降のジーベックは3本のマストを持ち、船首部分から最前列の横帆にステイセイルが張られている。横帆を持つという特徴は、ラテンセイルのみを持つフェラッカとジーベックを区別した。ヨーロッパの海軍で使用された後期のジーベックは全てが横帆であり、ジーベックフリゲート(Zebec Frigate)と呼ばれた。
[編集] 由来
ジーベックはxebec以外にxebeck、xebe(c)que、zebec(k)、zebecque、chebec、shebeckとも表記するほか、
- フランス語 : chabec、chebec
- スペイン語 : xabeque、jabeque
- ポルトガル語 : enxabeque、xabeco
- イタリア語 : sciabecco、zambecco、stambecco
- アラビア語 : شباك、šabbāk
- トルコ語 : sunbeki
など、似た綴りや読み・意味を持つ言葉が各言語に存在する。Online Etymology Dictionaryによると、アラビア語で小型戦艦を意味するshabbakが語源だとされている。
[編集] 用途
ヨーロッパの人々は遠洋で私掠船としてジーベックを使用し、その用途のために対象となる船よりも高速度での航行のために船腹を狭くしたが、広い帆面積を得るためにはそれに応じた広さの船腹が必要であった。ジーベックのラテンセイルは、追跡や逃亡において利点があり、凪の状態でも航行が可能であった。海賊船として用いられるときは、サイズによって300~400人の水夫を乗せ、16~40の砲台を積んでいた。また、通常時には商品の運搬にも用いられた。その汎用性から「海の虎」の異名を持つに至った。
カザドで模写されたスペインのjabequeは、ラテンセイルのみを持っていた。この船は18世紀半ばにスペイン海軍の象徴として、アルジェリアの海賊船(私掠船)と戦うために建造された。アルジェリアのベルベル人海賊船も、地中海交易におけるそれらの急襲に対抗するため、3隻のラテンセイルを持つジーベックを使用したとされる。
[編集] 関連項目
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