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シナ・チベット語族(シナ・チベットごぞく)は、言語の言語学上の分類単位の一種で、主に中国、東南アジアなどアジアの民族によって話される250余の諸言語のことである。多くが声調言語、孤立語であるが、これは言語系統上と言うより地域特性であるとも言われている。 代表的な言語として、中国語、ビルマ語がある。支那・蔵語族、漢蔵語系ともいう。猶これら言語学に用いられる“シナ”は、近現代の“支那”に見られる差別的意味はないとされているが、シナという音を嫌い、漢という言葉に代える傾向がある。
シナ・チベット語族とされる言語グループの系統は、諸説あるが、下記の通り列挙する。
- シナ語派 (Sinitic)
- チベット・ビルマ語派 (Tibeto-Burman)
- ヒマラヤ語群(Himalayish)
- カマルパ語群(Kamarupan)
- チャン語(Qiangic) - 羌語(中国四川省周辺のチベット系羌族=タングート族の言葉)
- チンプオ・カチン語群(Jingpho-Nungish-Luish)
- カチン語(Kachinic) - ミャンマー山岳部カチン州周辺のカチン族の言語、またはチンプオ語(中国雲南省周辺のチンプオ族=景頗族の言語)
- ヌン語(Nungish)- ベトナム北部高原地帯周辺のヌン族の言語
- ルイ語(Luish) - タイ山岳地帯のルイ族の言語
- ビルマ・ロロ・ナシ語群(Lolo-Burmese-Naxi)
- カレン語(Karenic)- ミャンマー・タイ国境周辺のカレン族の言語
- ペー語(Baic)- 中国雲南省大理周辺のペー族(白族)の言語(ロロ諸語に入れる説、シナ語派に入れる説もある)