ザベル・ザロック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ザベル・ザロック プロフィール
ザベル・ザロック(Zabel Zarock、欧米ではLord Raptor)は、カプコンの2D対戦型格闘ゲーム『ヴァンパイア』シリーズに登場する架空の人物。
目次 |
[編集] キャラクター設定
絶大的な人気を誇り、若者達から「メタルの神」と称されるほど崇拝的な支持を集めたロック歌手、ザベル・ザロック。その彼が、100人のファンを殺害した後に自殺するという事件が起きた。しかし、犠牲者の体からは全ての血が抜き取られながらも一切外傷が無く、自殺したザベルも、警官たちの前で突然白骨化するという不可解なものだった。やがて20年の時が過ぎ、残忍さと狂気を帯びたザベルの魂は、闇の洗礼を受けてゾンビとなり復活を果たす。そして、破壊と殺戮を繰り返し闇の帝王オゾムから更なる力を得るために動き出す。『ハンター』までのエンディングでは、ダークストーカー達を退けた褒美として、更なる力を得てパワーアップを果たしてオゾムの命を狙うが、お目付け役のル・マルタによって全て筒抜けになっており、『セイヴァー』では元の姿に戻っていた。しかし、『セイヴァー』ではオゾムがジェダの復活により消滅したことで、今度はジェダの力を狙って魔次元に飛び込んでいく。そのエンディングでは、ジェダから溢れ出した魔力を吸収し、「Q極ハイパーザベル」になろうとするが、吸収しきれずに髑髏形のきのこ雲を上げて爆発し、首だけになって吹き飛んだ。『NAMCO x CAPCOM』では、ドルアーガの魔力を狙いその兵士として敵キャラで登場する。
外見は、青い肌に逆立った髪形、そして骨と皮だけと言えるほどほどやせ細った体で、顔はほぼ骸骨と言っていい。特に腹部の部分には、内臓が無いのか背骨だけで、突き出た肋骨が牙のようにも見える。そのため、180cmの長身でありながら、体重は39kgと大きく痩せ細っている。服装は上半身裸で裸足。指先が見えるグローブとイギリス国旗の入ったボロボロのジーンズに、パンクを意識しているせいか3本の棘の生えた脛当てをつけている。さらに手の指先の肉が無く、黄色く変色した骨が露出しており、飛び出た背骨と長い舌もあいまって、人間らしさを殆ど感じられない相貌をしている。徹底したヒールとして描かれているため、その性格も狡猾で残忍。しかし、元ロッカーらしくひたすら元気で弾けており、おどろおどろしい感じではなく、どこかコミカルなキャラクターになっている。
自分と同じ死体を基にしたモンスターであるチャイニーズゴーストのレイレイに惚れている。そのため、レイレイとの対戦前に、ザベルの目からハートが飛び出すという演出がある。その他にも、レイレイのCPUの乱入キャラクターに設定されていたり、レイレイの時だけ技の台詞が変わることがある。『NxC』でも熱いラブコールを送り続けているが、まったく相手にされていない。
ホームステージは、『ハンター』ではオーストラリアの墓地。『セイヴァー』以降は正式に設定はされていないが、拷問室をモチーフにした「FOREVER TORMENT(永遠の苦痛)」という名のステージが、それにあたると思われる。
[編集] ル・マルタ
人間界と魔界の行き来が可能な、数少ない超獣の一種。冥王オゾムがザベルにつけたお目付け役だが、実はザベルの監視を目的としており、その行動を逐一オゾムに報告するという役目を負っている。もっとも、仕事を抜きにすればザベルとは馬が合うようで、オゾムが消滅した『セイヴァー』以降も、ザベルと行動を共にしている。因みに、ザベルが勝利ポーズや一部の技で使うギターは、ル・マルタの体の一部である。
ザベルが必殺技を発動する際には様々な武器となり、これが手伝ってザベルの攻撃を一層変則的なものにしている。特に、EX必殺技の「ヘルダンク」は、ル・マルタが相手を飲みこんでボールに変えた後、ル・マルタが変身したバスケットゴールにザベルがボールを持ってダンクシュートを決めるというもので、これはザベルを象徴する必殺技である。ダンクシュートされた時の相手の体の変化が非常に細やかであり、ボールにされた時・バウンドした時・シュートされてダメージを受けた時、それぞれの演出が非常に滑稽である。
ザベルはレイレイに惚れているが、ル・マルタはバレッタに惚れている(バレッタの持つ邪悪な魂に一目惚れしているようだ)。バレッタとの対戦時では、ザベルを差し置いてル・マルタの目からハートが飛び出し、ザベルの前に立ち塞がるも、直後にザベルに立ち弱キックで蹴り飛ばされるという滑稽な演出がある。
[編集] ゲーム上の特徴
映画などに登場するゾンビというキャラクターは、「墓から這い出し、生きた者を貪る自我が乏しい動く死体」といった様な表現が多い。しかし、ザベルの動きは俊敏さと鋭さを兼ね備えたスピードキャラで、上記の性格などもあいまって、ゾンビをモチーフにしているとは到底思えないようなキャラクターになっている。その攻撃も奇抜なものが多く、自身の肋骨や指骨等を伸ばし針の様に突き刺したり、電気を帯びた攻撃、チェーンソー、回転鋸など、奇抜でリーチの長い攻撃を多数有する。空中ダッシュも可能で、必殺技の殆どが空中で使用でき、テレポート技まで持っている。更にはしゃがんだままの移動が可能だが、その分しゃがみガードをしようとすると後退してしまう。それ故「しゃがみガードで待つ」という戦略が取れず、積極的な攻めを要求される。総じて、高い移動能力と長いリーチを活かした攻め主体のキャラクターと言える。欠点は防御力の低さで、潜在能力が高い優秀なキャラクターではあるが、癖が強く、使いこなすのは若干難しい。
[編集] 技の解説
[編集] 特殊技
- 空中ダッシュ
- 空中で前後へのダッシュ。空中ダッシュ中に通常技を出すと、ザベルは放物線軌道を描いて降下する。
- しゃがみ移動
- その名のとおり、しゃがんだままの移動。斜め下に向けてレバーを入れるとしゃがんだ状態で移動する。後退も可能なため、画面端を除いた一点に留まったままのしゃがみガードが不可能になっている。
[編集] 投げ技
- マーダラービート
- 相手をつかみ、4本の肋骨を伸ばして相手に何度も突き刺す。レバガチャにより、攻撃回数を増やすことができる。技後は相手は吹き飛ぶだけでダウンはしない。
- デッドリーカタパルト
- 相手をつかんだ後に、丸まって蹴り飛ばす。なお、『セイヴァー』でのザベルの通常投げのゲージ増加量はゼロである。技後は追い打ちが入る。
- エアカタストロフ
- 空中投げ。つかんだ相手をそのまま放り投げる。投げられた相手は放物線を描いて落下する。
[編集] 必殺技
- デスハリケーン
- 体を独楽のような形に変形させて、斜め上方へ向かって飛んでいく対空技。一定距離進むと自動的に解除され、その場に落下する。『ハンター』までは、ガードキャンセルに対応している。地上で出した弱であればガードされても隙は小さく、すぐに降下するが、中や強の出はじめをガードされると攻撃判定が早く消滅する分、ザベルの無防備状態が長くなる。空中でも発動でき、初代と『クロニクル』では空中でもガードキャンセルができる(『ハンター』では不可)。空中の場合、移動方向が斜め上前方から斜め下前方に変わる。
- ES版は最大3ヒットする。「デスボルテージ」をコマンドミスした際に暴発して出てしまうことが多い。
- ヘルズゲート
- 地下から現れたル・マルタに包まれて、指定の場所に移動する。弱中強のボタンによって出る位置が変わる。発動が早く無敵時間も長いが、吐き出された直後に隙が生じる。初代の「ヘルズゲート」は、ザベルが左側にいる時は強で、右側にいる時は弱で出すと、必ず相手の背後に出現する。
- スカルパニッシュ
- コマンド投げ技。相手をつかんで飛び上がり、宙返りして地面へ叩きつけた後、何度も両手を突き刺す。『ハンター』まではつかみ技の「マーダラービート」とダメージ量に差が少なく、投げ抜けをされないことだけを目当てに使われていた。『セイヴァー』以降はかなり威力が上がっており、ガード崩しや接近戦の主力として使われた。
- ES版は、手刀を突き刺す回数が増える。
- スカルスティング
- 『ハンター』から追加された必殺技。斜め上方へ飛んで行き、そこから足を回転鋸に変形させて落下する。弱中強によって最初の斜め上昇時の角度が変わり、強のほうが角度が緩やかで遠くまで飛ぶ。空中でも出すことが可能で、その際、地上で出したときよりも移動距離が短くなる。地上の相手に対しては非常に強力だが、空中の相手に攻撃を出されると、技を潰されるリスクがある。
- ES版はヒット数が7にまで増える。
- スカルジャベリン
- ダウン中の相手を3回踏みつける追い討ち攻撃。技を出すのが早過ぎると、攻撃回数が減る。初代『ヴァンパイア』では、ダウン中の相手に追撃できるのはザベルだけであり、スカルジャベリンは必殺技扱いであった。『ハンター』以降は全キャラクターにダウン攻撃が実装され、スカルジャベリンはシステム共通のダウン追撃攻撃に組み入れられる。これにより、「ザベルならではの特徴」は一つ失われてしまった。
- ES版は、初代では攻撃回数が8ヒットになる。『ハンター』以降の、システム共通ダウン攻撃としての「ESスカルジャベリン」は6ヒット。
- デスフレーズ
- 『セイヴァー』以降の、ガードキャンセル専用技。ギターを弾く。攻撃時に音波が発生するが、攻撃判定は音波ではなく、あくまでギターにあるために小さい。
- ES版は、巨大なスピーカーに変身したル・マルタがザベルの後ろに現れ、音量を上げたのち再度ギターを弾きだし、相手は気絶する。直後にザベルが吹き飛んで気絶中の相手に衝突すると、相手は感電してダウンする。
- アルティミットリベンジ
- 「アルティメットアンデット」中の、ガードキャンセル専用必殺技。片手のチェーンソーを、デコピンの要領で相手にぶつける。
- ESにしても、性能は(威力も含めて)通常時と全く変わらないが、ゲージは消費する。
[編集] EX必殺技(超必殺技)
- イービルスクリーム
- 肘から剣のように骨を伸ばし、当たった相手に突き刺してから引き寄せ、電撃を帯びたアッパーカットを繰り出す。技後は確実にダウン追撃を決められる。中攻撃をキャンセルして出すと連続技になる他、相手の飛び道具の出掛かりに一瞬で反応できればクリーンヒットする。なお、初段の攻撃には相手の体力を削る能力は無く、空中の相手に当たると僅かなダメージを与えて吹き飛ぶだけで、技が本格的に発動しない。『セイヴァー2』『ハンター2』のダークフォース中は、アッパーカットの後に「スカルパニッシュ」で追撃を加えるようにパワーアップするが、ダウン追撃は決められなくなる。
- デスボルテージ
- 強化版デスハリケーン。髑髏を象った電気を帯びて飛んでいき、当たった相手を感電させる。デスハリケーン同様、空中でも出すことができる。発生が早く、中攻撃をキャンセルして出すと連続技になる。『セイヴァー』では、『ハンター』よりも攻撃判定が小さくなったが、それでも高性能な技。「イービルスクリーム」同様、技後は確実にダウン追撃を決められる。ガードされると大きな隙が生じる。
- ヘルダンク
- 『ハンター』から追加されたEX必殺技。相手の真下からル・マルタが現れ、相手を包み込んでボールに変えてしまい、ル・マルタが変身したバスケットゴールへザベルがダンクシュートする。相手によって、ボールに変えられた姿が用意されている。大体はキャラをそのままボール状にデフォルメしたような姿だが、ドノヴァンだけ数珠の1珠になる。投げ技属性のため、ガード不可。投げられない状態の相手、空中の相手に決めることはできない(『ハンター』では、低空の相手、飛び上がる予備動作中の相手ならば捕えることができた)。ル・マルタが相手を捕捉できなかったときの隙は非常に大きい。
- アルティミットアンデッド
- 『セイヴァー』でのダークフォース、『セイヴァー2』『ハンター2』ではEX必殺技。通常攻撃のすべてが、チェーンソーを用いた攻撃になり、射程が延びヒット回数も大幅に増え、攻撃すべてに削り効果がつく。ほかにも、ダッシュが低空で素早いものに変化し、その他の技は(必殺技など含めて)一切使用できなくなる。発動時、低確率でザベルの髪型がアフロヘアーになる。
[編集] 特殊なダメージモーション
- ミッドナイトブリス(デミトリ)
- レザー地に見えるブラと短パンを着たショートヘアーの少女。
- 王家の裁き(アナカリス)
- ザベルの頭がついた、エレキギター。
- とが首さらし(ビシャモン)
- コンクリート詰めされたザベルとル・マルタ。二人が顔を見合わせている。
- サングェ=パッサーレ(ジェダ)
- 尻が、ハート型に膨れる。
[編集] 登場ゲーム作品
- ヴァンパイアシリーズ
- ヴァンパイア ハンター
- ヴァンパイア セイヴァー
- ヴァンパイア ハンター2
- ヴァンパイア セイヴァー2
- ヴァンパイア クロニクル ザ カオスタワー
- ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション
- 他社
- NAMCO x CAPCOM(敵キャラクターとして)
- SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズシリーズ
[編集] 声優
- ザベル
- ル・マルタ
-
- 千葉一伸(ドラマCD及びカセット ヴァンパイアハンター『ヴァンパイア・ナイト 〜お笑い夜の祭典〜』、『ダークネスミッション〜特選バター醤油味〜』)
[編集] その他
- 電気を帯びる勝利ポーズ時とダークフォース発動時に、16分の1の確率でアフロになる。また、それと同様のポーズをする勝利ポーズも16分の1の確率でアフロになる。
- 『セイヴァー』以降の勝利ポーズで生前の姿に戻るものが2種類存在する。その姿は、ロングヘアーで筋肉質な体つきをしている。
- レイレイを相手にガードキャンセル「ESデスフレーズ」を発動させると、ザベルが前方へ吹き飛んでいく際、「マイダーリン」と叫ぶ。
- うえだゆうじの声の演技は、『ヴァンパイア』シリーズではエフェクトのかかった甲高い声だが、『NAMCO x CAPCOM』では潰したようなダミ声(いわゆるデスヴォイス)になっている。
- ザベルの日本国外名は「Lord Raptor」という名前になっている。Raptorとは猛禽類を指す言葉で略奪者という意味もある。Lordとは「君主」「王」「-卿」などを意味する。これらの中で当て嵌めるなら「略奪卿」が妥当と思われる。強欲で狡猾なザベルにとって、ふさわしい名前とも言える。
[編集] 参考文献
- ヴァンパイア グラフィック ファイル(カプコンオフィシャルブックス、ISBN 978-4-86233-124-3)