サンポ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サンポ(Sampo)とは、フィンランド神話に出てくる、持つ者に幸福をもたらす神秘的な人工物である。但し、それが何であるかは誰も知らない。
カレワラでのエリアス・リョンロートの解釈によると、それは何もない所から小麦粉と塩と金を作る機械であった。他にも、世界を支える柱(もしくは木)、コンパスやアストロラーベ(古代の天体観測機)、宝物の入ったチェスト、コンスタンチノープルからバイキングによって盗まれた巨額の金、等々の諸説が唱えられている状況である。
[編集] カレワラにおけるサンポ
サンポは、フィンランド叙事詩のカレワラの中で、非常に重要な要素である。カレワラは、1835年にそれまで口伝で伝えられてきた伝説をベースにエリアス・リョンロートによって編纂された叙事詩である。(1849年に拡張した。)
カレワラの拡張版では、サンポはイルマリネン(伝説的な鍛冶屋)によって、ポホヨラの女主人(ロウヒ)の娘を得るためのお返しとして、作り出された。それによってポポヨラは大いに潤ったが、様々な経緯の後、ワイナミョイネンやイルマリネンらはサンポの奪回をおこなう。結果として奪回には成功するが、持ち帰る途中でロウヒらの追撃に合う。サンポは粉々になって海に散らばり、それが流れ着いた地に幸せをもたらしたという。
カレワラにおけるサンポは、その中で何度かその形状や働きが記されているが、そこにはかなりの混乱が見られる。