コース別管理制度
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コース別管理制度(こーすべつかんりせいど)は、日本の正社員のコース区分のこと。
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[編集] 概要
本制度は1985年前後を機に、大企業を中心に普及していった。これについては、
- 『男女雇用機会均等法(旧均等法)が施行された一九八六年前後から、従来男女別賃金制度をとっていた金融業や商社などの大企業に拡大しました。コース別の形をとって、女性を「補助的業務を担う者」とみなして、その昇給・昇格を低く抑えるものです。』
と指摘し、批判する意見がある。
その後、2000年代後半になると業務の多様化等により、コース別管理制度は曖昧になる動きがあるという[1]。
[編集] コース形態の種類
コース形態は、業務内容や転勤の有無等によって区分される。「総合職」「一般職」の区分が有名だが、他にも企業によって様々なものがある。ここでは例示として厚生労働省の『平成16年度 コース別雇用管理制度の実施・指導等状況』ものを示す。
区分 | 内容 |
---|---|
総合職 | 基幹的業務又は企画立案、対外折衝等総合的な判断を要する業務に従事し転居を伴う転勤がある |
一般職 | 主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤がない |
準総合職 | 総合職に準ずる業務に従事し、一定地域エリア内のみの転勤がある |
中間職 | 総合職に準ずる業務に従事するが、転居を伴う転勤がない |
専門職 | 特殊な分野の業務において専門的業務に従事する |
現業職 | 技能分野の業務に従事する |
出典:『平成16年度 コース別雇用管理制度の実施・指導等状況』(厚生労働省)
[編集] コース転換
「一般職→総合職」、「総合職→一般職」のように、コースを変更することをコース転換と言う。
厚生労働省調査によれば、2004年時点で調査対象の約8割が転換制度を設けている[2]。また、制度を設けている企業で実際に転換事例があった割合は、7割弱となっている。
コース転換制度は、東京都による調査によれば、中小企業は制度がある割合が低い。また、労働組合が無いと制度がある割合が低い[3]。
コース転換に必要な要件については、「上司等の推薦を要件としている」が最も高く、次いで「「年齢又は勤続年数に下限を設定している」となっている(複数回答)。
[編集] 採用状況
新規採用者の総合職、一般職への採用状況は、以下のとおりとなっている。
性別 | 2003年 | 2004年 | 2005年 (内定者) |
---|---|---|---|
男性 | 87.9/2.2 | 88.5/2.2 | 88.0/3.3 |
女性 | 12.1/0.4 | 11.5/0.4 | 12.0/0.7 |
注 :採用者に占める割合の値は、総合職採用者に占める、男女の割合。出典元では女性のみ記載だったため、表中の男性の値は100から女性割合を減じた。 出典:『平成16年度 コース別雇用管理制度の実施・指導等状況』(厚生労働省)
性別 | 2003年 | 2004年 | 2005年 (内定者) |
---|---|---|---|
男性 | 13.2 | 15.9 | 18.4 |
女性 | 86.8 | 84.1 | 81.6 |
注 :値は総合職採用者にしめる、男女の割合。出典元では女性のみ記載だったため、表中の男性の値は100から女性割合を減じた。 出典:『平成16年度 コース別雇用管理制度の実施・指導等状況』(厚生労働省)
[編集] 女性差別との関係
一般職という人事制度における区分は、制度設立経緯及び構成員の大半が女性であることから、女性差別であるという意見がある。詳細は女性差別を参照されたい。
[編集] 脚注
- ^ 『揺れ動く一般職・総合職の選択』2007年3月1日付配信 読売新聞
- ^ 『平成16年度 コース別雇用管理制度の実施・指導等状況』2004年調査 調査回答企業数180社(厚生労働省)
- ^ 『平成14年度版 均等法、育児・介護休業法への対応等企業における女性雇用管理に関する調査』2004年調査 調査回答企業数1,222(企業所在地は都内)(東京都産業労働局)