コパン
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コパンのマヤ遺跡 |
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コパン神殿26にある神聖文字の階段 | |
(英名) | Maya Site of Copan |
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(仏名) | Site maya de Copán |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | 文化遺産(4)(6) |
登録年 | 1980 |
拡張年 | |
備考 | |
公式サイト | ユネスコ本部(英語) |
地図 | |
コパンは、ホンジュラス西部にある古典期マヤの大都市。1980年にユネスコの世界遺産に登録された。
目次 |
[編集] 王朝
コパンでは少なくとも16代の王が即している。16代目の王の即位に際して製作された祭壇Qのレリーフでは、各々の名前を示すマヤ文字の16人それぞれの王が刻まれている。また側面のレリーフに17代目の王を刻んだ祭壇Lがあるが、この祭壇は未完成であり、17代目の王が即位したかどうかは不明。
[編集] 歴代王
- キニチ・ヤシュ・クック・モ/K'INICH YAX-K'UK [MO] -偉大な太陽・コンゴウインコ
- 8.19.10.0.0 - 9.0.0.0.0 (AD 426 - 435)
- わかっていない-(ポポル・ホル Popol Hol 茣蓙頭)
- 9.0.0.0.0 - ? (435 - ?)
- わかっていない
- ? - 9.2.10.0.0 (? - AD 485)
- わかっていない -(ク・イシュ Cu Ix)
- 9.2.10.0.0 - 9.3.0.0.0 (485 - 495)
- わかっていない
- わかっていない
- B'ALAM-?-na -(睡蓮ジャガー)
- 9.3.10.0.0 - 9.5.10.0.0 (504 - 544)
- わかっていない
- わかっていない
- tzi-B'ALAM-ma -(月ジャガー)
- 9.5.10.3.0 - 9.7.4.17.4 (26 May, 553 - 26 Oct, 578)
- K'AK-?-wa CHAN-NA YOA:T? -(ブッツ・チャン Butz' Chan 煙る天)
- 9.6.9.4.6 - 9.9.14.16.9 (30 Apr, 563 - 23 Jan, 628)
- K'AK-u-? HA?-K'AWI:L -(煙イミシュ)
- 9.9.14.17.5 - 9.13.3.7.7 (8 Feb, 628 - 18 Jun, 695)
- ワシャック・ラフン・ウバク・カウィール Uaxac-Lahun-u-b'a-hi K'AWI:L--18兎
- 9.13.3.6.8 - 9.15.6.14.6 (9 Jul, 695 - 3 May, 738)
- キリグア王カック・ティリウ・チャン・ヨアート(「カウアク空」)によって捕らえられ斬首される。
- カック・ホプラフ・チャン・カウィール K'AK'-jo-po la-ja-CHAN K'AWI:L--空で火をたくカウィール
- 9.15.6.16.5 - 9.15.17.12.16 (11 Jun, 738 - 4 Feb, 749)
- カック・イピヤフ・チャン・カウィール K'AK-yi-pi ya-ja-CHAN-na K'AWI:L-la --空を火で満たすカウィール
- 9.15.17.13.10 - ? (18 Feb, 749 - ?)
- ヤシュ・パッサフ・チャン・ヨアート YAX-Pa sa-ja CHAN-no yo?-a-AT-ta --最初の夜明けの空
- 9.16.12.5.17 - ? (2 Jul, 763 - ?)
- ウキト・トーク u-ki-ti to-TO:K'
- 9.19.11.14.5 - ? (10 Feb, 822)
(王の名/王の名をマヤ語の音でつづったもの-(ニックネーム)-日本語での意味の順。年代は即位した年と死亡した年を長期暦と西暦で表したもの)
[編集] 遺跡
コパンの遺跡は大きく次の3地区に分かれる
[編集] ラス・セプルトゥーラス
グルポ・プリンシパルの北に位置する建造物群で、古代の貴族の居住地域とされている。ピラミッド状の巨大な建造物はないが、「書記官の家」と呼ばれるものなど、約40の建物が配置されている。
[編集] グルポ・プリンシパル(プリンシパル・グループ)
グラン・プラサなどを含めた巨大な建造物のある地区。グルポ・プリンシパルの比較的大きな部分が、隣接するコパン川の蛇行によって削られ、遺跡公園の外に向かって、建造物群の断面を見せている。グルポ・プリンシパルの主な遺跡は次の通り。(かっこ内の数字は建造物の造られた年を長期歴と西暦で表したもの)
[編集] 神聖文字の階段
(9.16.1.16.0 - A.D.753)
建造物26は「神聖文字の階段」とよばれ、62段の階段を構成する2000個あまりのブロックのすべてにマヤ文字が刻まれている。本来なら、これは、マヤ文明で発見されている、マヤ文字による最長のテクストだが、崩壊したブロックを階段状に再構成した時代ではマヤ文字の解読が進んでおらず、語順を無視して積み上げられたためテクストの意味は失われている。
[編集] 球戯場 III
(9.15.6.8.13 - A.D.738)
メソアメリカの遺跡に共通して見られる球戯場遺跡の中で、コパンのものは古典期のものとしては最大である。球技をおこなうコートの両側が斜面になっており、その上に観覧席と思われる疑似アーチの建造物が建っている。斜面の上部にはゴールと思われるオウムの頭部の石像が配置されている。
[編集] 祭壇Q
(9.17.5.3.4 - A.D.776)
16代目の王ヤシュ・パサフ・チャン・ヨアートの時代に建造された祭壇Qでは、祭壇の4つの側面にそれぞれ4人ずつ 16 人の王が自分の名前を意味するマヤ文字の上に座する形で彫刻されている。祭壇の正面は初代の王キニチ・ヤシュ・クック・モがヤシュ・パサフ・チャン・ヨアートにバトンのようなものを手渡している構図となっており、即位に当たってヤシュ・パサフ・チャン・ヨアートがコパンの正統の王であることを主張している。
[編集] エル・ボスケ
現在発掘中のエル・ボスケ地区は、ラス・セプルトゥーラスと同様、居住地域と考えられている。
[編集] 世界遺産
コパンは世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録された。
- (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
- (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と、直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
[編集] 交通
コパン遺跡へはサン・ペドロ・スーラから定期バスでコパン・ルイナスの町までいき、そこから徒歩で訪問可能。また、グアテマラからエル・フロリド国境を越えて訪れる方法もある。コパン・ルイナスには一泊 100 レンピラ程度の宿から、プール付きのホテルまで、宿泊施設は豊富にある。
[編集] その他
浦沢直樹の漫画『パイナップルARMY』の「コパンの壁」の回で、登場人物の父親を誘拐したテロリストと主人公ジェド・豪士との身代金受け渡しの舞台となっている。
[編集] 文献資料
- 古代マヤ文明 マイケル・コウ 創元社 ISBN 4-422-20225-1
- 古代マヤ王歴代史 サイモン・マーティン/ニコライ・グルーベ 創元社 ISBN 4-422-21517-5
- 図説古代マヤ文明 寺崎秀一郎 河出書房新社 ISBN 4-309-72605-4
- Historia Escrita en Piedra Ricardo Agurcia, William L. Fash (コパン遺跡公園で購入できるブックレット)