グローランサー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
グローランサー(GROW LANSER)は、アトラスから1999年11月25日に発売されたプレイステーション用ゲームソフト(Best版は続編である『グローランサーII』と2001年7月26日に同時発売)。及び同ゲームを1作目とするシリーズの総称。開発はキャリアソフトが行っている。
目次 |
[編集] 概要
ジャンルはノンストップ・ドラマチックRPG。キャラクターデザインはラングリッサーシリーズから引き続きうるし原智志が担当している。
ジャンル名が示す通り、イベントが途切れることなく物語が進行していく長編RPG。三国大陸全てをゲームエリアに使い、広大なフィールドを有する。また、前述のシステムに合わせて登場キャラクターの作中での実力が、そのままレベルに反映されているという国産RPGでは珍しい仕様となっている(住人ならレベル1~10、兵士ならば10~30など)。これにより、「住人をモンスターからガードする」「兵士と共に敵を殲滅する」などのイベントが物語に組み込まれており、戦闘中であってもリアルタイムでイベント展開が進行、変化していく。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] ストーリー
宮廷魔術師サンドラが拾った子供はとても奇妙な子供だった。「世界を滅ぼす闇にも、世界を救う光にもなる」との占いが出たからだ。物語は、その子供が成長し、外の世界に飛び出すところから始まる。多くの仲間との出会いを経て、彼は闇となるのか光となるのか…。
[編集] 登場人物
[編集] パーティーメンバー
※本作品では主人公の名前は自由に決められるため、カーマインという名前が固定されるのは続編の『グローランサーII』からであるが、ここでは主人公の名前はカーマインと表記する。
- カーマイン・フォルスマイヤー(声:1.声なし/2.千葉進歩)
- 本作品の主人公。産まれてすぐ捨て子となったが、サンドラに拾われ育てられる。幼少の頃「世界を滅ぼす闇にも世界を救う光にもなる」と相反する予言を受けており、サンドラより王都ローザリアで育てられた。成長した彼がこれからは外の世界を経験するようサンドラに言われて、ローザリアの外へと旅立つところから物語は始まっていく。オッドアイであり、右目が金色、左目が銀色となっている。
- ティピ(声:豊口めぐみ)
- カーマインが旅立つ際にお目付け役としてつけられたホムンクルス(魔導生命体)。生みの母はサンドラ。見た目は人間だが体長は20cm程度しかなく、羽も生えている。体の大きさとは裏腹にカーマインに蹴りをかましたり指四の字固めをしたりと、とても元気なキャラクター。ホムンクルスの寿命は体の大きさに比例するため彼女の寿命は1~2年程度しかない。
- ルイセ・フォルスマイヤー(声:小松里歌)
- カーマインの義妹でサンドラの実娘。皆既日食の日に産まれた強大な力を持つグローシアンであり、強力な魔法を操るが本人は泣き虫で甘えたがり。魔法学院に通っており、グローシアンであることで周りからは多少距離を置かれているところがあるが、学友のミーシャとはとても仲が良い。兄であるカーマインへの思いを胸に秘めている。
- ウォレス(声:玄田哲章)
- 元ベルガー傭兵団の、3人の副団長の1人。行方不明になった隊長ベルガーを探すため放浪の旅に出るが、物語の2年前に道中で出会った謎の仮面の男に襲われ両目と右腕を失う。サンドラに義手と義眼を作ってもらい、その恩からカーマインの旅に付き合う。両目と右腕を失って以来、戦闘能力はグランシルの闘技大会エキスパート部門で優勝したほどの全盛期に比べて低下しているが、豊富な経験と失われた視力を補うべく鋭敏化した嗅覚を持つ。
- ミーシャ(声:豊嶋真千子)
- ルイセと同じ魔法学院に通う女の子。かなりドジで失敗ばかりしているが、それにめげない明るい性格を持つ。カーマインをお兄様と呼んで慕っている。身寄りのない自分を引き取り、魔法学院に入学させてくれたマクスウェル学院長に多大な感謝をしている。
- アリオスト(声:三木眞一郎)
- 魔法学院に研究室を持つ、若き天才魔導研究家。外見は人間そのものだが、フェザリアンの母と人間の父を持つ混血児。そのため、優れた頭脳とそれに裏打ちされた魔法の知識を持ちつつも、MPは少ない。母に会いたい一心でフェザリアンや飛行装置に関する研究を進めている。自分と比べて、とても明るく前向きな性格のミーシャに思いを寄せている。
- ジュリア・ダグラス(声:手塚ちはる)
- 代々インペリアル・ナイトを輩出してきたバーンシュタイン王国の名門ダグラス家に生まれた長女。インペリアル・ナイトになるために男性名としてジュリアンを名乗り厳しい教育を受けてきたが、ダグラス家に男子である弟が生まれたことで父親から疎外され、失意の中、剣を捨てようとするがカーマインたちと出会うことで剣を振るう意味を知り立ち直る。その後、インペリアル・ナイトとなった彼女は使命のためカーマイン達と剣を交えることとなる。インペリアル・ナイトになる際、女である事実が発覚することを懸念した父親によってダグラス家を勘当されている。
- ゼノス・ラングレー(声:遠近孝一)
- 大剣を振るう、さすらいの傭兵。父が行方不明となり、母が死亡した後は妹カレンを護ることを第一に考える。闘技大会フレッシュマン部門決勝戦でカーマインに負けてからは彼の人生には闇が付き纏う。ある事情により重大な罪を犯す。
- カレン・ラングレー(声:I.浅野るり/II.水谷優子)
- ゼノスの妹。とても優しい性格で保養所で患者のために献身的に働いているが、内気な性格で兄以外にあまり心を開かない傾向にある。独学で薬学を学んでおり、のちに実家を改修して自分の病院を開く。
- エリオット(声:鶴野恭子)
- 品のある風格を漂わせる少年。バーンシュタイン王国の王子であるリシャールと顔が瓜二つ。若干控えめな性格だったが、目的のためにカーマインたちと旅を続けるうちに堂々とした風格を身につける。育ての両親より剣術と魔法の教えを受けた、魔法剣士。
[編集] ローランディア王国
- サンドラ・フォルスマイヤー(声:二木静美)
- カーマインの義母で、ルイセの母。ローランディア王国の宮廷魔術師でヴェンツェルの弟子。ティピを始め、魔導研究による産物でカーマインを助ける。
- アルカディウス(声:増谷康紀)
- ローランディア王国を治める国王。温厚な性格で、国や国民を大事にしている。
- レティシア(声:満仲由紀子)
- ローランディア王国の姫で、アルカディウスの娘。城の外に出る機会に恵まれず、リシャールが新王として即位する際にローランディアの代表として出席する折、カーマイン達に護衛されてバーンシュタインとの国境へ向けて旅立った時は、外の世界を見て喜んだ。
- ブロンソン(声:遠藤守哉)
- ローランディア王国軍の将軍。3国の国境地帯である迷いの森に程近い重要拠点、ラージン砦を任されている知将。ローランディアとバーンシュタインが開戦後、迷いの森方面の指揮を取る。
- ベルナード(声:木下尚紀)
- ローランディア王国軍の将軍。ローランディアとバーンシュタインが開戦後、ノストリッジ平原に展開する軍の指揮を取る。
- アイリーン(声:吉田愛理)
- ラシェルの保養施設に勤務する女医にして、グローシアン。
- ニック(声:滝下毅)
- アイリーンの恋人である剣士。
[編集] バーンシュタイン王国
- リシャール(声:鶴野恭子)
- バーンシュタイン王国王子。王子でありながら卓越した剣術を持ち、14歳という若さでインペリアル・ナイトを統べるインペリアル・ナイツ・マスターとなる。傲慢な性格ながら民の平和を第一に考える人物だったが、新王に即位後突然急変し隣国ローランディア王国に対し攻撃を始め、世界に戦禍を広げる。
- アーネスト・ライエル(声:置鮎龍太郎)
- インペリアル・ナイトの一人。二本の剣を華麗にさばき敵を倒す。リシャールとオスカーとは士官学校からの親友で、何より二人を大切に思う優しさと、情け容赦なく敵を倒す非情さを併せ持つ。
- オスカー・リーヴス(声:上田祐司)
- インペリアル・ナイトの一人。巨大な鎌を振るう。温厚な性格だがローランディア王国の兵士100人を一人で倒すほどの実力者。リシャールとライエルのためにあえてリシャールの敵であるカーマインに協力する。
- アンジェラ(声:新千恵子)
- バーンシュタイン王国王母。リシャールの母。リシャールが新王に即位後王都から王家御領地の別荘に移され、軟禁状態となる。リシャールに対しある理由でその正体を疑っているが・・・。
- ダグラス卿(声:徳山靖彦)
- バーンシュタイン王国北部の都市シュッツベルグの領主で、数々のインペリアル・ナイトを輩出した名門ダグラス家の当主にして元インペリアル・ナイト。そして、ジュリアの父親。アンジェラの提案の元彼女と共にやって来たカーマイン達と会見し、協力する。
- ガムラン(声:麻生智久)
- 元ベルガー傭兵団の、3人の副団長の1人。魔法と毒物そして呪術に精通した人物。ベルガーが行方不明となった後は早々に傭兵団に見切りをつけ、バーンシュタイン王国の暗部であるシャドー・ナイツの2代目マスターとなる。狡猾で残忍な性格で、卑劣な手段を平然と使う。
- ラルフ・ハウエル(声:野島健児)
- カーマインの前に現れた、瓜二つの顔をした人物。バーンシュタイン王都の豪商ハウエル家の養子で、カーマインの生き別れになった双子の兄だと名乗るが・・・。
[編集] ランザック王国
- ヴェンツェル(声:江川央生)
- ランザック王国お抱えの魔術師で元魔法学院長。そして、バーンシュタイン王国に仕えていた元宮廷魔術師。サンドラが魔法学院の生徒だった頃の師で膨大な知識を持つ。温厚な好々爺だが一つの野望が彼の中に眠っている。
- ウェーバー(声:今村直樹)
- 元ベルガー傭兵団の、3人の副団長の1人で、現在はランザック王国軍の将軍。豪快な性格で、剣術に長けている。ウォレスとガムランが去った後残された部下の傭兵達を連れてランザックへ赴き、部下共々仕官した。
- ランザック王(声:木下尚紀)
- ランザック王国を治める国王。ウェーバー達を仕官させ、魔法後進国である状況を打破すべくバーンシュタイン王国から亡命してきたヴェンツェルを抱え込んだ。バーンシュタインがローランディア王国に宣戦布告した後最初はバーンシュタインと同盟を結んで共闘しようとするが、最終的にはローランディアと同盟を結ぶ。
[編集] 魔法学院
- マクスウェル(声:高塚正也)
- 魔法学院長。とても優しく沢山の生徒に人気がある。ミーシャの保護者代わりとして面倒を見ている。グローシアンの研究を続け、ある結論に至る。
- 学院長秘書(声:藤野とも子)
- マクスウェルの秘書を務める女性。ティピいわく「金髪でスタイルのいい美人」だが、その言動はそっけない。
- ブラッドレー(声:西脇保)
- 魔法学院副学院長。メディス村出身。口下手な部分があり他人から誤解される損な性格の持ち主だが、呪術の研究にて呪術の被害に遭う人々を救おうとする精神の持ち主。
- 副学院長秘書(声:菅沼久義)
- ブラッドレーの秘書を務める男性。ブラッドレーを尊敬する好青年。
[編集] フェザリアン
- ステラ(声:森下真子)
- フェザーランドを治める女王。自分よりも種族全体を重視し、戒律を遵守する典型的なフェザリアン。
- ジーナ(声:藤野とも子)
- アリオストの実母であるフェザリアンの女性。かつてアリオストの父と出会い、彼と種族を超えた愛で結ばれアリオストを生むも、戒律を破ったとしてフェザリアン達によりフェザーランドへと連れ去られる。
[編集] その他
- ゲヴェル(声:滝下毅)
- かつて世界を支配しようとした伝説の怪物。元はフェザリアンが原生動物である「ゲーヴ」を改造して作った生物兵器。魔水晶に5体ほど封印されていたがそのうちの1体が目覚めた。かつては力で世界を支配しようとしたが失敗し、今度は人間社会を裏から操る方法を取る。強大な再生能力を持ち、自らの複製を生み出したり人間の細胞からクローンを作り出すことができる。ある人物のクローンを作り出し、世界征服のために暗躍させる。
- ベルガー(声:稲田徹)
- 元ベルガー傭兵団の団長で、ウォレスが探している人物。この物語の多くの鍵を握る。
- オズワルド(声:田中一成)
- グレンガルの弟が率いる盗賊団の副頭領。手斧を投げつける技の使い手。グレンガルより密かに依頼を受ける形で数々の陰謀に関わる。頭領がライエルの手で倒されて以降は、自ら頭領となる。
- グレンガル(声:中井和哉)
- 戦乱の中で暗躍する武器商人。グローシュ結晶など様々な物を持っており、それらを戦争当事者に売りつけて荒稼ぎしている。また、自身もなかなかの戦闘能力を有しているが、それらは金に物を言わせて装備を充実させた結果。いかに「金」を手にするかを第一としており、そのために戦火を拡大させかつ長続きさせるかに策略を巡らす。
- ちなみにⅡでは名前こそ言明されないものの、彼の手でリング=ウェポンが売り捌かれ、結果バーンシュタイン王国など各方面で採用されるきっかけを作ったことになっている。
[編集] 用語
- グローシュ
- 大気中に存在するエネルギー。時空のひずみを通して異なる世界から流出している。魔法を使うときに必要となる物だが、微々たる量しか存在しない。一般にひずみの大きい北側に多く存在し、南側には殆ど存在しない。現在では各地に「送魔線」というグローシュを集め蓄えておく装置が設置されており、送魔線に集められたグローシュを使うことでどこでも魔法を使うことができる。
- グローシアン
- グローシュを持って生まれた人々。厳密には時空のひずみからグローシュを引き出す術を本能的に知っている人々のこと。そのため一般人よりも強大な魔法が使える。太古の昔は多くの人間がグローシアンであったが、現在は日食や月食の日に生まれたごくわずかな人間しかグローシアンになれない。月食<日食<皆既月食<皆既日食の順番で力が強くなる。グローシアンからグローシュを奪うことは「時空のひずみからグローシュを引き出すための記憶」を奪うことと同義であり、グローシュを奪われた人間は廃人となってしまう。
- 時空のひずみ
- かつて、陽光が弱まり滅びつつあった世界からこちらの世界に移住するため、時空干渉で2つの世界を繋げるためにできたもの。グローシュはここを通して元いた世界から流れ出している。現在いる人間(とフェザリアン)は全て、元は異なる世界のモノであるため、時空のひずみが大きくなると元の世界に戻されてしまう。
- 三国大陸
- ローランディア王国、バーンシュタイン王国、ランザック王国を一まとめにした呼び名。
- ローランディア王国
- カーマインの母国。穏健なアルカディウス王が統治するため治安の良い国となっている。
- バーンシュタイン王国
- 大陸最強のインペリアル・ナイト騎士団を擁する王国。国政もインペリアル・ナイツ・マスターも王であるリシャール自らが勤める権力一点集中型。他国を力で支配する軍事路線を取る。
- ランザック王国
- 国土の多くが砂漠で、領土も南に位置するため魔法も他二国に及ばない三国中最も国力の弱い王国。少しでも他国と差を埋めるためヴェンツェルを擁したりもした。もともと多数の部族が集まって建国した国なので国内の結束力はあまり強くない。
- 魔法学院
- 知識の偏りをなくすためにローランディアとバーンシュタインが共同で作った魔法学問施設。場所も両国の国境上にあり完全な中立施設となっている。ルイセ、ミーシャ等をはじめ多くの学生が存在するが学問所よりも研究所としての役割が強い。新たな魔法、魔法技術の発見や開発を目標に研究を続けている。
- インペリアル・ナイト
- バーンシュタイン王国近衛第一騎士団所属騎士。一人で兵士100人分の力を持つと言われている。叙任には実力だけでなく一流の品格や知性なども要される。登場するインペリアル・ナイトはアーネスト、オスカー、ジュリア、そしてマスターのリシャールの4人。
- シャドー・ナイト
- バーンシュタイン王国所属諜報部隊。暗殺やスパイ活動など裏の仕事を引き受けるいわゆるバーンシュタインの裏の顔。秘密裏に作られた組織ゆえ、その存在を知るものはごく少数。
- フェザリアン
- 背中に羽を持つ人種。空に隔離されたフェザーランドに住む。魔法は使えないが人間よりも高度な科学力を持つ。個よりも集団を重視する考え方を持ち、戒律を遵守し、破ったものには厳しい罰を与える。
- 時空干渉能力
- 一時的に時空のひずみを大きくして多くのグローシュを生み出す能力。またそれを利用して周囲の人間をグローシアンにすることもできる。ただし、極度の疲労が伴う上に、時空のひずみを大きくしてしまうため多用はできない。
- パワーストーン
- 世界の因果律を歪め様々な奇跡を起こす秘石。しかし使用後は大規模な自然災害が起こったりとその副作用は大きい。また精製に一国の民ほどのグローシアンを必要とするため現存する物以外の精製はほぼ不可能。