グアノ島法
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グアノ島法とは、1856年8月18日に米国議会で可決された連邦法。米国市民はグアノが堆積している島を領有することができるというもの。占領されておらず、且つ他国政府の管理下におかれていなければ島がどこにあってもよい。この権益の保護のために米国大統領に軍隊を指揮する権限を与える。
- あらゆる島、岩、珊瑚礁に堆積するグアノを米国市民が発見した際は、他国政府による法的管理下になく、他国政府の市民に占領されておらず、平和裡に占有してその島、岩、珊瑚礁を占領したときはいつでも、米国大統領の裁量で米国が領有したと判断して差し支えない(グアノ島法第 1 節)。
この法律は現在でも有効である。
[編集] 背景
19 世紀初頭、グアノは農業用肥料として重用されていた。1855年、米国はこのグアノが大量に堆積している島々が太平洋にあることを知った。このグアノ採取を有利に行うためグアノ島法が議会を通過した。
この法律では、米国は島を占有するが、グアノが枯渇した後は占有を続ける必要はないというものだった。しかし、必要がなくなった後の領土の扱いをどうするかは定められていなかった。
これが米国による島嶼地域の領土に関する考え方の出発点となった。それまで、米国が取得した領土は、直ちに米国と一体不可分な一部となり、条約等により変更が無い限り、正式州になる機会を待つのが通例だったが、島嶼地域では州にする意図がはじめから無くても政府が保有することができるというものだった。
こうして 100 以上の島の領有を宣言したが、今日でも米国の管理下に置かれているのはベーカー島、ジャービス島、ハウランド島、キングマン・リーフ、ジョンストン環礁、パルミラ環礁そしてミッドウェイ環礁である。残りは全て資源枯渇後に放棄された。ナバッサ島は現在ハイチと米国の 2 国がその領有を主張しあっている。セラニャ・バンクとバホ・ヌエボ・バンクは更に複雑で、米国を含めて 3 カ国以上が領有の主張を行っている。1971年に、米国はホンデュラスと条約を結びスワン諸島がホンデュラスの領土であることを確認した。