ガンヘッド
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『ガンヘッド』 (GUNHED) は1989年7月22日に公開された日本映画。上映時間は100分。配給は東宝。
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[編集] 概要
本作は、『機動戦士ガンダム』などアニメによる巨大ロボットものを得意としたサンライズと、実写特撮ものにかけては長い歴史と経験を持つ東宝映画株式会社がタッグを組んだSF映画である。実写にアニメの巨大ロボットもののセンスを持ち込み、マニアからは「実写版サンライズロボットアニメ」とも評された。公開当時は「史上初の実写巨大ロボットムービー」を宣伝文句にしていたが、テレビでは既に着ぐるみによる『ジャイアントロボ』『大鉄人17』があり、プロップや原寸大モデルを用いた映画としても、実際には同年アメリカで公開された『ロボ・ジョックス』にわずかに先を越されている。
1987年頃よりガンヘッドのロボットのキャラクターをサンライズ側が打ち出して、東宝に持ち込む形で企画された[1]。当初の監督候補は長谷川和彦だったが[2]、アメリカで映画を学び、『スターウォーズ』の日本語版演出でSFの経験がある原田眞人を起用。特技監督には、1984年にSF映画『さよならジュピター』を手がけ、後に『ゴジラ』シリーズの特撮を長く任されることになる川北紘一である。主役ロボットのガンヘッドはアニメ畑の河森正治がデザインした。企画当初は大河原邦男によるデザインが進行しており、大河原稿と初期企画案『コマンドポリス』や『モビルファイター・ゼロ(戦闘機兵0)』のストーリーを元に吉田徹がイメージボードを数点描き起こしている。この後同じ吉田の手で、サンライズの山田プロデューサーやブレーンスタッフのアイデアを河森の準備稿デザインで描いたイメージボードも制作された。河森のデザイン決定稿を元にしたイメージボードは幡池裕行の手で、映画本編のシナリオを元に描かれた。高さ6メートルの実物大全身プロップも製作されたことでも話題になった。実物大プロップは、宣伝と人物との絡みシーン撮影に使用されている。又、出資者によりメディアミックス展開が図られた。実写で巨大ロボットの活躍を描いた映画である。
プロップ製作は「さよならジュピター」に続いて小川正晴率いるオガワモデリングが担当した。ガンヘッドは実物大モデルをはじめ各種サイズで製作されたが、撮影には主に1/8スケールモデルが使用され、戦車形態、直立形態、変形用モデルがシーンにより使い分けられている。ガンヘッドの上半身のみの着ぐるみ(スケール的には1/3相当)はクライマックスのエアロボットとの格闘戦シーンで使用されている[3]。エアロボットは最終デザイン・プロップ製作共に東宝美術部が担当した。また冒頭、過去の場面での銃器類は『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』に登場する悪の組織「赤イ竹」用のプロップが使用されている。
ロボットアニメの実写版を期待したサンライズ、SF映画を意図した原田眞人、特撮ものならではのロボットものにしたかった川北紘一とそれぞれの狙いが異なったが、結局、東宝のプロデューサーもサンライズのプロデューサーも川北の方向性で撮影中もシナリオを直していった[4]。しかし、完成した作品には「分かりづらい」「印象が薄い」と不評の声も聞かれた。一方、特撮を評価する声もあった[5]。
劇場公開版では、外国人俳優が多数出演し、劇中では登場人物がそれぞれ日本語と英語とで会話、字幕スーパーがついていたが、TBSでの地上波オンエア版ではナレーションも含めて全て日本語に吹き替えられている。ニムは「機動戦士ガンダム」のマチルダや「伝説巨神イデオン」のカララを演じた戸田恵子が演じた。また日本人キャストの声も全て再録されており、主役の高嶋の演技力が向上している事、一部のセリフが変更されて明解になっている事、加えて放映時の画質が良好だった事から、このテレビバージョンを支持する声もある[6]。
高揚感と緊迫感あふれる伊丹十三作品で有名な本多俊之による音楽は評価が高く、公開後20年近く経過し21世紀を迎えた現在もなおニュース、ワイドショーや、ドキュメンタリー番組といった報道番組全般で使われ続けている。
[編集] タイトル
ガンヘッドのスペルは「GUNHED」で「GUN unit of Heavy Eliminate Device」の略である。ガンヘッドという名称は、デザイン担当の河森正治が仮に書き込んでいたものがそのまま採用されたものだが、綴りは「GUN-HEAD」だった。海外展開する際、「GUNHEAD」では直訳で「銃頭」となってしまうため、それを避けるために前記の略語となった。河森は名称未決メカの仮称として度々使用していた様で、ビデオアニメ『破邪大星ダンガイオー』の主役メカ・ダンガイオーのデザイン画にも「GUN-HEAD」と書き込んでいた。
[編集] 映像ソフト化
長らくDVD化が見送られてきた本作だが、2007年2月23日に東宝より発売された。標準価格6,300円で、品番はTDV-17037D。片面2層の本編ディスクに映像がビスタサイズで収められ、映像特典として予告編やメイキング、静止画資料集も収録される。音声は劇場公開版のみ、字幕も公開時の手書きの物で、テレビ吹替版は収録されていない。封入特典は前述のサウンドトラックCDの復刻版。解説書も付属する[7]。このDVD発売を記念してDVDの発売日に新宿ロフトプラスワンで、川北特技監督らが出演のイベントが開催された[8]。
1990年代にアメリカでもVHSが発売になっているが、アメリカ人のテイストに合わないと大幅に再編集された。これに憤慨した原田は監督のクレジットから名前を削除し、DGA(全米映画TV監督組合)が定める偽名クレジット「アラン・スミシー」とした。なお、原田は日本映画監督協会員だがDGAとは全く関係ない。2004年にアメリカのADV FilmsからDVDが発売。DVD版の内容が日本版と同じなのかは不明。
[編集] ストーリー
西暦2025年、無人島8JOに建設された全自動のロボット工場を司る巨大コンピューター「カイロン5」が人類に宣戦布告、人類は自動戦闘ロボット「ガンヘッド」部隊を送り込むが守護神「エアロボット」の前に全滅、島は封鎖された。13年後、カイロンの CPU を盗むべく島に侵入したトレジャーハンター「Bバンガー」の面々は、連邦政府の研究所から超電導物質テキスメキシウムを奪って逃亡していた生体ロボット「バイオドロイド」の襲撃をうける。生き残ったのはメカニックに強い青年ブルックリンと、バイオドロイドを追ってきた女性レンジャー・ニムの2人のみ。島に生き残っていた子供セヴンとイレヴンに助けられる2人。やがてカイロン5の恐るべき陰謀を知ったブルックリンは、残骸の中に生き残っていたガンヘッド507号機を有人型に修復、カイロンとエアロボットに戦いを挑む。
[編集] 登場人物
- ブルックリン
- 荒廃した世界の中、人類が居住していたエリアを巡りコンピュータチップやプラスチック(この時代、プラスチック類は石油資源が枯渇したためレアメタルや貴金属、シリコンチップと同等の価値を持つ)等を回収する、「自称」トレジャーハンター集団・Bバンガーの最年少メンバー。メカに強くBバンガーではメカニックとして活躍していた。日系人。あだ名は「ブルックリン・ドジャース」のロゴ入りシャツを愛用している事に由来する。
- 普通の家庭に育っていたが、連邦政府とその政策に反対する勢力の抗争で両親を失う。その後連邦政府軍に入隊して有人型ガンヘッドのパイロットとなるが、北海道攻防戦の際行動不能となった自機のコクピットに1週間閉じ込められた事でコクピット恐怖症(=閉所恐怖症)となり不名誉除隊。バンチョーに拾われてBバンガーに入ったという経歴の持ち主。
- コミックス版では、少年時に父親と潜水艇で潜水中に事故に遭い座礁。救援艇が来るまで残存酸素が2人分には到底足りなかったため、父がブルックリンだけでも生き残らせようと、本人が寝ている間に拳銃自殺。その後父の友人のバンチョーに引き取られた。
- 元兵士だけあって逞しい肉体をしており、銃器の扱いにも長けている。基本的に陽気でタフな性格だが、追い込まれるとやや意固地になるところがある。好物は生の人参。当初はキュウリの予定だったが、高島政宏が苦手としていたため変更された。スティック状にカットした人参をバンチョーが愛飲している葉巻ブランドのシガレットケースに入れて持ち歩いている。また嫌煙家ではあるものの、他人が吸う事については特に何ともない様子。実際バンチョーの煙草に火をつける事も多かった様で、ライターを持ち歩いていた。バンチョー亡き後はニムの葉巻に火をつけていた。
- カイロンタワーに潜入後、仲間を次々と失うも行動を共にしていたニムの機転でタワー中枢を脱出したブルックリンは、脱出した先のカイロンタワー最下層で出会ったセヴンとイレヴンの案内でロボット墓場に赴き、眠りに就いていたガンヘッド507を発見する。ガンヘッドとの対話でカイロンの目的がテキスメキシウムを得ての復活と人類の完全なる抹殺である事を知ると、その野望を挫くべくガンヘッド507を有人機へ改修。ニムの励ましとバンチョーの形見の飛行帽で勇気を奮い立たせ、コクピット恐怖症を克服してカイロンの撃破を目指す。
- 二ム
- テキサス・エア・レンジャーズ(TAR。劇中の字幕では「テキサス空域警備隊」と記述された。元ネタはテキサスレンジャーズ)所属の女レンジャー。階級は軍曹(実質的には伍長)。連邦政府の首都ダラスにある研究所から超電導物質テキスメキシウムを奪い、「故郷」へと戻ったバイオドロイドを追って 8JO へとやってきた。この際、乗っていたヘリを撃墜されて相棒のメイを失っている。
- 上流家庭の出身でBバンガーの様なアウトローを侮蔑的な意味で「バンディッツ」(無法者)呼ばわりするなど、やや頭の固いところがある。ラストシーンではブルックリンの事を愛情込めて「我らが、バンディッツ」と呼んでいる。行動力に富み、目の前の困難は自力で打破する力強さを持つ。またコクピット恐怖症だからとガンヘッドに乗る事を拒むブルックリンを「アマエンジャナイヨ! (甘えんじゃないよ! )」と叱咤激励するという心優しい一面も見せる。偶然にもバンチョーと同じ銘柄の細巻きタイプの葉巻(シガリロ)を愛飲する。
- セヴン
- 無人のはずだった 8JO の生存者で、天真爛漫な少年。 8JO にいた人間(カイロン5の保守整備を担当する企業サイボテック社のスタッフとその家族)はロボット戦争勃発直前に全員処刑されていたが、彼とイレブンだけはカイロンのある思惑によって生かされていた。カイロンの防衛システムに引っかかって負傷した左足がやや不自由。
- イレヴン
- セヴンとともに 8JO で生き延びていた少女。セヴンよりも年上だが、やや引っ込み思案な性格。言葉を失っているが、その理由はバイオドロイドに狙われる事と関係がある。また彼女だけはカイロンの防衛システムに探知されない。
- 二人の名前はコンビニ「セブン-イレブン」の看板からセブンが付けたらしい。
- バンチョー
- Bバンガーのリーダー。伸ばした顎鬚と飛行帽がトレードマークの、根っからの自由人。彼が愛飲する葉巻に火をつけるのはブルックリンの役割だった。
- 元々Bバンガーは爆撃機を改装した愛機メリーアンで世界中を巡るレーサーの集団だったが、チームの面々が政府の方針に従い火星へ移住する中リーダーのバンチョーだけは地球に残り、以後トレジャーハンターとしてのBバンガーを結成して地球上を駆け巡っていた。軍を辞めた後行き場を無くして彷徨っていたブルックリンを拾い上げ、コクピット恐怖症を無理やりにではあるが直そうとするなど、面倒見の良いところがある。
- 8JO 潜入後、移動中のエレベーターでバイオドロイドの強襲を受けて死亡(いきなり姿が消えたため、恐らくはエレベーターシャフトの下へ叩き落されたと思われる)。その場に残った飛行帽はブルックリンへと受け継がれた。
- 「銃で遊ぶと、ツキ(運)が落ちる」というポリシーを持っており、手持ち無沙汰な時に愛用のリボルバーを弄ぶクセ (?) のあるブルックリンを叱る事も。そのポリシーもまたブルックリンへと受け継がれ、カイロンドーム進行中にマシンガンを打つマネをするセブンへブルックリンが「ツキが落ちるぞ」と語るシーンがある。
- ベベ
- 元傭兵の女傑。戦闘時に負傷した目を治さず(この時代、おおよその外傷は痕を残さずに治療する事が可能)、顔の半分を覆うほど大振りのマスク状のメカを装着している。メンバーの中ではブルックリンに対し好意的で、良く面倒を見ていた。
- ブルックリンやニムと共にカイロン5の本体があるドームまでたどり着いてテキスメキシウムを奪うが、カイロンによって冷却水のプールへと叩き落されてしまう。その後破損したバイオドロイドに取り込まれ、その一部と化してしまうが…。
- ボンベイ
- ブルックリンが来るまではBバンガーの最年少だった青年。そのためか、普段はやたらと兄貴風を吹かせてブルックリンにつっかかる。口では大きな事をいうが実は小心者。普段は英語で話すが、慌てたりすると日本語が混じる。元連邦政府海兵隊の兵士だったが、不名誉除隊となっている。ベレー帽と丸眼鏡がトレードマーク。ロレックスをコレクションしており、愛用のコートの中にずらりとぶら下げている。
- カイロンドームへの侵攻中にバイオドロイドと交戦し、死亡。
- バラバ
- バンチョーがトレジャーハンターとして活動を始めて間もない頃、メリーアンで不時着したのを助けてメンバー入りした黒人の巨漢。正規の軍歴はないが、あらゆる武器を使いこなす。バンチョーが襲われた直後、エレベーターの外からバイオドロイドに鉄の棒で串刺しにされ、さらにはそこへ高熱を流し込まれて殺された。
- ボクサー
- 元傭兵で、ベベとは幾多の戦場でパートナーとして一緒に戦ってきた。その縁でBバンガーに参加。外見の特徴としては、サングラスとオールバックにした髪が挙げられる。クールで好戦的な性格で、コクピット恐怖症のブルックリンには良い感情を持っていない。だが胸に「No Smoking」と書かれたバッジをつける程の嫌煙家で、その部分は唯一の共通点でもある。
- カイロンタワーへ着陸したメリーアンとブーメランの警護の為エアポートに残るがバイオロイドに襲撃され、最初の犠牲者となった。
- ブーメラン
- 元連邦政府のコンピュータ技師。住んでいた居住区が連邦政府によって閉鎖され、職にあぶれてBバンガーに参加。長い黒髪と褐色の肌が印象的で、その整った顔立ちからは知性とクールさ、そして女らしさが感じられる。男勝りで粗野な面も見えるべべとは対照的な存在といえるだろう。8JO 到着後、タワーへ潜入するバンチョーたちのバックアップを行う為メリーアンに残るが、バイオドロイドに襲撃され死亡。
- なお小説版ではBバンガーのセックスシンボルで、ボンベイやボクサーの性欲の捌け口にもなっていた様である。また足が不自由という描写もあり、これは小説版に登場しないセブンのディテールが組み込まれたものと推測される。
[編集] 登場メカ
- メリーアン
- 航空機。Bバンガーの移動基地。
- 冒頭の雲海上空の飛行シーンやカイロンタワーへの着陸シーンに使用されたミニチュアの他、実物大の機首部分も作られた。これはBバンガーの面々がタワーへ侵入するシーンで使用されている。
- ヘリコプター(機種不明)
- テキサスエアレンジャーズの移動手段。Bバンガーがカイロンタワーに到着した時に、タワーの近くで墜落し燃えていた。
- ロボコーラ(ペプシタイプ)
- 2023年アイランド8JO製、移動式自動販売機。ブルックリンがボンベイをからかうのに使った。
- 知性地雷 Type9 R2
- 2010年製造。音声に反応して爆発する浮遊地雷(機雷?)。ブルックリンに不良品呼ばわりされるが、捨てた直後に爆発した。
- バイオドロイド
- アイランド8JO製。超原子核研究所の所員。バイオドロイド暴動の際、テキスメキシウム鉱石を盗みアイランド8JOに逃亡。追跡してきたテキサスエアレンジャーズのヘリコプターを撃墜した。
- 人間の細胞を利用して蘇生する事が可能で、カイロンドームで倒された後ベベの体を使って蘇生した。
- カイロン5
- 巨大コンピュータ。アイランド8JOでロボット製造を行っていたコンピュータ。モニターにCYBO TECH CORPORATIONとの表示がある。自我があり世界を破滅させるために人類を刺激しテキスメキシウム鉱石を作らせたと推測される。ガンヘッド507による1937通りの推測のうち、オススメの1つ。
- エアロボット
- アイランド8JO製。カイロンドームの警備用ロボット。カイロンタワー内での活動のみが想定されているため、移動は金属製の床を利用した磁気フローティング方式。ガンヘッドより一回りは大きいその巨体を強固な装甲で包み、電磁ブレードや火炎放射器を装備した2本のアームを装備している。唯一にして最大の弱点は、本体前部に配されたレーザー砲にもなる3連センサーアイ。3つ全てを破壊されるとエアロボットが爆発したため、ガンヘッドの手に装備されたカメラ(通称:ゴルフボール)と同様に動力源へ直結した構造と推測される。
- トラック
- 詳細不明。セブンとイレブンがいた場所からタワーを登れる場所まで移動するのに使った。ブルックリンは修理の際、狭い運転席を忌避して車体後部に自分が座るためのオープンシートを増設した。
- ガンヘッド507
- 主に強行偵察などを主任務とするサージェント(軍曹)タイプの無人型ガンヘッド。その頭脳は時々の状況を分析の上一番確率の高い、すなわち一番有利な解答をアウトプットとして採用する推論型コンピュータである。細部まで含め機体そのものは標準型ガンヘッドと全く同じであり、武装はもとよりパーツまでが転用可能。ちなみにこの時代、ロボットの生産はバイオドロイドのような有機アンドロイドを含めてその殆どがカイロン5に委ねられていたが、唯一の例外がガンヘッドに代表されるUHED系列の戦闘ロボットだった。
- ロボット大戦の際は標準型ガンヘッド508、509の2機(そして若干名のサイボーグ手術を施された兵士)を従えた小隊指揮官として活動した。この戦闘ではカイロンの電波妨害によって大多数のガンヘッドが本部との交信を絶たれてしまい何もできないまま破壊されたが、極少数のサージェント・ガンヘッドは推論型コンピュータによって独自の判断を行えたため、小隊を指揮して戦闘を継続。その中で唯一カイロンドーム目前までたどり着いたのが507の指揮する小隊だった。しかしカイロンの守護神エアロボットとの戦闘で508と509は破壊され、507もメインコンピュータを破壊された事で自立的な行動が行えなくなり活動を停止。以後タワー下層のロボット墓場へと追いやられ、ブルックリンたちと遭遇するまでスクラップに埋もれて永い眠りに就いていた。
- エアロボットを破壊してカイロンタワーから脱出するにはガンヘッドが必要だと考えたブルックリンは、ロボット墓場を探索して、主動力源であるハイパーリキッドジェネレーターが無事だった507を発見する。彼はセヴンと共に山とあったガンヘッド・タイプのスクラップを利用して機体を再生させ、さらにはコクピットを新造して無事だったサブコンピュータを利用する形で有人型として作り変えた。復活を遂げた507はブルックリンの軽口に応じるなどコンピュータらしからぬフランクさを見せ、良きパートナーとして活躍。時には度重なる困難にくじけそうになるブルックリンを叱咤激励したりもする。ブルックリンがいよいよ困難窮まって戦闘継続を諦めかけた時などは、自らは確率を重視するコンピュータであるにも関わらず「“確率なんてクソ喰らえ”でしょう!?」と諭すというアツい面も見せたりも。意外にも古き良き時代――人類が地球で自由を謳歌していた時代――のベースボールを愛し、特にブルックリン・ドジャースのファンとしてそのスコアを全て記憶している。カセットブック2巻でも13年前の大敗の理由を話した後に、ブルックリンとのチームワークがとてもよかったと、チームワークを重んずる傾向を垣間見せた。
- 有人型への改装作業中にバイオロイドの襲撃を受けハイパーリキッドジェネレーターを破壊されてしまうが、アルコール類を代謝できるリアクターを装備していたので代わりの燃料として室温調整用の空調機に取り付けられていた燃料タンクを脚部に括り付け、タワー内の各所に残っている同じようなタンクを補給しながらの作戦を敢行した。やがてカイロンドーム手前でその燃料も尽きかけた時にウイスキーの樽(ロボットが飲むと踊りだすといわれる伝説のウイスキーが眠っているという台詞が物語初頭にある)を発見し補給作業後、最後の決戦に挑んだ。ガンヘッド自身、ウイスキーを補給後に「死ぬ時はスタンディングモードで」とか少々饒舌になっていた節がある。カイロンの自爆寸前に、“ガンヘッド大隊、任務完了”のメッセージを送る。
- ガンヘッド508
- ロボット大戦の際ガンヘッド507の小隊に所属していた標準型ガンヘッド。エアロボットとの対戦で破壊されたがノーズセンサーだけが生き残っており、ブルックリンによる改造後のガンヘッド507がエアロボットを奇襲攻撃するのに利用された。
[編集] キャスト
- ブルックリン:高嶋政宏
- ニム:ブレンダ・バーキ
- バンチョ―:ミッキー・カーチス
- イレヴン:水島かおり
- セヴン:原田遊人
- ベベ:円城寺あや
- ボンベイ:川平慈英
- ボクサー:斉藤洋介
- ブーメラン:ドール・ヌィーン
- バラバ/バイオドロイド:ジェームズ・B・トンプソン
- ガンヘッド:ランディー・レイス
[編集] スタッフ
[編集] 本編
- 製作総指揮:清水雅(東宝)
- 製作代表:田中友幸(東宝映画)
- 製作:角川春樹(角川書店)、松岡功(東宝)、吉井孝幸(サンライズ)、辻信太郎(サンリオ)
- 脚本:ジェームズ・バノン、原田眞人
- 脚本協力:柏原寛司
- 撮影:藤沢順一
- 美術:小川富美夫
- 録音:斉藤禎一
- 照明:栗木原毅
- 編集:黒岩義民
- チーフ助監督:井上英之
- 製作担当者:森知貴秀
- 音楽:本多俊之
- 映像制作:東宝映像美術
- プロデューサー:島谷能成(東宝)、富山省吾(東宝映画)、山田哲久(サンライズ)
- エグゼクティブプロデューサー:高井英幸(東宝)、山浦栄二(サンライズ)
- 監督:原田眞人
[編集] 特殊技術
- 特技監督:川北紘一
- 特技撮影:江口憲一
- 特技美術:大澤哲三、好村直行
- 特技照明:斉藤薫
- 繰演:松本光司
- 石膏チーフ:安丸信行
- 特殊効果:渡辺忠昭
- 特技チーフ助監督:松本清孝
- メカニカルデザイン:河森正治
[編集] 主題歌
[編集] ガンヘッド製作委員会
、、
[編集] メディアミックス
[編集] ゲームソフト
- ファミリーコンピュータ『ガンヘッド 新たなる戦い』(バリエ)
- 映画における戦いで活動を停止したはずのカイロン5が復活した 8JO において、ガンヘッド・バリエーション(映画に登場した強行偵察型サージェント・ガンヘッドや汎用型ガンヘッドの他、河森正治によって設定・デザインされた偵察型サーチヘッドや重装型キャノンヘッド)を駆使してカイロン撃破( = 超伝導物質テキスメキシウムの奪取)を目指す戦術シミュレーション。ボスキャラとして登場するエアロボットとの戦いはシューティングとなる。
- 映画より未来の世界の物語で、自機ガンヘッドは宇宙用に改造された機体と設定されている。実際には本作とは全く繋がりがなく、海外で発売された際に『Blazing Lazers』と改題されている。シューティングゲームとしての完成度は高く、ゲーマーからは非常に高い評価を受けている。ゲームシステムはコンパイル製作の高速縦スクロールシューティングゲーム『ZANAC』や『アレスタ』の流れを汲んでいる。
[編集] 漫画
- 麻宮騎亜『GUNHED』(角川書店月刊ニュータイプ連載、ニュータイプ100%コミックス)
- キャラクターデザインは菊池通隆が担当。ブルックリンがハイティーンと思しき少年だったり、彼のコクピット恐怖症が幼い頃の父親の死に起因するものとなっている他、物語に若干のアレンジが施されている。その他、登場人物の外見的特徴も映画を踏襲していない。また無人機時のガンヘッド507に増設されたセンサーユニットや、ガンヘッドと激闘を繰り広げる敵メカ・エアロボットのデザインは河森正治が映画本編用に描いたデザインを採用している(前者は映画では未使用、後者はその構造の複雑さから操演に向かないと判断されて没となった。なお映画のエアロボットは、河森稿で提示されたコンセプトを一部継承して美術デザイン担当の大澤哲三がデザインしている)。主力兵装の20ミリチェーンガンが電磁レールガンになっているなど映画版のガンヘッドと比べて微妙にデザインを変えてある。
- ニュータイプ誌ではコミックの連載他、麻宮騎亜や菊池通隆の描き下ろしセルイラストや映画本編のスチル等を交えた関連記事を展開した。イラストについては後述のムックにも掲載されている。
[編集] 小説
- 会川昇『ガンヘッド1 銀光の狂獣』(角川文庫)
- 会川昇『ガンヘッド2 朱き荒野の狩人』(角川文庫)
- 会川昇『ガンヘッド正伝 蘇る機神』(角川文庫)
- 主人公を初め時代設定など、映画とは大きく異なっており、『正伝』が映画のノベライズに相当。『1』と『2』はその前史に当たる。
- ちなみに、『正伝』の後に『完結編』(會川の弁によると、2巻と『正伝』の間に来るエピソードでガンヘッド大隊がカイロン5と戦う、映画における「ロボット大戦」に相当する物語だったという)が発売される予定だったが、映画の興行成績の不振を受けてか見送られた。
- 『1』『2』の舞台は、人類が移住した惑星の一つで日系人が多く住む惑星出雲。主人公ライナー真島は、ステーションと呼ばれるコンピュータネットワークによって事実上の統治・管理が行われている世界の中、揉め事等の処理を生業とする<私設警察官>である。謎の美女ユウ砂時の依頼によって出雲正規軍の開発した新兵器「ゼロタイプ」奪取に関わったライナーは、出雲を巡る陰謀に巻き込まれていく。ガンヘッドのプロトタイプ「ゼロタイプ」は戦闘力に優れるばかりかあらゆる攻撃の威力を軽減する装甲を持つ等、超兵器的な存在として描かれている。
- 『正伝』は、人類が出雲他の惑星へ大挙して移住した事によって結果的に荒廃した地球が舞台。地球も移民星同様ステーションの管理下にあり、カイロン5もステーションを構成するスーパーコンピュータの一つだったという設定。ブルックリンは幼い頃に遭遇したある出来事による銃器恐怖症(ただし整備で触れる分には何の問題もない)というトラウマを持ち、カイロン5や 8JO とは非常に強い関わりがある。二ムは反ステーション組織レンジャーズに所属するビジョネイル(キーボード等のデバイスを介さずにコンピュータとリンクし、対話できる能力の持ち主)。セブンとイレブンは登場せず、代わりに2人の特徴を併せ持った「キーワード」と呼ばれる子供が登場する。Bバンガーの面々は挿絵で映画の俳優陣に準じた外見で描かれている(但しべべだけはややコミック版寄り)が、ボクサーが臆病な面を覗かせたりボンベイが非常に凶暴に描かれる等、作中ではその役割や性格描写に若干の差異がある。
[編集] カセット文庫
- 「ガンヘッド Part1、2」(角川書店)
[編集] スタッフ
- 脚色:遠藤明範
- 演出:鈴木久尋
- 音楽:本多俊之 *劇場版のサウンドトラックが使用されている。
- 音響制作:青二企画
[編集] キャスト
- ブルックリン:堀秀行
- ベベ:小山茉美
- バンチョー:永井一郎
- ボンベイ:塩屋浩三
- ボクサー:広中雅志
- バラバ:佐藤正治
- ブーメラン:富沢美智恵
- ニム:鈴木富子
- セヴン:鈴木みえ
- イレヴン:金丸日向子
- ガンヘッド:戸谷公次
- カイロン5:山口奈々
- ナレーター:石原良
[編集] ゲームブック
- 「ガンヘッド コンピュータ・クライシス」(バンダイ)
- 制作はスタジオハード、挿絵は加藤礼次郎が担当。映画に準じた物語となっているがボクサーがブルックリンに対して非常に好意的な良き兄貴分的に描かれている事やボンベイが博識なインテリ風キャラになっている事、そしてブルックリンに何かとつっかかる役どころがバラバとなっている事や、ロボット墓場のガンヘッドが装備や装甲、状態の差異で3種類あってそこから1機を選ばなくてはならない(これはガジェットを一種のアイテムとして考えるファミコンのアドベンチャーゲーム的発想で、スタジオハードが数多く手がけていたキャラクター系ゲームブックのお約束ともいえる)等、細部における違いが非常に多い。前述の通りブルックリンがガンヘッドを再生させる形ではないため、映画やコミック、小説の様な二人(一人と一機?)のやりとりは見られない。
- またカイロン5のバイオドロイドが人間の死体を原料に作られていてその工場にバラバの死体が運ばれているシーンがあったり、ニムのフルネームがブレンダ・ニムとなっているなど、映画のキャスティングをもじった設定が散見される。
- 全体としてはロボットが活躍する物語の中にハードSF的な要素を盛り込もうとしたフシが伺える。クライマックスは映画と異なる様相を見せ、エピローグも洋画の様な展開である。
[編集] その他
角川書店からは映画を中心に小説やコミックの紹介も含めたムック(ニュータイプ100%)、ホビージャパンからは映画の紹介に加え独自のメカニック解析・解説を主体としたムック、ケイブンシャからは同社の顔だった子供向け書籍シリーズ「ケイブンシャの大百科」(但しガンヘッド・バリエーションの解説等、マニア必見の記事も多数掲載)、バンダイからは映画のストーリー&各種設定等の紹介書籍と特撮に関して解説した書籍が発売された。
[編集] 注釈
- ^ 『動画王Vol.10』キネマ旬報社、2000年、p22
- ^ 白石雅彦編著『平成ゴジラ大全 1984-1995』双葉社、2002年、p98
冠木新市『君もゴジラを創ってみないか 川北紘一特撮ワールド』徳間オリオン、1994年、p184-p185 - ^ DVD収録のメイキングで確認されている。
- ^ 冠木新市『君もゴジラを創ってみないか 川北紘一特撮ワールド』徳間オリオン、1994年、p186-p187
- ^ 田中文雄『神を放った男 映画製作者・田中友幸とその時代』キネマ旬報社、1993年、p300
冠木新市『君もゴジラを創ってみないか 川北紘一特撮ワールド』徳間オリオン、1994年、p185
岩本克也「世界のB・ガールズ・コレクション」『映画秘宝vol.8 セクシー・ダイナマイト猛爆撃』洋泉社、1997年、p181 - ^ 岩本克也「世界のB・ガールズ・コレクション」『映画秘宝vol.8 セクシー・ダイナマイト猛爆撃』洋泉社、1997年、p181
- ^ “東宝×サンライズ”のSFロボット・アクション映画『ガンヘッド』がDVD化! CD Journal.com 2006年12月19日。
- ^ EVENT川北紘一の、ガンヘッドの秘部全部魅せます! 東宝映像事業部オフィシャルサイト 2007年3月5日
[編集] 参考文献
- 冠木新市『君もゴジラを創ってみないか 川北紘一特撮ワールド』徳間オリオン、1994年、p184-p188
- 田中文雄『神を放った男 映画製作者・田中友幸とその時代』キネマ旬報社、1993年、p298-p300
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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