ガルフォース
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ガルフォースは、アートミックとAICが制作したSFアニメ、『ガルフォース ETERNAL STORY』と、その続編として制作された『宇宙章』、『地球章』などのOVAシリーズ。
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[編集] 概要
『ガルフォース ETERNAL STORY』はOVAとしてリリース後、1986年に東宝系にて劇場公開された。併映は板橋しゅうほう原作のSFアニメ『アイ・シティ』。
原作「スターフロント・ガルフォース」は、模型雑誌モデルグラフィックスに連載されたオリジナルストーリー。女性フィギュアとスクラッチされた専用の装備、メカなどの写真と小説のコラボレーションされたもので、企画のアートミックがモデル製作にも参加した。後に連載をまとめたムックも出版された。
雑誌連載時の主人公はラビィ、パティ、ラミィの3人であったが、アニメ化の際に7人となり、原作のストーリーも映画後半部に組み込まれた。アニメーションとしての続編はOVAとして作成された。
モデルグラフィックス内でも既にカルト的な人気を誇っていたが、関西地区で読売テレビ『アニメだいすき!』をはじめ、全国各地でのテレビ放送が切っ掛けとなり人気に拍車がかかった。
ソフト化はVHS、Betamax、8mmビデオ、レーザーディスク、VHDと多数の方式でソフトウェアが供給された。(後にDVD-VIDEO化もされた。)また、ビデオソフトはSonyPCLが開発したSEQ(SuperExcellentQuality)方式の高画質プリントで発売され、ビデオディスク並みの高画質と宣伝された。
発売元はETERNAL STORY、DESTRUCTIONはソニービデオソフトウェアインターナショナル(SVI)。テンリトルガルフォース、STARDUST WAR、RHEA GALLFORCEはCBS・ソニーグループ(CSG)。 GALLFOECE THE REVOLUTIONはソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)。残る作品はポリドール・レコードから発売された。
RHEA GALLFORCE発売当時、機動警察パトレイバーや吸血姫美夕など一本五千円前後で買える低価格帯OVAが主流となりつつあり、発売元のCBS・ソニーグループも「Ap5800」シリーズを立ち上げ、その流れに乗ろうとした。ビデオソフトとレーザーディスクの定価を宇宙章の半額程度の5,800円に抑え、目標として従来より二倍売り上げる予定であったが、その販売目標を達成することが出来なかったため、シリーズ途中で作品ごとポリドールへ移籍することとなった。 なお、RHEA GALLFORCEの発売は1989年でバブル崩壊時期には掛かっておらず移籍とは全く無関係である。
ファンの熱烈な支持に支えられ発売元を変えて続けられたシリーズの制作は、前途多難を予感させる船出となった。ポリドール移籍後による初作品『ガルフォース地球章1』は、作品の制作が発売日に間に合わず、未完成のまま出荷・発売されるという異常な事態となった。この件に関しては発売前に行われた未完成状態での試写イベントの際に観客から「発売日までに完成する進行状態ではない」と既に指摘されており、制作側も「製品版は完全に完成した状態で出荷致します」と発言していた。にもかかわらず未完成な作品をユーザーは手にすることとなり、これを知りながら出荷したアートミック、ポリドールは購入者からの猛烈な抗議を受ける結果となっている。その反省もあってか『ガルフォース地球章2』はプラズマシューターや拘束中のサンディなどかなり作画が改善された(特に後者はアニメVの記事や後の地球章全集ジャケットイラストにも使用される等ある意味地球章2のキービジュアルともなっている)。
1996年に制作されたGALLFOECE THE REVOLUTIONからはソニー・ミュージックエンタテインメント、ムービックが再び製作元となっている。
[編集] ストーリー
ガルフォース エターナル・ストーリー 広大な宇宙で抗争を続ける2大勢力。機械骨格に宿る液状生命体パラノイドと単一生殖の人間型ソルノイドは、第9星系の新天地カオスを巡っても激しい戦闘に突入した。ソルノイド軍の巡恒艦スターリーフは戦闘中に被弾し艦隊から離脱。生存した7人のクルーを乗せてカオスに向かった。パラノイド親衛艦隊の追撃にひとり、またひとりと倒れる中、生き残ったクルーは両軍が極秘裏に進めていた驚くべき計画を知ることになる…。
ガルフォース2 ディストラクション 仮死状態で宇宙を漂っていたルフィはシルディたちの船に救出され蘇生される。そこで、ソルノイド、パラノイド両軍とも母星を惑星破壊砲で失い、現在最終戦争にむかっていることを聞かされる。戦争の無意味さをルフィに説得しようとする平和主義者のシルディたち。が、ルフィは最後までパラノイドを敵として戦うことを選ぶ。最後の惑星が生き残る第9星系を恒星ごと破壊しようとするソルノイド軍の計画を阻止するため、シルディたちは恒星破壊砲を破壊する行動に移るのだが…。
ガルフォース3 スターダスト・ウォー<宇宙章・完結編> 恒星破壊砲を破壊したルフィはシルディたちは、キャティに連れられ情報部のネビュラート大佐に会う。大佐はキャティを作った本当の意味を語る。両軍の全滅が最終戦争を阻止すべく、大佐とルフィはシルディたちは惑星活性装置を使い平和を訴えるが、両軍とも聞き入れない。大佐は最後の望みを未来の人類に託し、第9星系のカオスにカプセルを放つ。
[編集] スタッフ
- 原作:柿沼秀樹
- 脚本:富田祐弘
- SF考証:松崎健一
- 監督:秋山勝仁
- 演出:五月女有作、八谷賢一
- キャラクターデザイン:園田健一
- メカニックデザイン:柿沼秀樹
- アシスタントデザイン:夢野レイ
- 作画監督:北島信幸、田中正弘
- メカ作画監督:仲盛文
- 美術監督:東潤一
- 撮影監督:新井隆文
- 音楽:瀬尾一三
- 音響監督:松浦典良
- 制作:アートミック、AIC、アニメイトフィルム
[編集] 登場人物
[編集] 映画版から登場したキャラクター
それぞれ動物の英名が名前の由来となっている。
- ラビィ:松井菜桜子
- 19歳。スターリーフ号のサブコマンド。原作からのキャラで宇宙章第1部のヒロイン。背はやや高めだが、髪はロングで軍人らしからぬ女性らしい風貌をしている。性格は生真面目で少々融通が利かないが、いざと言う時はかなりの行動力を発揮する。仲間の不慮の死や壮大な陰謀を知り、一人悩む事が多いが、最後は枢軸幹部の命令を拒否。自らの命と引き換えに重大な決断をする。
- パティ:原えりこ
- 17歳。銃器類のエキスパート。ボーイッシュで活発な性格だが、時折(特に後半)女の子らしい情の細やかさを見せる事がある。原作からのキャラで、ラビィを姉の様に慕う。戦闘中に謎の怪物に教われ、体調に異常をきたす。それに気付いたラビィに瞬間移動機で救われるが、その時に自分そっくりの少年を生み出す事になる。最後は新しい命を守るべく、ラビィと共に戦闘機に乗る。
- ラミィ:山本百合子
- 15歳。スターリーフ号のシェフ兼館内雑務担当。彼女までが原作のキャラである。小柄で幼児体型(但し、ソルノイドは第2次性徴が遅いらしく、当時は成長が完了していなかった)。フワフワの独特の髪型には賛否両論があった。性格は明るいが、かなりのおっちょこちょいで、パティによく突っ込まれている。物語後半に登場したパティそっくりの少年を早い時期から受け入れ、やがて恋愛感情を持つ様になる。植民星カオス爆発の際、少年と共に脱出用ポッドに乗せられ、惑星ティラーに向かう。続編に登場した時は長身の美女に成長。やはり逞しく成長した少年との間に2児をもうけ、ジャングルで原始的ながら、幸せに暮らしている所が確認される。
- エルザ:川村万梨阿
- 21歳。スターリーフ号の艦長。但し実際は副艦長で、行方不明になった本物の艦長の代行をしているに過ぎない。良くも悪くもリーダーらしい性格で、みんなから煙たがられているが、ラビィとは結構仲が良い。幾度となく危機を乗り越えていくが、艦内に侵入した怪物に襲われ、「奴らの考えがわかった。私は絶対に拒否する」と言う謎のセリフを残し、死亡する。遺体はロケットタイプの棺に入れられ、宇宙葬にされる。
- ルフィー:鶴ひろみ
- 21歳。ソルノイド軍のエースパイロットで、「撃墜天使」の異名を持つ。宇宙章第2部以降のヒロインの一人。本来スターリーフ号のクルーではなく、戦闘中に不時着し、そのまま居着いてしまう。派手なルックスで一人称は「俺」。基本的には善良な性格だが、やさぐれており、規則を全然守ろうとしない。その為、エルザやラビィと衝突するが、ラビィとは次第に友情が芽生えていく。しかし戦闘中に狙撃され、意識がないまま、約10年間宇宙をさまよう。目覚めた時には戦争は末期状態で、そんな中戦争の終結と新しい生命を守る為に行動を起こすシルディ達に出会う。それまで完全に戦いに身を置いて来た為に共に行動する事を受け入れる事にはためらいを感じるも、心の奥底では決して反対はしておらず、自分のやり方で加勢していく。
- ポニー:富沢美智恵
- 18歳。メカニック担当。アフリカンを思わせる風貌で、ややポッチャリ体型。機械類の扱いに関しては天才的だが、運動神経は全くと言っていい程無く、スターリーフ号修復の際、宇宙空間へ出た時は大パニックを起こしてしまう。性格は温厚で情に厚く、機械にも愛情を注いでいる(但し小説版では機械としかコミュニケーションが取れない、陰気な性格として書かれている)。ラビィがキャティを撃とうとした時はラビィに掴み掛かり、キャティを逃した。最後は「エグザノンに真相を聞いてみるわ」と言い残し、自分の子供同様のアイルとトイルをラビィ達に託し、爆発するスターリーフ号に残った。
- キャティ:渡辺菜生子
- 16歳。スターリーフの通信士。小柄で女の子らしい風貌だった事から当時人気が高かったキャラ。性格はおとなしいが落ち着いており、真面目に任務をこなす。第26部隊出身のと言うのは表の顔で、実はある陰謀の為に送り込まれたアンドロイドで、同一固体が十数体あり、その内の1体が宇宙章第2部以降に登場、もう一人のヒロインとしてその後「地球章」「新世界章」の物語をも牽引する。更に宇宙章第3部では彼女達のオリジナルと言えるキャティ・ネヴュラート大佐も登場する。彼女は25〜6歳位の女性で面影はあるものの、ラミィ同様かなり背が高い。古代マーカス人の史実にのっとり、人類の再生の為に尽力する。
[編集] OVA版・宇宙章から登場したキャラクター
それぞれ武器・防具の英名が名前の由来となっている。
- スピア:水谷優子
- 年齢は16歳。どことなくパティを思わせる風貌だが、ウェーブのかかった赤毛が特徴。シルディ達と共に人類再生に向けて行動する。性格はパティを更に攻撃的にした感じで、戦争する事に何の疑問も持たず、計画に反対するルフィに一度はナイフを突きつけた事も。
- アミィ:本多知恵子
- 年齢は13歳。ラミィに似るがややスマートで、赤渕のメガネとポニーテールがトレードマーク。この時代、戦争は末期状態で、彼女の様な低年齢層も戦う事を余儀なくされている。スピアに憧れており、見習いながら前線に志願してきた。あどけない部分もあるが、一応戦士としての自覚や覚悟はできている。
- 年齢は20歳。ラビィに似た風貌だが、こちらの方が長身で、髪は黒い。また、ラビィよりも性格が冷静沈着である。キャティ・ネヴュラートの掲げた人類再生計画に賛同し、信念を持って行動する。なお、第2部で担当した神田和佳が第3部収録の時出産の為参加できなくなり、荘真由美が代役を務めた。
[編集] OVA版・地球章に登場したキャラクター
それぞれ音楽用語が名前の由来となっている。各キャラクターの名前は変わっているが、それぞれのキャラクターが、宇宙章のキャラクターをある程度引き継いでいる形になっている。
- サンディ:松井菜桜子
- スコア:鶴ひろみ
- サリー:富沢美智恵
- メロディ:原えりこ
- フォルティン:川村万梨阿
- ミティ:本多知恵子
- ラミディア:山本百合子
- バウアー:井上和彦
- トミノフ:永井一郎
- ネルソン:加藤精三
- ノートン:屋良有作
[編集] OVA版・新世紀編に登場したキャラクター
声優陣が大幅に変わっているものの、本作でも地球章同様、宇宙章のキャラクターに類似したキャラクターが登場する。地球章以上に宇宙章のキャラクターに外観が似ている。
[編集] OVA版・ガルフォース・ザ・レボリューションに登場したキャラクター
キャラクターデザインが完全に変わったものの(これまでの園田健一から、原案つちやきょうこデザイン青野厚司に変わっている)、キャラクター名は完全に宇宙章の名前をそのまま引き継いでいる。但し、時代背景を始め、各キャラの年齢等設定は随分異なる。
- エルザ:井上喜久子
- ラビィ:三石琴乃
- パティ:桜井智
- ラミィ:横山智佐
- ルフィ:草地章江
- ポニー:氷上恭子
- キャティ:長崎萠
- ファイザー:折笠愛
- シュート:根谷美智子
- ウィザエル:高乃麗
- コンク:小西寛子
[編集] ゲーム版
ガルフォースに関する公式なゲームとしては発売されているものでは以下の作品が発売されている。
- ガルフォース(ファミリーコンピュータディスクシステム、HAL研究所)
- ガルフォース カオスの攻防(MSX、SONY)
- ガルフォース 創世の序曲(PC-8800シリーズ、MSX2など、スキャップトラスト)
本作は家庭用ゲーム機にそのまま移植するにはややきわどいテーマ・描写が存在することから、ゲーム版は基本的に原作のキャラクターを使ったオリジナル展開である。しかし『~創世の序曲』のみ原作アニメを小説の解釈のもとに再構成した作品であり、ストーリーに大きな違いはない内容となっている。キャラクターの人間関係・葛藤のシーンや最期の描写がほぼ全員異なっており、原作にないオリジナルシーンを楽しめる。
また、プランとしてはガルフォース 虹のかなたに…とガルフォース 怒涛のカオスが予定されていたとされログイン誌等に記載があったとされるが未発売である。
[編集] 関連作品
[編集] 宇宙章
- ガルフォース SPECIAL PROLOGUE (1986年、ソニービデオソフトウェアインターナショナル、ムービック)
- ガルフォース2 DESTRUCTION (1987年、ソニービデオソフトウェアインターナショナル、ムービック)
- ガルフォース3 STARDUST WAR (1988年、CBS・ソニーグループ、ムービック)
- テンリトルガルフォース (1988年、CBS・ソニーグループ、ムービック)
[編集] 地球章
- レアガルフォース (1989年、CBS・ソニーグループ、ムービック)
- ガルフォース地球章1 (1989年、ポリドール)
- ガルフォース地球章2 (1990年、ポリドール)
- ガルフォース地球章3 (1990年、ポリドール)
[編集] 新世紀編
- ガルフォース新世紀編 上 (1991年、ポリドール)
- ガルフォース新世紀編 下 (1992年、ポリドール)
[編集] ガルフォース・ザ・レボリューション
- 第1話 WAR STORM (1996年、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ムービック)
- 第2話 GALAXY RUN (1996年、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ムービック)
- 第3話 SOLDIER PLANT (1996年、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ムービック)
- 第4話 HOME WAY (1996年、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ムービック)