カワウ
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?カワウ | ||||||||||||||||||||||||
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カワウ |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Phalacrocorax carbo Linnaeus, 1758 |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
カワウ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Great Cormorant |
カワウ(川鵜、学名:Phalacrocorax carbo)は、ペリカン目(Sibley分類ではコウノトリ目に属する)・ウ科に分類される鳥類の一種。名前の由来は文字通り「川」の「鵜」であるが、海岸でも普通に見ることができる。
目次 |
[編集] 分布
ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸など広い範囲に分布する。日本には本州と九州に繁殖地があり、留鳥として生息する。青森県では夏鳥として繁殖。
日本では環境悪化により一時生息数を大幅に減らしたが、1970年代以降、公害規制による河川水質の向上で餌となる魚が増え、その数は飛躍的に増加した。
[編集] 特徴
全長80-90cm、翼開長130-150cm。ウミウに似るがやや小形。河川部や湖沼に生息する。全体に黒い羽色だが、婚姻色が出ると頭部が白くなる。幼鳥は胸が白っぽい。
餌となるのはほとんど魚類で、捕獲する際には時に1分以上、水深10m近くまで潜水することもある。魚種の選択性はない。近縁種のウミウも同様に巧みな捕食者で、鵜飼いにも利用されるのはよく知られている。1羽で1日500グラムの魚を食べると言われ、現在6万羽以上に増えたと推測される。
カワウは群れで溜まる場所をいくつか持っており、ここで休息と睡眠をとる。夜明けには採餌のために餌場に向かう。このねぐらの内からコロニーを水辺に形成し、繁殖を行う。この群れは数十羽から数千羽にまで及ぶこともある。季節を問わず冬でも繁殖できるが、営巣活動は春先と秋に特に活発である。一夫一妻で、枯れ枝などを利用して樹上や鉄塔などに巣を作る。卵は約1ヶ月程度で孵化し、40-50日で巣立つ。
[編集] 分布拡大による問題点
カワウは営巣時、生木の枝を折り取るため、コロニーでは樹木の枯死が広範囲にわたって起こることが多い。また、多量の糞によりコロニーや採餌場所では水質・土壌汚染、悪臭、景観の悪化など招く。琵琶湖の竹生島などでは、カワウの糞害による環境破壊が大きな問題となっている。近年では河川の上流にも進出し、漁協などによって人為的に放流されたアユやアマゴなどの漁業被害も深刻である。
2007年3月、環境省は鳥獣保護法に基づく狩猟対象にする方針を決め[1]、2007年6月1日以降には狩猟鳥となり、狩猟可能な期間と地域であれば特別な許可なく捕獲できるようになった。新たに狩猟鳥に加えられたのには、全国で70億円を超すとされる本種による農林水産業被害に拠るところが大きいが、本種の形成するコロニーにより、その周囲の生態系がかく乱されるのを防止することも重視されたようである。
しかし江戸時代以前から本種はその肉にも羽毛にもたいした利用価値は無く、現在もその状況は変わらないので、狩猟鳥になったとてハンターが積極的に本種を狩猟するかどうかには疑わしいものがあり、ゆえに狩猟による個体数の減少を期待するのは見当違いである、といった意見もある。ただし、狩猟鳥となったことで被害を理由とした駆除の許可を得やすくなったことは確かである。
一方、愛知県知多郡では古くに糞が農業肥料用に重用され、町の財源を潤した。その代価で小学校が建設されたこともあり、現在でもカワウは町のシンボルである。美浜町の繁殖地「鵜の山」は国の天然記念物。