カイン (漫画)
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『カイン』は、『週刊少年ジャンプ』2005年24号から同年43号まで連載された、内水融作の少年漫画作品である。単行本は全3巻。
目次 |
[編集] 概要
2004年25号に掲載された読み切り軍師漫画『賈允-KAIN-』(後述)をプロトタイプとし、翌年に連載を開始。
連載版では読み切り版とプロットを大きく違えさせ、いわゆる能力バトル漫画に路線変更。初回の講評は上々だったものの、最終的には好評を得られず19回で打ち切りとなった。
単行本3巻の書き足しも含めると、作品内で提示された伏線・謎はほぼ解消されており、多くの他の打ち切り漫画と比べるときちんと物語を完結させてられている。
なお、作品末尾の煽り文が打ち切りを臭わせてから、何週も生き延びた珍しい例でもある。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] あらすじ
機動国家「煉」が大陸の六割を支配する戦乱の世。機道士・カインは、悲しき因縁を胸に、反煉組織「虎潘」の一員としてと戦う。
[編集] 登場人物
[編集] 主要人物
- カイン
- この物語の主人公。零號(れいごう)と呼ばれた煉の実験体。鬼傀を破壊する力を宿す。反煉組織「虎潘」の一員で、煉国王ライエンを倒すために旅をしている。明るい性格でいつも笑顔が絶えなく、登場人物の中ではムードメーカー的存在にもなっている。実はライエンの息子であり、彼自身によって鬼傀を埋め込まれた。終盤では萃魄を宿してシュコウを撃破、さらにライエンたちを破傀輪で自分諸共消滅させた。
- 破傀掌(はかいしょう)
- 腹部から非常に強い磁気を纏った掌を突き出し、相手の鬼傀を破壊する。
- 破傀閃(はかいせん)
- 萃魄を宿したことで、破傀掌をより強化した技。光の掌のようなものが、相手の身体を貫く。
- 破傀輪(はかいりん)
- 自分の鬼傀で広範囲を囲み、その中の鬼傀を全て破壊する。自らの命と引き換えに使える大技。
- ロウガ(じぃ)
- カインの目付け役。蘇信鏡としてカインの首からぶらさがっている。単行本3巻加筆に人間時代の姿が登場したが、筋骨隆々の老人だった。
- メイファ
- 金鄲前領主の娘。正義感が強く、カインの協力者となる。
[編集] 繕軀師
- リュウギ師
- 右腕の修復のためにカインが訪ねた繕軀師。ルゥランのただ一人の保護者で、病に蝕まれ長くなかった。モロウの鎖で胸を貫かれ、それがもとで亡くなる。
- ルゥラン
- 鬼傀を修復することが出来る、繕軀師の鬼傀を持つ少女。両親を煉軍に殺され、リュウギ師が保護者となっていた。いつも人形を抱いている。リュウギ師の死後、「虎藩」のメンバーとなり、カインらと共に戦うことを決意する。
[編集] 虎潘
煉王国に対抗する機道士の集団。
- オウマ
- 反煉武装組織 虎潘の総帥。機道士。鬼傀によって飛行することができ、翔天君との称号を得ている。かつて六旗将との戦いで右目を失った。
- かつてはライエンと共に機道を研究していた同士だった。
- ヨウガイ
- カインと同様虎潘の機道士。女性に目がない性格で、初対面のメイファらをいきなりナンパしにきた。軽い言動をしているが、その一方で深くを見通す洞察力を持つ。足に搭載された鬼傀を使う。
- 地兎脚(ちときゃく)
- 猛スピードで突進し、蹴りによって鬼傀を破壊する。
- エンウン
- 虎潘の機道士の一人で変装の達人。六旗将の一人に化け、内部調査を行っていた。彼が宿す鬼傀は、変装能力のみ有しており、戦闘タイプではない。
[編集] 煉王国軍
- ライエン
- 大陸を支配する煉王。
- カイン、ティエンの父で、オウマとはかつて共に機道の力を授かり、煉国を建国した仲だった。恐らくオウマと共に機道の力を授かった際に、ライエンのみ心が壊れた。
- 単行本加筆に登場したその素顔はカインを思わせる物だった。彼の前に立ちはだかったカインを圧倒するが、破傀輪でカインと大勢の部下諸共消滅した。
- シュコウ(ティエン)
- 六旗将。カインの実弟。長髪の美男子で、少し見ただけでは女性と間違えるほど。元々は内気で心優しい性格だったが、零號の機道士となることで心が壊れた。兄であるカインに嫉妬に似た尊敬を抱いていた。無邪気な言動とは裏腹に、残忍な性格で、人を何人殺すことも厭わない(すべては心が壊れたためであるが。)。かつて、機道士1000人分の戦力を凌駕する「虎藩」の精鋭部隊100人を一人で全滅させたことがある。萃魄を宿しており、粒子状になった鬼傀が相手を粉々に粉砕する。その時に舞う鬼傀が羽のようであることから、「鳳頭のシュコウ」の異名を持つ。
- 自らの居城でカインたちを迎え討つ。破傀閃で鬼傀を破壊されて粉々になり、最後に心を取り戻して礼を言いながら雪と共に散った。
- 鳳煉華(ほうれんげ)
- 萃魄を羽のように舞わせ、あらゆる物質を粉々に分解し、消滅させる。
- ゲンギ
- 六旗将。総統のような役に就いている。機道をライエンに授けた張本人。機道をもたらした理由は不明だが、ライエンに忠実に仕えていた。ライエンの行幸の際、彼の隣で待機しており、カインの破傀輪でライエンもろとも消滅した。
- リクウ
- 六旗将。色黒の青年で、冷静な性格。六旗将の中では唯一死亡が確認されていない。
- トウジ
- 六旗将。狐目の男で、丁寧語を使う。実はエンウンが化けており、本物は半年前、オウマによって倒された。その時に得た萃魄を、カインが宿している。
- セキ
- 六旗将。ショートヘアの女性。萃魄を使ってヨウガイを圧倒するが、エンウンが化けたトウジに弱点を暴かれ、ヨウガイの攻撃で倒された。
- シオウ
- 六旗将。鉄仮面を被った大柄な男。顔の左眼部分に萃魄を宿しており、エンウンが化けたトウジにその部分に手榴弾を投げ込まれ、爆死した。
- ギレイ
- 東方副将軍。シュコウの部下にあたる。冷静な態度をとっているが、性格はシュコウと同じほど残忍。いつ自爆するかわからないシュコウの監視役のような役割も務めていた。シュコウ亡き後は、本国へ帰郷。足に鬼傀を宿している。
- 七星虹脚(しちせいこうきゃく)
- ヨウガイの鬼傀と似たようなタイプだが、衝撃波を繰り出せるため、ヨウガイより強力。城一つを容易く破壊できるほどである。
- イルパ
- ムチのような鬼傀を使う機道士。弟思いな性格。シュコウの部下であるが、彼にモロウを「弱い」と侮辱されるなどしたことから、彼を憎んでいる。ヤンと共にメイファを捕えて拷問するが、駆けつけたヨウガイに鬼傀を破壊された。
- ヤン
- イルパの弟の機道士。兄には従順。口癖は「…あァ そうだな」。イルパと共にヨウガイに倒される。
- ネット上では「あァ・・・そうだな・・・」と言う形で内水作品を語るときに頻繁に使われる
- モロウ
- ヤンのさらに下の弟。生命をいたぶることを趣味とする。鎖を武器とし、リュウギ師の下へ向かったカインを追跡、リュウギ師を殺害したが、カインの怒りにふれ、破傀掌で倒されてしまう。「蘇信鏡」と呼ばれる通信用の首飾りをつけており、やられた後、これがシュコウの下へと渡り、カインの手の内が明らかとなった。
- ゴガイ
- メイファの村を支配していた機道士。砲門のような鬼傀を腕に搭載している。本国から離れている場所での統治をいいことに暴政を敷いていた。カインの破傀掌で、鬼傀を破壊される。
- チンイ
- 爪のような鬼傀を使う機道士。
[編集] 用語
- 鬼傀(きかい)
- 人体に宿る武器。改造で宿らせるが、反動で精神を壊すものが多い。
- 萃魄(すいはく)
- 鬼傀の中でも特殊なもので、遠距離攻撃を可能とする強力なもの。六旗将クラスの機道士が宿している。
- 煉王国(れんおうこく)
- 大陸全土を支配する王国。人民を恐怖で支配している。
- 虎潘(こはん)
- 煉に対抗する機道士の集団。鬼傀が宿った際に精神を壊さずに済み、煉から脱走した者で構成されている。
[編集] サブタイトル
- 嫌われ者
- 約束したろ?
- 繕軀師
- 絆
- 充塡!!(じゅうてん)
- ありがとう
- ヨウガイ
- 因果
- 再会
- ティエン
- 救うんだ
- 崩れた心
- 覚悟
- サヨナラ
- 笑顔
- 行幸
- 突入
- 対峙
- (最終記)父上
- 番外編 カイン-another episode-
[編集] 単行本
[編集] 賈允-KAIN-
『カイン』第2巻に収録された読み切り軍師漫画。『週刊少年ジャンプ』2004年25号掲載。
漫画感想・評論系レビューサイトでも概ね好評を得ていた作品であるが、2ちゃんねるでの関係者発言によって、アンケート層からの支持が実際には低かったことが判明している[要出典]。このことが連載版での大幅な路線変更に何らかの影響をおよぼしたとの見方が強い。
[編集] FOREST
『カイン』第3巻に収録された読み切り漫画。『週刊少年ジャンプ』2006年6・7合併号掲載。
盗賊と森に住む謎の少女の、心温まる交流を描く。本来『赤マルジャンプ』用の読み切りとして内水が描いていたものを、その高い完成度からか、急遽『週刊少年ジャンプ』本誌への掲載に変更されたというエピソードを持つ。実際に読者にも好評であったことが、単行本の帯や途中の作者コメントから伺える。