アリゴ・サッキ

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アリゴ・サッキ（Arrigo Sacchi、1946年 4月4日 - ）は、イタリア・フジニャーノ出身のサッカー指導者である。

サッカー選手としての経歴はないが ACミランの監督時代にマンツーマンディフェンスを排除しゾーン・プレスを編み出した人物として知られる。現代サッカーでゾーン・プレスはディフェンスの主流となっている。その偉大な経歴から｢近代サッカーの父｣と呼ばれ、現在サッキを師として尊敬するサッカー指導者も多い。

[編集] 少年時代・黎明期

サッキは、プロサッカー選手としてのキャリアが全く無い。この点が世界的に名声のあるプロサッカー指導者としては、かなり異色である。少年時代は普通のイタリアの少年と同じ、純粋なジョカトーレだった。だが靴の製造会社を経営する父親が、サッキの意思を頑なに拒否し続けた為、父親の会社でセールスマンとして働きながらアマチュア5部ディレッタンティでプレーした。これが、彼の選手としてのキャリアの全てである。こうしてプロになれなかったサッキだったが、仕事をしながらアマチュアでのプレーは続けた。その後独学で指導者への転進のための勉強を続け、サッカー理論を身につけると、少年チームをコーチしながらコヴァルチャーノの監督コースを終了し、チェゼーナのユース監督になったのが77年。5年後の1982年にリミニというクラブで、やっと「大人」のチームの監督となった。

[編集] 転機

彼の人生の大きな転機が訪れたのは、85年にセリエC1のパルマの監督に就任したときからである。当時は一地方都市のクラブチーム程度の実力でしかなかったのだが、就任1年目でセリエBに昇格させ、2年目から参加したコッパ・イタリアではACミランを2度も破ってみせる大金星を挙げ、世間をあっと言わせたのである。当時は絶不振に陥っていたミランが、「格下相手にカップ戦で敗れる」という、ありがちな流れに巻き込まれたのは珍しいことではない。しかし、この試合で最も重要だったのは、ミランのベルルスコーニ会長に、パルマの華麗かつスペクタクルなカルチョを、チーム力の強化を模索中のミランの将来像を重ね合わさせるには充分だった、ということである。ベルルスコーニは、周囲の反対を押し切って大英断を下す。サッキを監督として招き入れたのである。1987年のことだった。ベルルスコーニには批判が集中した。マスコミからも一斉に攻撃が始まった。一様にサッキの指導者としての、監督としての経験不足を指摘するものばかりであった。

[編集] 栄光

並々ならぬ意気込みと、なによりチャンスを与えてくれたベルルスコーニに応えるべく、サッキは早速、自身が持ちこんだ戦術理論と選手の持つ潜在能力を融合させる努力をする。サッキの持ち込んだ新しい戦術とは、まずカルチョ伝統のカテナチオを否定し、4人のDFの選手をフラットに並べる、という守備面に見ることができる。最終ラインを高く押し上げ、また前線は低めにポジション取らせ、FWであってもある程度のディフェンス、チェイシングを課した。こうして中盤をコンパクトにし、そこでプレッシングをかけてボールを奪い、高いポジションから攻めに出るというものだった。攻守両面において、非常に高い運動能力とスタミナ、献身的な精神、なによりもそれに応えることのできる選手の技量が必要だったが、彼にとって幸運だったのは、戦術を浸透させるための時間と、それに応えられるフランコ・バレージ、パオロ・マルディーニに加え、オランダ人トリオフランク・ライカールト、マルコ・ファンバステン、ルート・フリットといったすばらしい選手達に恵まれたことであった。こうしてミランはベルルスコーニの見立てどおり－いやそれ以上の－イタリア史上屈指の強豪に一気に変貌をとげる。サッキは就任1年目のシーズンをわずか2敗という、圧倒的な成績で見事にスクデット獲得に成功し、懐疑的な世論を黙らせたのである。そして翌年からUEFAチャンピオンズカップを連覇。特に88-89シーズンには準決勝でレアル・マドリードに２試合合計6-1と大勝、決勝でもステアウア・ブカレストに4-0で完勝するなどして名将としての地位を不動のものにした。

[編集] ついにアズーリへ

1991年、ミランでの成績不振を理由にチームを去ったサッキは、それ以上のやりがいのあるポジションが用意されていた。イタリア代表監督である。しかし、代表ではクラブでの指導とはことなり時間的な制約もあって思うような采配・戦術が発揮できていたかどうか疑問である。1994年のワールドカップアメリカ大会では、昼間・炎天下での連戦もあって、イタリアは常に満身創痍という状態で、デスマッチの様相を呈した。結局イタリアはバッジョの活躍で決勝戦まで「生き残った」ものの、0-0のPK戦に敗れ、準優勝で大会を終える。1996年、ヨーロッパ選手権・イングランド大会では一次リーグでの敗退を理由に退任した。敗退の原因としては、選手を頻繁に入れ替えることを厭わなかったために、2試合目のチェコ戦で致命的な敗戦したこと、またバッジョの招集を躊躇ったことも理由のひとつといわれる。

[編集] 流転

その後は一度、ミランをシーズン途中ながらも指揮するが、チームがすぐにまとまるはずもなくよい成績は残せず。スペインのアトレティコ・マドリードを率いるも、上手くチームに戦術をフィットさせることができず、すぐに職を追われることになる。パルマの監督への再就任（その後、健康不振を理由にすぐに退団）、レアル・マドリードのフロント入りなど、まさに流転の人生といえる。

[編集] ゾーン・プレスを作り上げた理由について

雑誌Numberの取材で、必要に迫られて作った戦術だと発言している。

強いチームを作り上げるべく、サッキがベルルスコーニに依頼したことは

選手として最盛期を迎え凄まじい輝きを放ちナポリに君臨する「ディエゴ・マラドーナ」の獲得だった。だが、ナポリが手放すわけもなく獲得は叶わず。それならば彼を抑え込む戦術が必要だと作り上げた戦術。

【初期】ドリブルで抜かれないよう取り囲むという戦術だったがマラドーナはパスセンスにも優れたものを持っていたので抜かれないよう遠巻きに取り囲むという戦術はすぐに修正される。

【中期】パスを出せないよう前回より近くで取り囲むという戦術になったが、ゲームメイク能力が高いマラドーナはワンタッチでパスを回し、自分をマークしている人間を逆手にとり数的優位を作り出すゲームメイクをしてしまう。

【完成】それに対して行った最終的な修正が、マラドーナを試合中にボールに触らせないようプレスをかけるというものだった。この戦術は対マラドーナとして大変有効で後のワールドカップ決勝でも対マラドーナ戦術として利用されている。

他のチームに対しても初期・中期のゾーンプレスを相手選手の特性により使い分け、今現在、非常に有用な戦術として世界中で利用されている。

[編集] 経歴（指導者として）

1982-83 ：リミニ（セリエC）
1983-84 ：（フィオレンティーナアシスタントディレクター）
1984-85 ：リミニ（セリエC）
1985-86 ：パルマ（セリエC）
1986-87 ：パルマ（セリエB）
1987-91 ： ACミラン（セリエA）
1991-96 ：イタリア代表
1996-97 ： ACミラン（セリエA）
1998-99 ：アトレティコ・マドリード（スペイン）
2001 ：パルマ（セリエA）

イタリア代表 - 1994 FIFAワールドカップ（準優勝）

カテゴリ: イタリアのサッカー指導者 | 1946年生

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