まんじゅうこわい
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まんじゅうこわいは、落語の噺の一つ。落語の中では「寿限無」や「目黒のさんま」に並ぶ有名な噺。笑府からの引用と思われる(右の画像参照)。
東京では前座噺の一つに数えられるが、5代目柳家小さん・3代目桂三木助の得意演目でもあり、上方では現在演じられるこの噺は4代目桂米團治が演じていたものが3代目桂米朝、3代目桂米之助、6代目笑福亭松鶴に伝わり十八番にした。その後現在では多くの噺家が演じるようになった。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] あらすじ
暇をもてあました若者数名が集まり、それぞれ嫌いなもの、怖いものを言いあっていく。皆、「蜘蛛」「蛇」「蟻」などと言ってる中にひとり、「いい若い者がくだらないものを怖がるとは情けない、世の中に怖いものなぞあるものか」という男がいる。本当に怖いものは無いのかとさんざん念を押しても「ないものはない!」と言う。しかし、何度も念を押しているうちにしぶしぶ「実はある」という。何が嫌いなのかと聞くと「饅頭」。
その男は「饅頭の話をしているだけで気分が悪くなった」と言い出し、隣の部屋で寝てしまう。
そこで皆は「あいつは気に食わないから饅頭攻めにしてやろう」と、金を出し合い、饅頭をたくさん買いこんで隣の部屋に投げ込む。すると、男は怖がるどころか「怖いから食べちまおう」「旨すぎて怖い」などと言いながらとうとう全部食べてしまった。
怒った皆が「本当のお前の怖いものは何だ!」と聞くと「今度は濃いお茶が怖い」。
[編集] 東西での違い
上方版では好きと嫌いなものの件から、狐に化かされる男の話、老人の若い頃の怪談噺を経て、ようやく饅頭が嫌いな男が登場する演出で、たっぷり演じると30分以上もかかり、大ネタとされる。
狐の件りは東京では「九郎蔵狐」の題で独立して演じられる。老人の怪談の舞台である大阪・東横堀川の安堂寺橋付近は、江戸時代には自殺の名所として知られていた。
[編集] 参考文献
- 『米朝ばなし 上方落語地図』桂米朝(講談社〈文庫〉、1984年(昭和59年)、ISBN 4-06-183365-0)