庶民院
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イギリスの議会 庶民院 House of Commons 国会議事堂 (ウェストミンスター宮殿) |
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議会の種類 | 下院 |
上院 | |
下院 | |
議長 | |
副議長 | |
成立年月日 | |
所在地 | |
任期 | 5年 |
定数 | 646 |
選挙制度 | 単純小選挙区制 |
議会運営 | 読会制 |
公式サイト | UK Parliament |
シンボル |
庶民院(英:House of Commons)は、イギリスの議会において両院制を構成する議院(下院)[1]。
目次 |
[編集] 庶民院の構成
[編集] 議院構成
- 定数:646人(2005年)
- 法律で定められた定数には幅があり、その範囲内で境界委員会(Boundary Commission)が選挙区を制定するため、人口の増減などで変化する。2007年現在、議員一人当たりの人口は約9万4000人。
- 会期:一年一会期で、通年開会。ただし休会はある。
- 定足数:40人(400人の誤植ではない)
- しかし以前から定足数確認動議が禁止されているので、事実上は議長の外、与野党1人ずつが出席すれば、審議は開始できる。この点貴族院並みとなった。後述のようなロングラン審議を毎日しているのでは、これも致仕方ないところだろう。
[編集] 議事運営
法案は「3読会制」。伝統的に「本会議」(ないし全院委員会)審議を重視して来たが、最近は案件別(日本や米国のような所轄省庁別ではなく)「常任委員会」の設置など、「委員会制度」化へ向けての取り組みも見られる。ただ、やはり庶民院審議の花が、与野党対面の議席にて首相と野党党首が最前列で差し向かいに対決する本会議であることは、今も変わりないだろう。金曜日を除き8時間を超えるロングラン本会議である。しかも会期中平日は毎日開会されている。その上、終了間際に延会動議が提出され、それの審議のためと称してさらに30分ほど審議を続行する。この30分間は毎日一人ずつの議員が、自分の選挙区の問題や社会の関心を集めている問題について政府に質問し対応を求める時間として使われており、特に無名の平議員にとっては活躍のチャンスとなる。
[編集] 議事日程
一般的な議事日程は以下の通りである(11:30開始の場合)
11:30 -
- 祈祷(Prayers) - 神父により行われ、議長が着席する
- 諸手続
11:35
- 口頭質問(Oral Questions) - 大臣に対する質問
12:00
- 首相への口頭質問 - いわゆるクエスチョンタイム。水曜のみ
12:30 以降は討論(Debate)の時間となる。
- 政府報告 - 政府の方針や重要事項などがあれば大臣が発表
- 政府提出法案(Public Bill)の討論と採決
- 緊急討論(Emergency Debate)
19:00
- 延会討論(Adjournment Debate)
19:30 延会
[編集] 基本的な開会時間
- 月曜 - 14:30-22:30
- 火曜 - 14:30-22:30
- 水曜 - 11:30-19:30
- 木曜 - 10:30-18:30
- 金曜 - 9:30-15:30(ただし金曜に開会することは少ない)
- 開会時間は基本的なもので、自由に変更できる。
[編集] 議員
- 任期:5年
- 選挙権:18歳以上
- 被選挙権:21歳以上
- 選挙制度:一選挙区・一当選・比較多数・一回投票で、いわゆる単純小選挙区制。労働党・保守党の二大政党制化しているが、近年ではかつての二大政党の一方であった自由党の後裔である自由民主党も議席を伸ばしている(イギリスのBBCの選挙報道でも、労働・保守・自民を並べて扱っている)。また、単純小選挙区制度では民意を正確に反映できないとして、選挙制度の改革を求める声も出てきている。
[編集] 議長
議長は「スピーカー」(Speaker of the House)と呼ばれる。議事運営の殆どを司り、金銭法案の認定権を握るなど、権限は大きいが、中立公平を貫き先例に従って慎重に行使するべきとされている。 議長は先任者が辞任した場合に原則として全会一致で選ばれる。その際は、政府と野党の中立公平を守るために、大臣経験者ではなくあまり政府に関わりの無かった重鎮議員が好まれる。 議長は辞任を申し出ないかぎり、総選挙を経ても留任するのが原則である。総選挙の際には議長の選挙区には対立党も候補を出さないなどの配慮がなされる。
[編集] 庶民院の優越
1911年に制定された議会法によって、庶民院の優越が定められている。
連続2会期(つまり足かけ2年)、庶民院で可決した法案は、貴族院が否決・修正しても、庶民院案のまま法律となる。貴族院は成立を13か月引き延ばせるだけということになる。金銭法案[2]であると庶民院議長が認定した法案は、貴族院で1か月しか成立を遅らせることができない。
首相はもはや貴族院から選ばれることはないだろう。また貴族院で不信任されても首相は辞職の必要はないが、庶民院が不信任した場合は国王が庶民院を解散しない限り、辞職しなければならない。首相信任への優越は憲法的習律である。
[編集] 主な政党と議席数
2005年5月総選挙後の確定議席
政党名 | 議席数 |
■労働党 | 356 |
■保守党 | 197 |
■自由民主党 | 62 |
その他(スコットランド民族党など) | 30 |
合計 | 645 |
[編集] 庶民院の歴史
[編集] 庶民の召集される議会の誕生
かつて王会(キュリア・レジス、Curia Regis)から発展した英国議会「The Parliament」は貴族と国王が中心だったが、1254年にシモン・ド・モンフォールが反乱を起こし、1265年に彼が招集した議会では各州を代表する2名の騎士と各特権都市を代表する2名の市民(ブルジョワ)が選ばれて招集された。註:ここで言う庶民(Commoner)とは、貴族(Peer)ではないという意味で、選ばれるのは騎士とブルジョワであり、いわゆる一般庶民ではない。
その後、1295年にエドワード1世がこの方式を採り入れて招集した議会は「模範議会」と呼ばれ、後世の議会召集のモデルとなった。
[編集] 庶民院の独立と発展
庶民院の誕生
当初は庶民は貴族たちと一緒に会議を開いていたが、貴族の前では自由に発言しづらかったため、エドワード3世の頃に、本会議から分かれて協議をするようになった。その後国王と貴族が待つ本会議へ一同出向き、議長が代表して庶民の決議を伝えた(議長を「speaker」と呼ぶのは、これに由来する)。
こういう歴史的経緯から、議長は国王の不興を買いやすかったため 議長が選ばれた際には、新しい議長はその危険な職務を嫌がる仕草を見せ、それをまわりの議員が無理矢理議長席に連れて行くというパフォーマンスが儀式となって残っており、ジェフリー・アーチャーの小説『めざせダウニング街10番地』でも、この儀式が描写されている。
大臣をめぐる国王との戦い~貴族院とともに
イギリス革命、チャールズ1世、クロムウェル、名誉革命後のホイッグ時代
選挙権の拡大~国民による支持・政党の強化・内閣による指導
グレイ、ディズレイリ、グラッドストン、ロイド=ジョージの「クーポン選挙」
[編集] 外部リンク
- UK Parliament(公式サイト)
[編集] 注
- ^ 英国議会は、二院制ではなく国王を含めた三院制であるとする古い法律学説もあるようである。この点は、イギリスに於ける庶民院の発展史・学説史をたどる際に、想起すべき知識である。
- ^ 歳入や歳出を決定する法案。イギリスには統一的な「予算」はない。各税法等や各支出法の総体が、その年の財政の現況であるにすぎない。