ヒュプノス
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ヒュプノス(古典ギリシア語:‘Ύπνος、Hypnos)とは、 ギリシア神話に登場する眠りの神である。ヒュプノスとはギリシア語で、「眠り」の意味で、眠りの神格化である。
[編集] 概説
ヘーシオドスの『神統記』によれば、ヒュプノスは、ニュクスの息子で、その兄弟にはタナトスやモロスなどの「死」を意味する神々がある。また夢(オネイロス)がヒュプノスの兄弟でもある。
またヒュプノスは、兄のタナトスと共に、大地の遥か下方のタルタロスの領域に館を構えている。そしてニュクスが地上に夜をもたらす時には、彼も付き従って人々を眠りに誘うという。兄のタナトスが非情の性格であるのに対し、ヒュプノスは穏やかで心優しい性格であるとされる。人の死も、ヒュプノスが与える最後の眠りであるという。
一般には有翼の青年の姿で表され、疲れた人間の額を木の枝で触れたり、角から液体を注いだりして人を眠らせるという。
オウィディウスによれば、眠りの神ヒュプノスは奥深い洞窟に眠っており、その周りに、モルペウスをはじめとする三種類の夢の神、オネイロイが漂っているとされる。
[編集] ローマ神話での対応
ローマ神話ではソムヌス (Somnus) がヒュプノスに対応されるが、ソムヌスとはラテン語で「夢」のことである。