ドーパミン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドーパミン | |
---|---|
IUPAC名 | 4-(2-aminoethyl)benzene-1,2-diol |
別名 | ドパミン, DA 2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethylamine 3,4-dihydroxyphenethylamine 3-hydroxytyramine Intropin Revivan Oxytyramine |
分子式 | C8H11NO2 |
分子量 | 153.178 g/mol g/mol |
CAS登録番号 | [51-61-6] |
融点 | 128 °C (401 K) °C |
SMILES | NCCc1ccc(O)c(O)c1 |
ドーパミン(英:Dopamine)は中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる。セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンを総称してモノアミン神経伝達物質と呼ぶ。またドーパミンは、ノルアドレナリン、アドレナリンと共にカテコール基をもつためカテコールアミンとも総称される。
統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)は基底核や中脳辺縁系ニューロンのドーパミン過剰によって生じるという仮説がある。覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。強迫性障害、トゥレット障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)においてもドーパミン機能の異常が示唆されている。
一方、パーキンソン病では黒質線条体のドーパミン神経が減少し筋固縮、振戦、無動などの運動症状が起こる。また抗精神病薬などドーパミン遮断薬の副作用としてパーキンソン症状が起こることがある。
中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。陰性症状の強い統合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1の機能が低下しているという仮説がある。
下垂体漏斗系においてドーパミンはプロラクチンなどの分泌抑制因子として働く。そのためドーパミン作動薬は高プロラクチン血症の治療薬として使用され、逆にドーパミン遮断薬は副作用として高プロラクチン血症を誘発する。
[編集] 生合成過程
ドーパミンの前駆体はL-ドーパである。L-ドーパはフェニルアラニンやチロシンの水酸化によって作られる。
- チロシン→L-DOPA(L-ジヒドロキシフェニルアラニン)
- L-DOPA→ドーパミン
ドーパミンが関係する薬剤には以下のようなものがある。抗精神病薬は、主にドーパミンD2受容体を遮断することで効果を発現する。抗パーキンソン病薬のほとんどは、ドーパミンの前駆体であったりドーパミン受容体を刺激したりすることでドーパミン作動性に働くことで効果を発現する。
- 末梢において作用するもの
- ドーパミン(イノバン、カタボン):急性循環不全治療薬
- ドーパミン作動薬
- L-ドパ(ドパストン)、L-ドパ・カルビドパ配合剤(ネオドパストン)、カベルゴリン(カバサール)、ブロモクリプチン(パーロデル)、アマンタジン(シンメトレル)、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート など
- ドーパミン拮抗剤
- 抗精神病薬 など
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- (百科事典)「Dopamine Modulation」 - スカラーペディアにある「ドーパミンによる神経修飾」についての項目。(英語)
|
|
---|---|
視床下部-脳下垂体 | 視床下部:TRH - CRH - GnRH - GHRH - ソマトスタチン - ドーパミン - 脳下垂体後葉:バソプレッシン - オキシトシン - 脳下垂体前葉:αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エンドルフィン - リポトロピン) |
副腎 | 副腎髄質:副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン) - 副腎皮質:副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA) |
甲状腺 | 甲状腺:T3 - T4 - カルシトニン - 副甲状腺:PTH |
生殖腺 | 精巣:テストステロン - AMH - インヒビン - 卵巣:エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時) |
その他の内分泌器 | 膵臓:グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン - 松果体:メラトニン |
内分泌器でない器官 | 胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:チモシン - チモポイエチン - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) |
誘導タンパク質 | NGF - BDNF - NT-3 |