セブルス・スネイプ
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セブルス・スネイプ(Severus Snape) は、小説『ハリー・ポッター』シリーズ、及びその派生作品に登場する架空の魔法使いである。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 登場巻
[編集] 人物
[編集] 外見
顔は土気色で、大きな鉤鼻が目に付く。黒髪はねっとりとしており、肩まである長髪を左右に分けている。瞳の色も黒で、重たげな漆黒のローブを纏っている。
[編集] 性格・才能
魔法薬の調合に長けており、学生時代は「魔法薬学」の教科書の間違いを見破って勝手に訂正していた程である。
閉心術と開心術にも長けており、5巻ではダンブルドアの命を受け、ハリーに閉心術の個人教授を行った。
[編集] 自宅
スピナーズ・エンドという荒れ果てた袋小路(ベラトリックス・レストレンジ曰く「マグルの掃き溜め」)の近くに住んでいる。
玄関から入ってすぐのところが暗い独房のような小さな居間になっている。壁は本棚で覆われており、裏は隠し扉になっている。6巻からはスネイプを補佐するというヴォルデモートの命を受けてピーター・ペティグリューが居候をしている。
[編集] 来歴
1960年1月9日、マグルのトビアス・スネイプと魔法族(純血)のアイリーン・プリンスとの間に生まれる。あまり良くない家庭環境の中で育つうちに、感情を人前に晒す事を嫌うようになり、幼い頃から閉心術を使うようになり、成長していくにつれ、スネイプは闇の魔術に傾倒していくようになってしまった。しかし、作者曰くスネイプはヴォルデモートと違い誰かに愛されていた事があり、愛情の辛さを知っているという。
ホグワーツ魔法魔術学校在学中はスリザリン寮に所属していたが、同級生のグリフィンドール生であるジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリューの4人組とは、グリフィンドール生を率いるジェームズを筆頭に、スネイプは何度もいじめられており、シリウスに「叫びの屋敷」に誘い込まれた際には、狼男になって暴走していたリーマスに襲われ、危うく本当に殺されかかったこともある。(この時はさすがにやり過ぎだと思ったジェームズにより助け出され、またこの時にリーマスの秘密について初めて知った)。同じスリザリン内においてもスネイプは孤立し異端児扱いされてしまっており、ダンブルドアだけが唯一スネイプの才能を理解していたといってもよい。
ハリーは、5巻にてセブルスに閉心術の訓練を受けていた際に、ジェームズを侮辱した仕返しにスネイプの過去を除き見てしまったことで、ジェームズのスネイプに対する過去の悪行についての事実を知りショックを受け、また、スネイプの怒りを買ってしまった事で、これ以降、閉心術の訓練を受けるのを断られ、ハリーは閉心術の取得に失敗した。
現在も、自分を虐げてきた元同級生達との関係は非常に劣悪で、ジェームズ達から受けた屈辱の数々は、いまだにスネイプにとって根強い恨みになっている。3巻ではホグワーツ在学時代に監視役を任されていながら結局ジェームズを止めようとしなかったリーマスが狼男である秘密を「うっかり口が滑った」として暴露し彼をホグワーツからの追放に追い込み、5巻では同じ不死鳥の騎士団に所属する間柄でありながらシリウスと顔を合わせるたびに険悪な雰囲気になっていたり、更には6巻ではスピナーズ・エンドにある自宅に住まわせているピーターをこき使ったりしている。
ホグワーツ魔法魔術学校に入学した時には既に上級生よりも多くの闇の魔術を知っており、そのために闇の魔術を嫌うジェームズを始めとする生徒達からは、疎まれていたようである(ルーピン談)。また、自分でも闇の魔術を開発、「魔法薬学」の教科書に開発した呪文を書き残しており(これが半純血のプリンス蔵書である)、無言呪文も使えていた様子も。
ホグワーツ卒業後は死喰い人として不死鳥の騎士団をスパイする任務を与えられていたが、主君ヴォルデモートの失踪前にダンブルドア側に戻り、闇の陣営の密偵も兼ねる「二重スパイ」となった。ヴォルデモートの失踪後はホグワーツ魔法魔術学校「魔法薬学」(6巻では「闇の魔術に対する防衛術」)の教授になり、スリザリンの寮監も担当する。
6巻ではナルシッサ・マルフォイと『破れぬ誓い』を立て、その誓いの中で、もしナルシッサの息子ドラコがヴォルデモートからの任務を実行できない時に実行する事を誓った。その後、6巻終盤でドラコが実行できなかった「任務」を実行し、ダンブルドアを死の呪文で殺害して逃亡。その後、ホラス・スラグホーンが臨時でスリザリンの寮監になっている。
また、著者のローリングも、「スネイプがお気に入りのキャラクターの一人」であるとコメントしている。
[編集] 呼び名
彼は学生時代、「半純血のプリンス」(Half Blood Prince)を自称していた。彼こそがタイトルの「謎のプリンス」である。これは、自分がマグルと純血の間に生まれた「半純血」である事と、自分の母の旧姓が「プリンス」であることに由来している。一方、シリウスやジェームズからは名前をもじって「スニベルス(泣き味噌)」と呼ばれていたが、彼が泣き虫であったという記述は文章中の何処にも記されていない故、単にからかう為だけに付けられた呼び名と思われる。
[編集] スネイプの扱いに対する批判
「ハリー・ポッターに特別な関心を払っていて、授業中などには彼をいたぶるような態度を取ることが多い」とされているが、これに対して「スネイプはハリーに対して他の生徒と同様に接している」と批判されることもある。ハリーに関心を払うのは、むしろハリーの行動に問題がある場合がほとんどであり、多くは自業自得であるという意見もある。
また、邦訳版では一人称が「我輩」になっており、これはヴォルデモートの邦訳版一人称「俺様」と並び、原作のキャラクターのイメージを著しく壊している悪訳ではないか、としばしばファンの間で取り沙汰される(ちなみに原著ではスネイプ、ヴォルデモート共に一人称はごく普通の“I”。一人称単数形が複数ある日本語と異なり、現代英語の一人称単数形は“I”しかないので、このような批判があるのは当然と言えば当然である)。