キャミィ
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キャミィ プロフィール
キャミィ (Cammy) は、カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。 また、同社シューティングゲーム『ガンスパイク』の主人公。 フルネームはキャミィ・ホワイト (Cammy White) 。
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[編集] キャラクターの設定
[編集] デルタレッド時代
英国軍の特殊部隊「デルタレッド」に所属する少女。長く伸びた奇妙な形の前髪と二房の三つ編み、頬に付いた一筋の傷跡が外見的な特徴。さらに目を引く「ハイレグレオタードのコスチューム」で、話題をさらった。小柄ながら肉体は鍛え上げられており、レオタードごしにも割れた腹筋が見て取れる。
嵐の夜、一人の少女が土砂崩れに巻き込まれた状態で英国情報部・特殊工作部隊に発見され、基地に保護された。事故のためか記憶喪失となっており、名前も身元も分らないその少女だが、所持品のペンダントにあった『CAMM 740106』という文字から「キャミィ」と名づけられる事となる。半ば保護・半ば監視という待遇で基地に身をおくキャミィだったが、事故で負った骨折が一週間で完治してしまう異常な回復速度を見せるなど、その身体は通常の人間とは異なっていた。さらにマインドコントロールで特定の人物をターゲットとした暗殺命令を刷り込まれていた事も発覚する。
軍上層部の注目を受けながら、やがてキャミィは望んで特殊部隊の訓練を受け始め、あらゆる科目で優秀な成績をおさめてカリキュラムを終えた。その後、犯罪組織シャドルーを巡る調査でベガにたどり着き、そのベガの口から記憶を失う前の自分がシャドルーのスパイであったという衝撃の事実を知ったのだった。
恩人であるキース・ウルフマン大佐を父のように慕っている。
[編集] シャドルー時代
『スーパーストリートファイターII』(以下『スパII』)及び『~X』以降ブランクが開き、再び姿を見せた作品『X-MEN VS. STREET FIGHTER』(以下『Xスト』)では「かつてベガの親衛隊に、コードネーム "キラービー" として所属していた」という設定を与えられる。
この路線は『ストリートファイターZERO3』(以下『ZERO3』)でさらに推し進められ、「シャドルーの技術で肉体改造及びマインドコントロールを受けており、命令を忠実にこなすのみの戦闘機械となっていたが、闘いの中で自我に目覚めはじめる。しかし、その正体は朽ちていくベガの身体の代替としてベガのDNAを用いて作られたクローン」という設定になった。
家庭用『ストリートファイターZERO2'』ではおまけキャラクターとして登場しており、個別のストーリーはなかったが、『ストリートファイターZERO ファイターズジェネレーション』ではキャミィにもストーリーが用意されている。概ねの設定は変わらないが、「M計画」(『ZERO3』における一連のシャドルーの活動とも取れるが詳細は不明)の切り札として投入することが予定されているらしい。また、キャミィ一人で国家ひとつを壊滅させることも出来る、とベガは語っている。
上でも少し触れたが、『スパII』においてはキャミィという呼称は「所持していたペンダントにあった "CAMM 740106" という文字を由来にデルタレッドの隊長であるウルフマン大佐によって付けられた」と明確に語られており、頬の傷についてもデルタレッドでの訓練中に付いたものとされている。が、時系列では過去に位置する筈の『ZERO3』で既に頬に傷があり、同じキャミィという名前で呼ばれている。これは矛盾しているが「ストIIシリーズとストZEROシリーズはストーリーや出来事に直接の関係のないパラレルワールド的なものである」とカプコンがはっきり言い切った事で一応の解決がついている。家庭用『ZERO3』のユーリのストーリーでは完全に洗脳が解けた状態で登場する。
[編集] 『ガンスパイク』への客演
近未来・20XX年を舞台にしたシューティングゲーム『ガンスパイク』の主役として、21歳になったキャミィの姿を見ることができる。(生年月日から計算すると、キャミィが21歳になるのは2000年代では無く、1995年になる)
ロボット兵士や改造生物を利用した世界同時多発テロに対抗するため結成された、対ロボット特殊部隊(ARSF、Anti-Robot Special Forces)のリーダーに就任。隊員はナッシュ(ストリートファイターZERO)、アーサー(魔界村)、シバ・シンタロウ(ルースターズ、チャリオット)、バレッタ(ヴァンパイアセイヴァー)、ロックマンら歴代カプコンのキャラクター達と、オリジナルキャラクターのシモーヌ(原型はエイリアンVS.プレデターのリン・クロサワ)がいる。冷静で知的な印象を持つナッシュ、カプコン古参のヒーローであるアーサー、対ロボット戦闘歴は抜群のロックマンらを差し置いてのリーダー抜擢はキャミィの能力の高さを伺わせる人選と言える。基本的に銃撃戦がメインとなるが、連続攻撃の一部になった「スパイラルアロー」や、ヘビーアタックとして繰り出せる「キャノンスパイク」はさすがに格闘ゲーム出身と言える威力を持っていた。
対ロボット特殊部隊が一時的なもので、敵組織を壊滅させた後は解散し、キャミィは元のデルタレッドに戻ったのか、それともその後も継続して活動しているかは不明。ナッシュもバレッタもロックマンも以降の公式ストーリーがないため、類推もできない。
[編集] その他のゲーム
海外で発売されたアクションゲーム『ファイナルファイト・ストリートワイズ』に登場している。この時の服装はデルタレッド版をベースとしているが、ハイレグワンピースでは無くセパレートタイプのウェアになっている。また、敵キャラとしてのみの登場でプレイヤーキャラでは無い。
[編集] ゲーム以外のメディア
『キラービー』のコードネームは、中平正彦の漫画『ストリートファイターZERO』(同名ゲームのコミカライズ)が初出。また、同漫画用にカプコンの起こしたデザインが、『Xスト』以降のデザインのベースになっている。また、中平の次作『さくらがんばる!』においてはさくらが近所にいる頬に傷のある野良猫「キャミィ」に印象が似ていた、と言う理由から思わず「キャミィちゃん」と呼んでしまったのを気に入って自分の名前にしたという事になっている。
アニメ『ストリートファイターII V』ではベガに雇われて暗殺を請け負う暗殺者という役柄で登場する。春麗の父を瀕死に追い込み、フェイロンと対等に戦い、またバイソンを一方的に倒すなどかなりの強さに描かれている。ちなみにアニメ版ではバルログやケンと同じく劇場版から声優の変更がされていない。
当初ゲームではフルネームは設定されておらず、本名不明と設定されていたが、ケンと共にハリウッド実写映画版で設定されたフルネームが逆輸入された。なお、その映画ではシャドルー云々の過去は無い普通の軍人であり、ポジションはガイル大佐(映画の設定、ゲーム本編では少佐)の部下であった。出番は多くないが、敵をフェイタルレッグツイスターで倒しているシーンがある。
[編集] キャラクターの原型
一説にはキャラクターの原型となったのは木城ゆきとの漫画『銃夢』の主人公・ガリィであるとされる。顔の傷(企画段階でのイラストではペイント)、記憶喪失、一部の戦闘モーション、また初期のグラフィックに見られる突き出た下唇という点が共通している。また別の説では「昔のマイナーなアニメの女の子をイメージして描いた」ともされる。これは『スパII』発表当時に出版されたムック本にカプコンの人間の発言として載っており信憑性はそれなりに高いが、二つのキャラクターのイメージを混ぜ合わせたという可能性も否定できない。
[編集] キャラクターの特徴
『スパII』で追加された4人のキャラクターの内の一人で、シリーズ中では春麗に次いで二人目の女性キャラクター。春麗と違い体重は秘密ではない。小柄な身体の割に長いリーチで、速い足を活かして間合いを自由に取りながらちくちくと技を突き刺し、隙あらば強烈な連続技をたたき込むというスタイルを取る。『スパII X』で奇襲攻撃「フーリガンコンビネーション」が追加され、より攻撃のバリエーションが広がった。
[編集] 技の解説
[編集] 必殺技
- スパイラルアロー / キャノンドリル
- 低空を飛びながら相手の足下に突き刺さる錐揉みキックを放つ。キャノンドリルは英語版での名称で、『X-MEN VS. STREET FIGHTER』(以下『Xスト』)及び『MARVEL VS. CAPCOM 2』(以下『マヴカプ2』)では日本版でもこちらの名称が採用されている。また、これらの作品では足にサイコパワーらしきオーラが纏われている。
- キャノンスパイク
- 上空に向けて跳び上がりつつキックを放つ。昇龍拳と同じ対空技でコマンドもパンチボタンとキックボタンの差しか無いため、時々「足昇龍」などと説明される。ガードされても当たれば間合いが開くので他の昇龍拳系の技と違って反撃されにくい。『Xスト』及び『マヴカプ2』ではキャノンドリル同様に足にオーラが纏われている。またこれら2作品では上昇中は完全無敵となっている。
- 英語版での名称はスラストキック。『Xスト』及び『マヴカプ2』でも日本版での名称に変更はない。
- アクセルスピンナックル
- 前方にステップを踏みつつ、身体を一回転させて裏拳をたたき込む。飛び道具を避けつつ接近し攻撃するという用途の技だったが『スーパーストリートファイターIIX』(以下『スパII X』)では性能が弱体化し、代わりに強力な「フーリガンコンビネーション」を身につけた事もあり、存在意義が薄くなった。『Xスト』及び『マヴカプ2』では、拳にサイコパワーらしきオーラが纏われる。
- フーリガンコンビネーション
- 回転しながらの前方ジャンプで相手に飛びつき、そのまま投げてしまう。投げ技であるためガードが出来ず、しかも立ち、しゃがみ、空中という敵の状態の区別無く捕まえられる高性能な技。投げに行くと見せかけて足下をスライディングキックで狙ったり、何もせずそのまま着地するなどのフェイントにも使用できる。『スパII X』で追加された技で、コマンドがアクセルスピンナックルに近いため、正確に入力しないと暴発することがあったが、これ以降の作品ではアクセルスピンナックルのコマンドが変更になったため暴発はなくなった。当初は投げか下段の2種類しかなかったが、後の作品では後述の「キャノンストライク」が出せるようになった。後に豪鬼にもこの技に類似した「百鬼襲」を『ZERO』シリーズで使うようになった。
- フェイタルレッグツイスター
- 投げ技。相手の胴体のあたり、もしくは相手がしゃがんでいるときにつかめる。フランケンシュタイナーと同じ動作で地面に叩きつける。
- クロスシザースプレッシャー
- 投げ技。相手の頭部のあたり、もしくは相手が空中にいるときにつかめる。回転しながら地面に叩きつける。
- レイザーエッジスライサー
- スライディング。下段技で何も入力しないときに出る。
- キャノンストライク
- 詳細については後述する。「フーリガンコンビネーション」中に出せるのは後の作品になってから。
- 尚、豪鬼の「百鬼襲」はこの「フーリガンコンビネーション」をもとに真似したような技であったが、『ストIII 3rd』で「百鬼豪刃」という技が登場し、逆にそれを真似して派生できるようになったのではないかと見られる。
- キャノンストライク
- 『Xスト』にて初登場した空中からの急降下キックで豪鬼の「天魔空刃脚」に類似した技。豪鬼のものとは違い、ガードされた場合に限っては後ろへ跳ね返ってしまうためスキが大きい。『ストZERO3』ではV-ISMでのみ使用可能。『カプエス』シリーズ(『初代』及び『PRO』ではEX仕様のみ)や『マヴカプ2』では先述のフーリガンコンビネーションからの派生技としても使用できる。『Xスト』及び『マヴカプ2』ではこれも足にオーラが纏われている。
- キャノンリベンジ
- 一定時間構えを取り、そこに相手が攻撃を加えると受け止めてキャノンスパイクで反撃するカウンター技で『Xスト』で追加されたが、これ以前に豪鬼が『X-MEN Children of The Atom』で使用していた「昇龍煉獄」に動作が酷似している。『ストZERO3』ではV-ISMでのみ使用可能。また、『カプエス2』ではこの技の最初の構えがブロッキングの動作として使われている。
[編集] スーパーコンボ
- スピンドライブスマッシャー
- 「スパイラルアロー」で突進し、「キャノンスパイク」で追撃する。『スパII X』では全段ヒットは狙いにくい技だったが、後の作品では強化された。
- キラービーアサルト
- 画面端に飛んで跳ね返り、相手に四方八方から刺すような打撃を加えた後、投げで地面に叩き付ける。『Xスト』で追加された技で、これの前作『MARVEL SUPER HEROES』でスパイダーマンが使用した「マキシマムスパイダー」という技に酷似している。スパイダーマンと違って相手の動きを止める術を持たないキャミィでは狙って決める事はほぼ不可能で、その上技の途中で攻撃を外してしまう事もあって使い道の無い技だった。が、こちらも後の『ZERO3』ではLV3専用になったものの頼れる技になった。
- 『マヴカプ2』(『Xスト』も同じ)では、空中でも発動でき、出際のモーションから1発目の攻撃判定が出るまでの間が完全無敵であり、同作ではハイパーキャンセルという新たなシステムが加わったことにより「空中キャノンドリル」からの連続技に使え、『13強』に数えられている。
- リバースシャフトブレイカー
- 垂直に上昇しながら錐揉みキックを連続ヒットさせる。ケンの「神龍拳」に性質が似ており、ボタン連打とレバー回転でより多くヒットするようになる。『ZERO3』で追加された。
- サイコストリーク
- キャミィが敬礼のポーズを取ると目の前にベガが現れ、前方へ「サイコクラッシャー」で突進する。キャミィがこの技を使えるのは唯一『ストリートファイターZERO2'』でのみで、『ZERO3』ではユーニの技となった。
[編集] 主な登場作品
[編集] 対戦型格闘ゲーム
- ストリートファイターIIシリーズ
- ハリウッド映画『ストリートファイター』とのタイアップ作品
- ストリートファイター ザ・ムービー
- ストリートファイター リアルバトル オン フィルム - 実写映画の出演者がそのままゲーム中のキャラクターを演じての実写撮り込みによる格闘ゲーム。キャミィ役はカイリー・ミノーグが演じた。映画中のキャミィの衣装は軍の制服として突飛なものではなかったが、本作ではオリジナル同様のハイレグレオタード姿となっている。
- ストリートファイターZEROシリーズ
- マーヴルVS.シリーズ
- X-MEN VS. STREET FIGHTER - シャドルー所属のキャミィとしてはこれが初登場。『ZERO』シリーズから登場した他のキャラクターに合わせたドット絵が描き起こされている。
- MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES
- CAPCOM VS. SNKシリーズ - 1、PRO、2と全てのゲームに登場する。ここでもシャドルー所属のキャミィである。
[編集] 対戦型格闘ゲーム以外
- ガンスパイク - この作品のみ、デルタレッド版(通常キャラ)とシャドルー版(隠しキャラ)の両方が登場する。
- SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ全シリーズ(トレーディングカードゲーム版も含む) - プレイヤーキャラクターカードとして登場している。
- NAMCO x CAPCOM - この作品では『ZERO3』の設定で登場する。
- 新 鬼武者 DAWN OF DREAMS - ある条件を満たすと十兵衛のコスチュームとして登場する。
[編集] 映画
- ストリートファイターII MOVIE(1994年、日本)
- ストリートファイター(1994年、アメリカ)
[編集] テレビアニメ
- ストリートファイターII V(1995年、日本)
[編集] ドラマCD
- ストリートファイターII外伝 ~キャミィ・闘いの序曲~ - コロンビアに癒着する麻薬組織を調査する潜入捜査官として登場。
[編集] 漫画
- スーパーストリートファイターII キャミィ外伝(1994年、小学館) - 中平正彦作。デルタレッドにおけるキャミィの活躍を描く。
- ストリートファイターZERO(1996年、新声社) - 中平正彦作。
- さくらがんばる!(1996年、新声社) - 中平正彦作。
- ストリートファイター ザ コミック(2005年、カプコン) - アメリカンコミックの日本版。キャミィのエピソードにかなりのページ数を費やしている。
[編集] 担当声優
- スーザン・ハート(マーヴルVS.シリーズ、ストリートファイターZERO2'、CAPCOM VS. SNK 1~PRO)
- 河本明子(ストリートファイターZERO3、NAMCO x CAPCOM)
- 長沢美樹(CAPCOM VS. SNK 2)
- 佐々木瑶子(アニメ『ストリートファイターII V』、アニメ映画『ストリートファイターII MOVIE』)
- 三石琴乃(ドラマCD『ストリートファイターII外伝』)
[編集] 脚注
- ^ 当初の設定では「悪の科学者に殺人マシーンとして育てられたが、芽生えかけた善なる心に悩んでいる。」というキャラクターだった。
- ^ ゲームの発売にあたって行われたプロモーションの一環として、アーケードゲーム向けソフトとしては異例のテレビCMが放映された。その中でキャミィのコスプレをした女性が実写で出演している。
[編集] 関連項目
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ストリートファイター | アドン - イーグル - ケン - 元 - サガット - バーディー - リュウ |
ストリートファイターIIシリーズ | E.本田 - ガイル - キャミィ - 豪鬼 - ザンギエフ - T.ホーク - 春麗 - ダルシム - ディージェイ - バルログ - フェイロン - ブランカ - ベガ - M.バイソン |
ストリートファイターZEROシリーズ | イングリッド - ガイ - かりん - コーディー - さくら - ソドム - ナッシュ - ダン - マキ - ユーニ - ユーリ - R.ミカ - ローズ - ロレント |
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