アレース
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アレース(Άρης, Arēs)は、ギリシア神話に登場する神で、戦を司る。ゼウスとヘーラーの子とされる。オリュンポス十二神の一柱。アイオリス方言ではアレウス(’Άρευς, Areus)とも。聖獣はオオカミ、イノシシ。
日本語ではアレスとも呼び、表記される。
本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された。「城壁の破壊者」の二つ名がある。戦争における栄誉や計略を表すアテーナーに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す。
ディオメーデースなど人間に敗北したり、巨人の兄弟オトスとエピアルテースにより青銅の壺の中に13か月間幽閉されるなど、神話の上では優れたエピソードを持たない。これはアレースの好戦的な神格がギリシア人にとって不評だったこと、アレースが主にギリシアにとって蛮地であるトラキアで崇拝されていたことによる。
ヘーパイストスの妻であるアプロディーテーを恋人とし、ポボス(フォボス、敗走)とデイモス(恐慌)の兄弟、娘ハルモニアーの父となった。エロースをアレースとアプロディーテーの子に加える説もあるが、これは元々関係のなかったアプロディーテーとエロースを関連付けるために作られたものである。他にも、アマゾーンをはじめとする多くの蛮族の父である。
また、エリスやエニューオーも彼の従者であり一般的には妹とされているが、姉や妻とされることも多く、また特にエニューオーは母や娘とされていることもある。
ローマ神話のマルスに相当し、また火星と同一視される。このため火星と同様に赤く輝く天体であるさそり座のα星はアンタレス(アンチ・アレス、アレスに対抗する者の意)と呼ばれている。火星の衛星フォボスとデイモスはアレースの子の名から採られている。