さざなみ (列車)
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さざなみとは、東日本旅客鉄道が東京駅~君津駅・館山駅間を京葉線・内房線経由で運行する特別急行列車。なお、ここでは、同列車より派生した列車 新宿さざなみ(しんじゅくさざなみ)についても記載する。
目次 |
[編集] 運行概況
- 基本的に東京駅~館山駅を上下共におよそ1~2時間毎に運行されるが、下り11号の後に4時間運行がないなど、異なる場合もある。始発以外の下り列車の東京駅出発は30分発となる。
- 上り1本(10号)のみであるが、館山駅~君津駅間普通列車で運行される列車が設定されている。
[編集] 使用車両
さざなみ5・19・21・4・6・20号
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さざなみ1・10号
←東京 | 館山→ | |||
1 指 |
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3 自 |
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さざなみ15・8号
←東京 | 館山→ | |||
1 自 |
2 指 |
3 自 |
4 自 |
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新宿さざなみ
←新宿 | 館山→ | |||
1 指 |
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3 自 |
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5 自 |
さざなみ3・18・24号
←東京 | 君津・館山→ | |||||||||
1 自 |
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3 指 |
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さざなみ17・23・2号
←東京 | 君津・館山→ | |||||||||
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2 自 |
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新宿さざなみ
←新宿 | 館山→ | |||||||||
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2 指 |
3 指 |
4 指 |
5 指 |
6 自 |
7 自 |
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9 自 |
- 臨時、もしくは代走の「さざなみ」・「新宿さざなみ」
- 183系C編成
- グリーン車・普通車で組成。
[編集] 停車駅
- 「さざなみ」
- 東京駅 - <海浜幕張駅> - 蘇我駅 - (五井駅) - 【姉ケ崎駅】 - 木更津駅 - 君津駅 - ≪青堀駅 - 大貫駅 - 佐貫町駅 - 上総湊駅 - 浜金谷駅 - 保田駅 - 安房勝山駅 - 岩井駅 ≫- 富浦駅 - 館山駅 『- 千倉駅』
- 海浜幕張駅は12時以降同駅を通過する上り列車及び14時までに通過する下り列車が停車(「わかしお」も同様)。
- 五井駅は一部列車のみ停車。
- 姉ケ崎駅は朝上り・夕方下りの一部列車のみ停車。
- ≪≫間の駅は選択停車区間。停車駅が列車により異なる。
- 千倉駅は多客期のみ直通。
- 「新宿さざなみ」
- 新宿駅 - 秋葉原駅 - 錦糸町駅 - 船橋駅 - 津田沼駅 - 千葉駅 - 蘇我駅 - 五井駅 - 木更津駅 - 君津駅 - 佐貫町駅 - 浜金谷駅 - 保田駅 - 岩井駅 - 富浦駅 - 館山駅 『- 千倉駅』
- 千倉駅は多客期のみ直通。
[編集] 内房線優等列車沿革
内房線(旧、房総西線)に有料の優等列車が初めて設定されたのは戦後の1958年(昭和33年)であるが、戦前から海水浴客などの利用を見込んで、臨時の快速列車(旧称:準急列車)には「漣」(さざなみ)などの列車愛称がつけられていた事があった。
- 1912年(明治45年)3月28日 現在の内房線にあたるなかでの初開業区間である、蘇我駅~姉ケ崎駅間開業。
- 1925年(大正14年)7月11日 現在の内房線区間に当たる、蘇我駅~安房鴨川駅間全通。
- 1955年(昭和30年)11月15日 気動車を使った同線区初の快速列車を設定。休日には新宿駅始発で、朝に新宿駅~千葉駅~木更津駅~館山駅~安房鴨川駅~大網駅~千葉駅と走った後、午後に千葉駅から逆経路でまわる循環列車で、「房総の休日」と名づけられた。
- 1958年(昭和33年)11月10日 この年7月10日から総武本線の両国駅~銚子駅間に設定されていた準急列車「犬吠」に、房総東線(現、外房線)経由安房鴨川駅行き、房総西線(現、内房線)経由館山駅行きの車両を併結し、多層建て列車になる。同時に愛称を「房総」と改める。しかし誤乗を防ぐ観点から、銚子駅行きの車両には「房総(犬吠)」、安房鴨川駅行きの車両には「房総(外房)」、館山駅行きの車両には「房総(内房)」と、列車名の後に各列車の系統を表す括弧書きがなされた。
- 1959年(昭和34年)7月1日 総武本線・房総東線・房総西線の準急列車を各3往復に増発し、それまでの「房総」を「京葉」に改称(括弧付けは継続)。「房総」は、新設された2往復の新宿駅~銚子駅・(房総東線・房総西線経由)新宿駅・(房総西線・房総東線経由)新宿駅間準急列車(3層建て列車かつ循環列車)の愛称となる。
- その運転系統は、2本とも新宿駅を9両編成で発車し、千葉駅で3方向へ向かう列車に分割し、房総東線~房総西線経由の「房総(外房)」と房総東線~房総西線経由の「房総(内房)」それぞれが房総半島を一周(途中ですれ違う)した後、千葉駅で再び銚子駅からきた上りの「房総(犬吠)」ともに3列車を併結して新宿駅へ戻るものであった。
- 1960年(昭和35年)11月 「京葉」を1往復増発するが、増発分は括弧付けをせずに3方面いずれも下りが「京葉1号」、上りが「京葉2号」とされた。
- 1961年(昭和36年)10月1日 「京葉」の括弧付け愛称を廃止し、上り下りともに発車順に「京葉1号」・「京葉2号」とする。
- 1962年(昭和37年)10月1日 「房総」・「京葉」の愛称を、房総東線系統列車は「外房」(がいぼう)、房総西線系統列車は「内房」(ないぼう)と改める。「内房」は4往復となった。
- 「房総」の流れを引き継ぐ循環列車系統に関しては、両線の境となる安房鴨川駅で「内房」と「外房」の愛称を切り替えていた。
- 1963年(昭和38年)10月1日 両国駅~館山駅間に、キハ58系を使用して全車座席指定席の準急列車を新設。よって自由席のみの編成であった「内房」と愛称の区別をする必要があったことから、「さざなみ」と名づけられる。
- 「さざなみ」の愛称自体は以前からよく臨時列車の愛称として登場していたが、この時定期列車に昇格した。また、両国駅~千葉駅間では、同じ内容で房総東線に新設された両国駅~館山駅間運転の「くろしお」と併結運転した。
- 1965年(昭和40年)10月1日 「さざなみ」に自由席車両を連結し、「内房」に統合する。この時「内房」の読みも『うちぼう』へ改められた。
- 1966年(昭和41年)3月5日 運転距離が100kmを越す準急列車を全て急行列車に格上げする事になり、「内房」は急行列車となる。
- 1967年(昭和42年)10月1日 「内房」の内循環運転を行うものを、「うちうみ」と改称。
- 1968年(昭和43年)7月1日 「内房」・「うちうみ」を「うち房」に統合。
- 1969年(昭和44年)7月11日 房総西線蘇我駅~千倉駅間が電化されたのに伴い、「うち房」電車化。これにより「そと房」と組んでの循環運転は廃止。
- 1972年(昭和47年)7月15日 総武本線東京駅開業と共に「さざなみ」の運行を開始。同時に線名を房総西線から内房線に改める。また外房線の蘇我駅~安房鴨川駅間が電化された事により、存続した急行列車4往復による循環運転を再開。先に内房線を走って外房線に入るもの(左回り)を「なぎさ」、先に外房線を走って内房線に入るもの(右回り)を「みさき」とする。これによって「うち房」の愛称は消滅した。なお、これに先立つ5月27日に外房線大網駅のスイッチバックが解消されていたため、電化前とは違い循環運転後は前後が入れ替わることになった。
- 1975年(昭和50年)3月10日 循環運転を再び廃止し、内房線を走る急行列車3往復は「内房」と改称。
- 1982年(昭和57年)11月15日 急行「内房」など房総地区の急行列車全廃。代替として、「さざなみ」に両国駅発着列車を設定。
- 1985年(昭和60年)3月14日 定期として「さざなみ」の新宿駅及び両国駅発着列車を全廃。
- 1991年(平成3年)3月16日 京葉線開業及び「成田エクスプレス」運行開始により、東京駅~蘇我駅間を京葉線経由に変更。
- 1992年(平成4年) 「スーパービュー踊り子」用車両(251系)による臨時列車「スーパービューさざなみ」を新宿駅~館山駅間で運行。
- 1993年(平成5年)7月2日 千倉駅発着列車の一部を255系による「ビューさざなみ」とする。同時に「ホームタウンさざなみ」・「おはようさざなみ」として、君津駅発着列車を運行開始。
- 1994年(平成6年)12月3日 「ビューさざなみ」での運転を千倉駅発着の全列車及び館山駅発着列車の一部に拡大。
- 1998年(平成10年) 「さざなみ」の一部列車を、君津駅~館山駅間で普通列車扱いにする。なお、当初は上り、下りともに数本設定されていたが、現在は館山発の上りの1本のみ。
- 2000年(平成12年)12月2日 「ビューさざなみ」の館山駅~千倉駅間を臨時列車に格下げ。
- 2002年(平成14年)12月1日JR東日本が管内からエル特急の呼称を全て廃止、「さざなみ」「ビューさざなみ」も対象に。
- 2004年(平成16年)10月16日 E257系を「さざなみ」に導入。また「ホームタウンさざなみ」・「おはようさざなみ」の名称を廃止し、E257系による列車を「さざなみ」、255系による列車を「ビューさざなみ」と名称を統一。
- 2005年(平成17年)12月10日 ダイヤ改正と合わせ列車名を「さざなみ」に統一し、「ビューさざなみ」の呼称廃止。さらに、君津駅発着列車(旧「おはようさざなみ」・「ホームタウンさざなみ」)の4本を館山まで延長し、10両編成列車を大幅増加。その一方で、昼間時間帯の列車は臨時列車に格下げになり、255系電車の運用も減少。また、全ての房総方面の特急列車を全車禁煙化。
※1997年12月の東京湾アクアライン開通後、「さざなみ」は距離的に遠回りで所要時間で劣るようになり、同ルートによるマイカーや高速バスへの乗客の転移が著しい。そのため列車本数の削減が目立ち、マイカーに転移しにくい朝夕の通勤客の比重が増している。
[編集] 列車名の由来
房総各線を走る列車名には元々の地域性や、海水浴客に対する宣伝の意味も込めたのか海に関するものが多い。
(五十音順)
- 「うちうみ」 房総半島の東京湾側、即ち「内海」を走ることから。また、外房線(旧、房総東線)を走る「そとうみ」と対にするため。
- 「内房」・「うち房」(ないぼう・うちぼう) 房総半島の東京湾側を「安房の内側」で「内房」ということから。また、外房線を走る「外房」・「そと房」と対にするため。
- 「おはようさざなみ」 朝の通勤時間帯を走る「さざなみ」であるから。
- 「京葉」(けいよう) 東京と千葉県各地を結ぶことから。
- 「漣」・「さざなみ」 小さく立つ水面波を表す「漣」・「小波」・「細波」(いずれも読みは「さざなみ」)から。
- 「なぎさ」 波打ち際を表す言葉の「渚」から。
- 「ビューさざなみ」 使用する255系の愛称が「Boso View Express」(房総ビューエクスプレス)であるから。
- 「房総」(ぼうそう) 房総半島各地へ向かう列車であるから。
- 「房総の休日」(ぼうそうのきゅうじつ) 休日に房総半島へ向かう列車であるから。
- 「ホームタウンさざなみ」 夕方の帰宅時間帯を走る「さざなみ」であるから。
- 「みさき」 房総半島に多くの「岬」があり、ペアを組む「なぎさ」と見合うことから。