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Wake-on-LAN - Wikipedia

Wake-on-LAN

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Wake-on-LAN(ウェイク・オン・ラン、略称WoLあるいはWOL)は、コンピュータネットワーク(主にLAN)に繋がっているコンピュータの電源操作(投入、シャットダウンなど)を遠隔で操作する技術あるいはその行為を指す。

目次

[編集] 概要

たとえば、会社の営業所で数十台から数百台までのコンピュータが置かれている場合、従来の方法だとシステム管理者などが一台ずつ電源を投入及びシャットダウンしなければならず、台数や社屋が大きければ大きいほど非効率な作業となる。Wake On LANは起動の命令を出すコンピュータからマジックパケットと呼ばれるパケットを起動させるコンピュータに送信させることで一度に複数台のコンピュータの電源を投入・シャットダウンを行うことができる。また、複数台に限らず、コンピュータ一台でも同様に利用することができる。

ただし、Wake On LANを使うにはマザーボードネットワークカードBIOSオペレーティングシステムなどがWake On LANに対応している必要があるため、設置には大きな問題が生じる場合がある。

[編集] マジックパケット

マジックパケットは、宛先アドレスがFF:FF:FF:FF:FF:FFすなわちブロードキャストアドレスに続けて起動したい装置のMACアドレスを6回繰り返した物(AMD Magic Packet Format)が主に使われている。例えば、起動したい装置のMACアドレスが EE:EE:EE:00:00:01 の場合、

FF:FF:FF:FF:FF:FF EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01

このような信号が送られ、L2スイッチは先頭のブロードキャストアドレスを見てブロードキャストドメイン全体にパケットを伝達し、最終的に起動したい装置の電源ステート(例えばACPI Sステート)が切り替えられ、装置の電源が入る。重要な点はこのパケットはEthernetのブロードキャストドメインに依存し、その上のレイヤーとは全く関係を持っていない事である。その為、後述に述べられる問題点が生ずる。

[編集] 問題点

Wake On LANの設置には様々な問題点が存在しており、主要なものとしては以下の点が挙げられる。

[編集] ネットワーク構成

LANを構成する際にインターネットの出入り口(ゲートウェイ)として一般的に利用されているのがルーターであるが、その配下にあるPCの電源が切れるとARPテーブルからその機器のIPアドレスが消えてしまう製品が存在する。これではWOLで電源を入れるべきPCにマジックパケットが届かない。

マジックパケットを受信する、電源を操作される側のコンピュータは、すべて有線LANで接続されている必要がある。つまりこれが無線LANの場合別の手段を考える必要がある。例えばシステム管理者がメンテナンス日時をスタッフ達に連絡し、メンテナンス期間(夜や休日)だけLANケーブルを接続するよう指示するなどである。

あるいはスタッフ達の使用するコンピュータ本体には直接無線LANを使用せずに、無線ブリッジとPCとの間を有線LANにすることでも解決できる(無線ルーター製品のアドホック・モードを使用)。

[編集] コンピュータ側の問題

コンピュータ本体がシャットダウンしていてもネットワークカードにだけは電源を供給し続ける設定をBIOSレベルで行う必要がある(BIOSの設定でサスペンドの電源管理をS1からS1&S3に変更する、など)。これが搭載されていないマザーボードを採用したPCであれば、WOLは利用できない。ただしマジックパケットを送信する側になる上では問題は無い。

[編集] Wake On LANのメリット

マジックパケットを送信し、目標のPCを起動させることでそのPCに保存したファイルをネットワーク越しに取り出したり、VNCWindowsのリモートデスクトップなどを利用してGUIそのものを遠隔操作することが出来る。

システム管理者にとってはメンテナンスなど、時間やコストの削減となるため重宝される。 複数のPCを同時に使う必要のある研究室などで、一人で複数台のPCを操作する場合、CPU切替器で三台の本体に対して一組のモニタ、キーボード、マウスで操作する方法が採られることがあるが、環境によってはWOLで電源を操作し、VNCで様々な操作をすることで作業効率をあげる手段になりうる。

ブロードキャストドメイン単位に管理コンピュータを設置し、そこから起動対象となるコンピュータを一斉起動し、装置のメンテナンスを自動的に実行するソリューションがある。その一例として、Microsoft Systems Management Serverがある。管理コンピューターにエージェントをインストールしておき、Systems Management Serverからメンテナンススクリプトを起動すると、エージェントは管理対象のコンピュータを順次起動し、Windows Updateやシステム設定の変更等を実施し、最後にシャットダウンを行う。System Management Serverは管理対象に企業や学校といった大規模設備を想定しているシステムであるが、同様の事はUNIXでシェルスクリプトとリモートシェル(SSH等)、wolコマンドを組み合わせる事で実現する事ができる。AppleMac OS X Serverには前述のUNIXにおけるメンテナンスを行う機能が搭載されている。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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