Dr.HOUSE
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『Dr.HOUSE』(原題:HouseもしくはHouse M.D.)は、2004年よりアメリカ合衆国のFOXで放送されている1話完結型のドラマシリーズである。製作はデイヴィッド・ショア、ブライアン・シンガーほか。
医者としての腕は高いが一匹狼で捻くれ者の医師・ハウスとそのチームが、他の医師が解明出来なかった病の原因をそれぞれの能力を生かして突き止めていく姿を描く医療ドラマ。アメリカ・ニュージャージー州プリンストンにある架空のプレインズボロ教育病院が舞台。日本では「US版ブラック・ジャック」というキャッチコピーが付いている(ただし、ハウスは正式な医師免許を持っている)。
番組はアメリカの視聴率ランキングトップ20の常連であり、第1シーズンでエミー賞の脚本賞を受賞したことからも伺えるように番組の評価も高い。また、主役のハウスの一癖あるキャラクターを軽快に演じる主演のヒュー・ローリーは、ゴールデングローブ賞を始め数々の賞を得ている。第58回プライムタイム・エミー賞では第2シーズンにして作品賞の候補にあがったが、主演男優賞でローリーは候補にならず、そのことに対し多くの疑問の声があがった。ローリーは2007年の第59回プライムタイム・エミー賞では主演男優賞候補として無事ノミネートされている。
2007年9月現在、アメリカでは第3シーズンまで終了し、9月25日より第4シーズンが放送予定。日本では2005年より『HOUSE』のタイトルでFOX life HDで第1シーズンが放送され、その後2006年の8月から通常のFOXチャンネルでも放送した。2007年6月26日から、今の邦題に改題されて、第2シーズンが放送された。 2008年5月27日から第3シーズンが放送中。
2008年2月からはFOXチャンネルにて吹き替え版でも放送された。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 登場人物
- グレゴリー・ハウス医師 (ヒュー・ローリー) - 主人公、解析医療部門部長、感染病専門医、腎臓内科医師
- 白衣を嫌う天才医師。病気で右足の筋肉を失ったために杖をついて歩く。足の鎮痛剤の中毒状態にある。ハウスからは一見他者に対する思いやりが感じられないが、患者の死亡が彼にとって一番の苦痛である。部下に空き巣同様の行為を指示したり、患者に嘘をついて同意書にサインさせるなど、患者の命を守るためなら手段を選ばない。
- リサ・カッディ医師 (リサ・エデルシュタイン) - 理事、医療部長、内分泌学医師
- ハウスの上司。ハウスとは大学時代からの友人。自分の指示どおりに動かず問題を起こすことが多いハウスを疎みながらも、ハウスの数少ない理解者である。
- ジェームズ・ウィルソン医師 (ロバート・ショーン・レナード) - 腫瘍学部門部長
- ハウスの親友。「自分には仕事と友人しかいない」と語る。既婚だが子供はいない。弟が行方不明になっている。
- エリック・フォアマン医師 (オマー・エップス) - 解析医療部門医師、神経内科医師
- ハウスの医療チームのアフリカ系アメリカ人男性スタッフ。大学を首席卒業した優秀な医師。手段を選ばないハウスのやり方をめぐってハウスと衝突することが少なくない。
- アリソン・キャメロン医師 (ジェニファー・モリソン) - 解析医療部門医師、免疫学医師
- ハウスの医療チームの女性スタッフ。死を宣告された男性と結婚した経験がある。ハウスに惹かれている。人件費削減を要求されたチーム内での折衝を嫌い自ら辞職するもハウスの強い要望で復帰する。
- ロバート・チェイス医師 (ジェシー・スペンサー) - 解析医療部門医師、集中治療医師
- ハウスの医療チームのオーストラリア出身男性スタッフ。"pain"(痛み)を「パイン」と発音するなどオーストラリア訛りで話す。父親ローワン・チェイスは著名な医者であり、裕福な家庭で育った。母親はアルコール中毒に苦しみ彼が十代の頃に死亡。離婚後、アルコール中毒の母と自分を遠ざけ関わりを持とうとしなかった父ローワンとの間に蟠りがある。父親も癌で死亡する。神学校に通った経験がある。
[編集] 不定期登場人物
- ステイシー・ワーナー (セーラ・ウォード) - ハウスの元恋人。病院の元弁護士。
- マーク・ワーナー (キュリー・グラハム) - ステイシーの夫
- エドワード・ボグラー (チィ・マクブライド) - 製薬会社の億万長者オーナー。病院の前会長。
- ブレンダ・プレビン (ステファニー・ベンディット) - 看護部長
- スティーブ・マックイーン - ハウスのペットのねずみ
[編集] 概略
グレゴリー・ハウス医師はニュージャージー州プリンストン・プレインズボロ教育病院で解析医療部門を率いる型破りな天才医師である。ほとんどのエピソードは病院の外のどこかで患者の病気が発症するシーンから始まる。そして、その患者の病気の原因を突き止めるべく、試行錯誤するハウスと彼のチームがこのドラマの主体である。
チームはハウスの誘導に沿ってソクラテス式問答法を用いて診断をするのだが、ハウスはしばしば部下の情報や意見を見当違いだとして切り捨てる。それぞれのエピソードにおいて患者は大抵2度3度誤った診断をされ、病状が悪化する。病気の原因が簡単に導き出せない理由は、患者が病状や事情についてつく嘘に起因している。例えば奇病の原因となった浮気、内在的な障害、職業などについて嘘をつくのだ。このためハウスはよく「人は誰しも嘘をつく」とつぶやいたり、チームの考えについて「その患者は嘘をついている」と反論するのである。明確にそう口にすることはなかったとしても、彼は大抵この仮定のもとに診断する。そして、発症時の症状と証言、悪化した結果から得られた矛盾点から患者の嘘を見抜き、適切な処置のなされた患者が快方に向かう、または退院するのが基本フォーマットである。
本作品のお決まりの脇筋として、ハウスがしぶしぶ行う病院診療がある。診療中、彼は常軌を逸した態度や型破りな治療で患者を困惑させる。しかし、一見患者に注意を払っていないように見えながらも、素早く正確な診断で患者を驚かせる。例えば患者が病状について説明しているあいだ、彼がビデオゲームで遊んでいたり、またあるエピソードでは複数の患者を診療室から帰りながら待合室で5分で診断したことがある。 ハウス自身は診療嫌いであると主張するが、皮肉にも診療室で遭遇する簡単な問題がそのエピソードのメインの問題を解決することがあり、これが本作品の魅力の一つとなっている。
いくつかのエピソードでは病原菌を探すために所有者の許可の有無に関わらず患者の家に侵入する様子が描かれている。もともと製作のデイヴィッド・ショアはHouseを「細菌が被疑者」のCSIのようなドラマにすることを考えていたが、描画の中心を環境の探索からキャラクターへ転じてきている。
[編集] 賞
本作品は「オーソドックスでない主人公、厭世的な診断医」「医療版シャーロック・ホームズにぴったりの症例」によって「この10年で最も異端な新しい医療ドラマ」にしたとして2006年ピーボディ賞を受賞。
アメリカ映画協会 (AFI) の2005年TV番組オブ・ザ・イヤーを受賞。
製作のデイヴィッド・ショアは第1シーズン第21話「3つの寓話」の脚本において、2005年エミー賞脚本部門を受賞。
ヒュー・ローリーは2006年と2007年にテレビドラマ男優部門でゴールデン・グローブ賞を受賞。2005年にはドラマシリーズ主演男優部門でエミー賞にノミネートされた。また、2007年にドラマシリーズ主演男優部門で映画俳優組合賞を受賞。
[編集] エピソードタイトル
[編集] 第1シーズン
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[編集] 第2シーズン
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[編集] 製作情報
[編集] テーマソング
オープニングテーマはMassive Attackの"Teardrop"である。オリジナルの"Teardrop"には歌詞があり、コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーがゲストボーカルとして歌っている。ただし、本作品のオープニングで使われているのは始めと終わりの楽器演奏の部分だけである。
ライセンスの問題のため日本のほか、南アフリカ、イギリス、ドイツ、スイス、スウェーデン、デンマーク、オーストラリア、ポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランド、イスラエル、ニュージーランド、オランダ、ハンガリー、ラテンアメリカ、ギリシャ、香港、トルコではこの曲は使われていない。これらの国々ではジョン・エーリッヒ、ジェイソン・デラトカ、リー・ロバーツによってこのドラマ用に作られた"House End Credits"という曲が使われていた。しかし第2シーズンでエーリッヒとロバーツによる似た曲に置き換えられた。この曲はテレビ放送のみで使われており、DVDではオリジナルの(アメリカの)テーマソング("Teardrop")が使われている。
イギリスのパロディー番組デッド・リンジャーズがHouseをもじるときは"Teardrop"をオープニングに使う。
[編集] 撮影
撮影はカリフォルニア州ロサンゼルス市のセンチュリーシティにあるFOXの一画で行われている。病院外の大学キャンパスのシーンはカリフォルニア大学ロサンゼルス校にて撮影されている。
プリンストン・プレインズボロ教育病院の外観のショットは実際のプリンストン大学のファーストキャンパスセンター(大学学生センター)のものである。3シーズン全てで使われているこのショットは異常な割合で病院の玄関口にUPSのトラックが停まっていることから、同じ日に撮影されたもののバリエーションと考えられる。
[編集] トリビア
- MADtv (FOXのコメディ番組)のエピソードの一つにHouseのパロディーがある。マイケル・マクドナルド (コメディアン)がヒュー・ローリーの役を演じた。この中でハウス医師は「君を抱きたくて死にそうだ」と女性の同僚に対して発言するなど、性差別主義者としてコミカルに描かれている。さらに「患者の抱える唯一の問題はユダヤ人であることだ」と主張したり、アフリカ系アメリカ人やオーストラリア人の同僚医師を馬鹿にするなど人種差別主義者としても描かれている。一方、同僚の医師たちは障害を抱えるハウスへの思いやりや彼に対する尊敬を表している。
- 出演者たちは数独中毒であるらしく、撮影現場では禁止されるまでに至ったという。あるエピソードではハウスがオフィスのコンピュータで数独を楽しんでいる様子が描かれている。
- 病院の棟の名前の多くはプリンストン大学の寮の名前から取られている。カイラーウィング、ウィザースプーンウィングなど。またハウスのオフィスには同大学のキャンパスの写真が飾られているようである。
- ジェニファー・モリソンとジェシー・スペンサーは本作品が縁で2007年初頭に婚約。しかし、2007年8月、婚約解消を発表した。