BMS (音楽ゲーム)
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BMS(ビーエムエス、Be-Music Script)とは、音楽ゲームであるBM98等の譜面データを定義するファイルフォーマットのことである。広義には、それによる譜面データを中心とした曲データ、あるいはゲームシステム全体のことをさす。コナミの音楽ゲームbeatmaniaを模したデザインであり、ゲーム自体もbeatmaniaと同じルール・操作方法でプレイする。
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[編集] 概要
(広義の)BMSは、基本的にBMSファイル、WAVEファイル、ビットマップ画像ファイルで構成される。BMSファイルは譜面を定義するファイルで、曲データの核を成すものである。WAVEはSEまたはBGMに、ビットマップファイルはムービー(BGA)に使われる。また、BMSファイルの拡張としてBMEファイルおよびBMLファイルがある。BMEファイルとは、基本的にBMSファイルが5鍵盤用のファイルであったのに対し、BMEは7鍵盤の譜面データ(丁度beatmaniaに対するbeatmania IIDXのような譜面)のために作られたファイル形式である。またBMLファイルは、KEYBOARDMANIAで登場したロングノートに対応するために作られたファイル形式である。しかし現在ではBMSプレーヤーの性能の向上により、これらのファイル形式を区別する必要はない。
また、BMSの派生として、ふぃーりんぐぽみゅやStepManiaなどといった、beatmania以外のBEMANIシリーズを模したゲームも登場している。
[編集] 基本フォーマット
BMSファイルは譜面毎に(曲単位ではなく、同じ曲でも1人プレイ用と2人プレイ用、更に両サイドのデバイスを操作するDOUBLE用で別ファイルとなる)存在する。
個別の譜面データは、曲名やアーティスト名、譜面種類などの情報を持つ他、キーに対応するSEやBGA用のファイルを定義するヘッダ部分と、譜面本体の2つに分類される。
ヘッダにはプレイ人数・曲名・初期BPM等が格納される。またここでWAVEファイルと画像ファイルをそれぞれ255個まで登録できる(厳密には画像ファイルは256個登録できるが、画像の0番はデフォルトでのMISS表示用)。またBGMとしてMIDIファイルを使用する場合はここで指定するが、指定されたMIDIファイルは譜面の先頭で自動的に再生が開始される。WAVEファイルはBGM・キーのどちらにも配置できる。
譜面の行は配置する小節(000~999)と配置するチャンネル(プレイヤーのサイドおよびキー、BGMパートなど)、そしてそこにおける配置により構成される。音声のパートでは配置するタイミングと配置するWAVEファイルの番号を、BGAパートでは切り替えるタイミングと表示する画像ファイルの番号を、ゼロパディングした16進数(1~15は01~0Fとなる)で表記する。なお00表記は休符となり、音声パートではBGM無しやキー操作無し、BGAパートでは画像切り替え無しとなる。1行に書かれた配置はその小節内で均等割り付けされる("01010101"と表記すれば1番のファイルを4分単位で4つ配置、"0101010001010100"では8分3連+8分休符を2回繰り返す)。
この「均等に割り付けされる」と言うのがBMSの特長的な部分でもあり、これはBMSフォーマットを定めたBM98の作者やねうらお氏の卓越したアイデアの賜物である。このフォーマットの優秀さが、BMS普及に影の立役者であったことを否定はできないだろう。これにより分解能に依存することなく3連符や5連符を無理なく表現することができる。ここで言う分解能とは、1小節をいくつのタイムスパンに区切るかであって、初代BM98では1小節に対して192の分解能を持つことがわかっている。(やねうらお氏自らがそう語っている)
基本的には1カ所の1小節につき1行だが、配置が複雑な場合(8分と12分が混在する場合など)は単純化するために同じ小節の同じキーに対する複数の行を持つこともできる。
以下、実例としてBM98で主に使われるチャンネルを挙げる。
- 01 - BGMとして再生するWAVEファイルを指定する。
- 04 - BGAの画像ファイル切り替え
- 11~15 - 1P側の5鍵盤の操作
- 16 - 1P側のターンテーブル
- 21~26 - 2P側であること以外、先述した11~16と同じ(21~25が5鍵盤、26がターンテーブル)
[編集] オリジナルBMSと著作権
楽曲、譜面、BGA等全ての内容をユーザー自身が作成したものをオリジナルBMSという。BM98の発表以降数多くのアマチュア作曲家がインターネット上でオリジナルBMSを発表し、またクラブイベント等も開催されている。
これに対し、BEMANIシリーズの楽曲データを解析(リバースエンジニアリング)などの手段によってそのままBMS化したものを俗に本家BMSと呼ぶ。[1]コナミは自社製品に対してリバースエンジニアリングを禁止しているため、これは著作権に違反するものである。
そもそも、BMS自体が「音楽演出ゲーム機及び音楽演出用の演出操作指示システム」の特許に抵触する恐れがあるが、コナミがこれまでにBMSに関する訴訟を起こしたことは無い。それはコナミが黙認しているからであるという認識が多くのBMSユーザーに共有されている。[2]しかし、必ずしも消極的というわけではない。[3]
[編集] BMSパッケージ
複数の楽曲や専用のスキンを用意して、独自の作品観を確立させたものをBMSパッケージと呼ぶ。これらはBMSの普及、および新規BMSユーザーの入り口になることを目的とする場合が多い。[4]近年発表されたBMSパッケージとしてはendless musicやBOFIIIなどがあげられる。
[編集] 脚注
- ^ BMS Journal「Guidance」~本家BMSについて~
- ^ BM98 for the BEGINER ver.3~BM98は何故「灰色」か~
- ^ 音楽シミュレーションゲーム機「EZ2DJ」に対する特許侵害訴訟について
- ^ Colorful Canvas公式サイト「Introduction」~What's 「Colorful Canvas」?~