Atmel AVR
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Atmel AVRは、Atmel社が製造している、RISCベースのマイクロコントローラ(制御用IC)製品群の総称である。
PIC同様に回路構成が簡単でCPU、メモリ(RAM、ROM)、I/O、設定記憶用のEEPROMなどが1チップに収められており、書き込まれたプログラムにより制御される。
インシステムプログラムIn-System Programmingに対応し、コンパレータを内蔵する等、後発である故にPICに不足する点を補うような構成を持ち、i8051ピンコンパチ品や外部にRAMやI/Oを増設する外部バスのあるものもあり、電子工作を行う人の間で人気があるとともに、PICのライバルとして認識されている。
また、ラインが変わっても基本的なCPUコアのアーキテクチャが変わらず、RAM空間がリニアである等、C言語でのプログラミングを意識しており、さらにアセンブラを含んだ統合開発環境「AVR Studio」が無償配布され、GCCも対応しているため安価に開発環境を構築できる。
プログラム格納用のROMは全品種でFlashROMを採用しており、PICのようなUV-EPROMやPROM、マスクROMタイプはない。ハーバードアーキテクチャである点はPICと同じである。
ほとんどの命令を1クロックで実行するため、MHzあたりの計算量は1MIPSに達する。
AVRという名前は、チップを設計したAlf Egil Bogen と Vegard Wollanの名前と、RISC から取られている。
目次 |
[編集] AVRの種類
起源となった90Sシリーズと、それを大容量化、I/Oを拡張したMegaシリーズ、コンパクト化・低消費電力化・低電圧対応したTinyシリーズがあり、今後は、MegaシリーズとTinyシリーズを主力する方向であるが、90Sシリーズもまだ多く使われている。
既に品種数がかなり多く、廃品種となったものも多いため、流通量が多い主な品種や著名な品種のみを取り上げ、特定顧客・特殊用途向けは割愛する。
- 90Sシリーズ
- 90S1200
- 90S2313
- 90S4433
- 90S8515
- 90S8535
- Megaシリーズ
- Mega8/48/88/168
- Mega161/162
- Mega163/323
- Mega169/329/649
- Mega8515
- Mega8535
- Mega16/32
- Mega64/128
- Tinyシリーズ
- tiny2313
- tiny11
- tiny12
- tiny13
- tiny15
- tiny26
[編集] AVRのレジスタセット
呼称 | 説明 |
---|---|
R0-25 | 汎用レジスタ
R0-R15は即値演算不可 |
X(R26,R27) | インデックスレジスタX |
Y(R28,R29) | インデックスレジスタY |
Z(R30,R31) | インデックスレジスタZ |
PC | プログラムカウンタ |
SP | スタックポインタ |
SREG | ステータスレジスタ |
[編集] 命令セット
- 16ビット固定長
- C言語でのプログラミングを意識した直交性の高い命令群
- メモリへのアクセスはロードとストアのみであり、演算はレジスタとレジスタあるいはイミディエイトのみ
- PICでは、サポートされなかったイミディエイト減算やキャリー付加減算のサポート
- Megaシリーズは乗算命令をサポート
[編集] 主なアドレッシングモード
呼称 | 説明 |
---|---|
イミディエイト | 直接8ビットの値を指定する。 |
直接 | 直接16ビットの番地を指定する。 |
間接 | X,Y,Zレジスタで番地を指定する。ディスプレースメント付、ポストインクリメント、プリデクリメントも可。 |