10.20成田現地闘争
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10.20成田現地闘争（10.20なりたげんちとうそう）は、1985年（昭和60年）10月20日）に千葉県成田市の三里塚交差点付近で極左グループと警察部隊が衝突し、多くの逮捕者を出した事件である。 「10.20成田現地闘争」の名称は警察庁が警察白書で使用している呼び方である。
[編集] 事件経過
新東京国際空港（現 成田国際空港）の二期工事に反対する三里塚芝山連合空港反対同盟北原グループ主催の全国総決起集会が、千葉県成田市の三里塚第一公園で開催されたが、この際、極左グループの参加が予想されていたことから、千葉県警警備本部は、千葉県へ応援派遣された警視庁の第一機動隊、第三機動隊、第四機動隊等の各部隊を三里塚第一公園から三里塚交差点付近に、千葉県警察の各機動隊を成田空港第5ゲート（現 東成田駅付近）に配備した。
また千葉県警新東京国際空港警備隊（現 千葉県警察成田国際空港警備隊）の6個空港機動隊（大隊）と、関東管区機動隊3個大隊を成田空港の北側から東側にかけて配備した。
さらに、千葉県警および警視庁航空隊による航空機隊（ヘリコプター5機）を上空警戒させた。
この決起集会には、約3900名が参加した。
集会も終盤に入った午後4時10分頃、中核派をはじめとする支援極左グループは、ダンプカー等で大量の砕石、鉄パイプ、火炎びん等を会場内に搬入した。その後、これらの凶器で武装したデモ隊は、三里塚交差点で警戒中の警視庁機動隊の各部隊に対して、丸太を持った先頭集団が突き当たり、続いて火炎びんや砕石を投げ、鉄パイプで殴りかかるなど、激しい集団武装闘争を約2時間にわたり展開した。
このため、警察では、241人（うち、女性46人）を公務執行妨害等で現行犯逮捕した。機動隊員は重傷者9名を含む59名が負傷、装甲車3台が大破した。
また、この衝突と同時刻頃、成田国際空港ターミナルビル周辺で、時限発火装置等によるゲリラ事件が多発した。 革労協によると、同日5時30分頃、革労協のメンバーが、タクシーに偽装した車両で空港の検問を通り抜け、空港内に侵入し、35分頃空港内の旅客ターミナルビル駐車場内で、この車両を炎上させた。その後、革労協は「偽装消防車」で空港に駆けつけ、消火活動の名目で空港内に侵入し、管制塔前に車両を停めると、消防ホースに偽装したノズルから発射させたパチンコ弾と火炎放射により、管制塔と管理棟を一部損壊させた。
革労協は、この作戦の立案と「消防車」の製作を数年前から準備していたといわれている。
この事件は、成田空港開港以降で最大規模の反対派と警察部隊の衝突であった。しかし、その後、大規模な衝突事件は少なくなり、1995年以降、空港2期工事への用地買収に応じる地主も現れており、空港反対運動は収束に向かっている。
[編集] 最後の大闘争
中核派は80年代後期決戦の一環として、この10･20を闘った。その理由は、10･20闘争が、続く翌年以降の東京サミットや、1987年沖縄国体への天皇訪沖阻止闘争の「前哨戦」としての位置づけがあったためである。結果として、これまでにない全力動員で機動隊と衝突した。「これまでにない」とするのには理由がある。当時、中核派は構成員が1万人いると言われていたが、その内実は一切不明であり、集会・デモではいわゆる「公然部隊」しか参加させていなかった。
しかし、この10･20には「非公然」とされる全国の活動家も参加しており、逮捕者には学生だけでなく、東北の山奥の小学校教諭（日教組組合員であっても、組合活動には全く関わっていない）などもおり、逮捕時の身柄拘束で無断欠勤となり、初めて活動家であることが判明した者もいた。中核派にとっては、それほど大規模な動員であり、相当の覚悟で10･20に結集したと考えられる。これ以降、中核派は今日に至るまで、大量の逮捕者を出す闘争を実施していない。
