鶴の恩返し
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鶴の恩返し(つるのおんがえし)は、日本における鶴との異類婚姻譚である民話。
[編集] 概要
一般に「翁が罠にかかった鶴を助け、その鶴が人間に化けて翁とその妻に恩を返す」というあらすじが浸透しているが、類似する話は日本全国に点在しており、鶴が老夫婦の娘になったり、鶴を助けた人物が翁ではなく若者であったり、その若者と人間に化けた鶴が世帯を持ったりと話が若干違っている。
[編集] 物語
昔々、ある所に老夫婦が住んでいた。ある冬の雪の日、夫が町に薪を売りに出かけた帰りに、罠にかかった一羽の鶴を見つける。可哀想に思った彼は、鶴を罠から逃がしてやった。激しく雪が降り積もるその夜、美しい娘が夫婦の家へやってきた。道に迷ったので一晩泊めて欲しいと言う娘を、夫婦は快く家に入れてやった。次の日も、また次の日も雪はなかなか止まず、娘は老夫婦の家に留まっていた。その間、娘は甲斐甲斐しく夫婦の世話をし、彼らを大そう喜ばせた。ある日、娘が「布を織りたいので糸を買ってきて欲しい」と言うので爺は糸を買ってきた。作業を始める時、娘は「絶対に部屋を覗かないで下さい」と夫婦に言い残した。布を一反織り終わると、娘は「これを売って、また糸を買ってきて欲しい」と夫婦に託した。娘が織った布は大変美しく、たちまち町で評判となり、老夫婦は長者になった。初めのうちは辛抱して約束を守っていた老夫婦だが、ついに好奇心に勝てず覗いてしまった。そこには娘の姿あるはずだったが、一羽の鶴がいた。鶴は布に自分の羽根を織り込み、それを夫婦に売ってもらっていたのだ。機織を終えた娘は自分が爺に助けてもらった鶴だと告白し、両手を広げ鶴になり、別れを惜しむ老夫婦に見送られ空へと帰っていった。
[編集] 関連項目
- 夕鶴 - 柳田国男『全国昔話記録』の第一編『佐渡昔話集』(1932年(昭和7年))中の「鶴女房」(採話者 鈴木棠三 話者 道下ヒメ 相川町史編纂委員会編『佐渡相川郷土史事典』から)を題材にした戯曲。
- 夕鶴 (オペラ) - 團伊玖磨によるオペラ化作品。
- いろは - この民話の登場人物である鶴をモチーフとしたゲームキャラクター
- 見るなのタブー