魔王 (シューベルト)
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『魔王』(まおう、Erlkönig)はフランツ・シューベルトが1815年頃に作曲したリート(歌曲)。ゲーテの同名の詩に、少年期の作者が触発され、短時間のうちに歌曲と伴奏を完成させた傑作。
シューベルトは初期ロマン派の開拓者であり、ベートーヴェンにはない自由な転調、標題音楽の要素を巧みに取り入れた歌曲伴奏などで「歌曲の王」の名をほしいままにしている。
12歳若いシューマンは格調高い詩に絞って『詩人の恋』を作曲したが、シューベルトの天才的な作風が劣後するものではない。原詞の持つ世界を音楽的に再現する技術は詞の巧拙に左右されない。
Schnell(速く)
ト短調。変形したロンド形式。4分の4拍子。序奏は右手g音のオクターヴ奏法で嵐の中の馬の疾走、更に左手の音階音型でしのびよる不気味さを演出している。ピアノ伴奏者には技術が求められる。
単独の歌手で、狡猾な魔王が言い寄る場面、家路に急ぐ父親、恐れおののく息子の3役を演じ分ける必要がある。意表をついた転調とたくまざる(伴奏音型の)単純さを旨とする作者の作曲技術がこれほど効果的に発揮された例はない。
中間部は平行調変イ長調。再現部は短く切迫感を演じさせる。終結部にいたってAs音が急に登場する(ナポリの6の和音)。一瞬の隙をついて主和音で終わる。詩の中で突如息子の死を宣告しているのと緊密に符合させている。この終結部はレチタティーヴォ風の処理がなされており、極めて印象的である。
日本では音楽の教材にも登場し非常に有名。若い世代にも知られており、北陽は寸劇で、音楽教師と生徒が魔王をめぐって珍問答を繰り広げる場面を演じている。ちなみに、鳥居みゆきもコント『数子』の中で一部扱っている。