高潮
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高潮(たかしお)は、台風や発達した低気圧が海岸部を通過する際に生じる海面の高まりを言う。原因は主として、気圧の低下による海面の上昇と、向岸風による海水の吹き寄せである。これらを「気象潮」と呼び、「天文潮」すなわち満潮が重なるといっそう潮位が高くなる。これらの効果は湾のように遠浅の海が陸地に入り込んでいる地形で最も顕著に現れるので、東京湾・伊勢湾・大阪湾などでは過去に大きな高潮災害が繰り返されている。これらの湾では、湾内の海水の固有振動が潮位を更に上げているとの説もある。
アメリカのメキシコ湾沿岸や、ベンガル湾に面したインド・バングラデシュでは、日本よりはるかに大規模な遠浅の海が広がっているため、勢力の弱いハリケーンやサイクロンによっても大規模な高潮が起こりうる。
高波は波の振幅が大きいことをいい、津波は地震、火山、(隕石の落下なども含む)活動が原因なので、高潮とは異なる。
[編集] 台風による高潮被害
台風による甚大な被害は高潮によるものも多い。高潮が発生すると海面が高くなり、陸地に海水が入り込む。その結果沿岸部の住宅や耕地が浸水したり、人が波にさらわれたりする。また、9月中旬は1年で最も潮位の高い時期であり、毎年のように全国各地で被害が出ている。
日本でこれまでに観測された気象潮の最大値は、伊勢湾台風の時の3.45mであり、上記の国々では更に高くなると思われる。災害の起こるおそれがあると予想される場合、沿岸部に高潮警報(注意報)が発令される。
近年の特に大きな被害を出した高潮災害は次の通り。
- 1999年9月24日に日本各地を襲った台風18号では、熊本県不知火町(現宇城市)松合地区で起こった高潮で12人の犠牲者が出ている。
- 2004年8月30日~8月31日にかけて、台風16号が日本に接近。接近時は1年で最も高い時期であり、岡山県と香川県の沿岸部を中心に大きな被害を出した。8月31日午前0時頃が満潮時刻であるが、2時間前の8月30日22時頃から海水が上がってきた地域もある。大潮と満潮時に接近したので、最悪なパターンとなった。これにより瀬戸内海沿岸を中心に、過去最高潮位を記録した。場所によっては床上1m以上浸水の地域も少なくなかった。この高潮では岡山県倉敷市で1人、香川県高松市で2人の犠牲者を出した。また、その約1週間後の9月7日の台風18号でも、復旧作業中だった地域で再び高潮が発生した。
[編集] 吹き寄せ効果
V字型の湾の場合、奥になるほど波が高くなる。これにより、甚大な被害が出ることもある。
[編集] 関連項目
- 潮汐
- 潮位