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高尾山 - Wikipedia

高尾山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

高尾山
高尾山
標高 599 m
位置 北緯35度37分19.1秒
東経139度14分48.5秒
所在地 東京都八王子市
山系 -
種類 -
初登頂 -
  
景信山から見た高尾山(右手前は小仏城山)
景信山から見た高尾山(右手前は小仏城山
山頂
山頂
山頂にあるプレート(2006年12月10日 山頂にて撮影)
山頂にあるプレート(2006年12月10日 山頂にて撮影)
金比羅台からの風景
金比羅台からの風景
高尾山東稜稲荷山からの風景
高尾山東稜稲荷山からの風景

高尾山(たかおさん)は東京都八王子市にある標高599mの山である。

目次

[編集] 概要

関東山地の東縁に位置する山のひとつ。明治の森高尾国定公園に指定されており、キャンプやバーベキュー等、また、植物の採取、鳥類の捕獲も禁止されている。

中腹には薬王院、山頂には展望台や高尾ビジターセンターがある。東海自然歩道の起点である。

暖温帯系の照葉樹林帯(カシなどの常緑広葉樹)と冷温帯系の落葉広葉樹林(ブナ・イヌブナ・ナラホオノキなど)・中間温帯林(モミツガなどの針葉樹林)の境界に位置するため植生が豊かであり、しかも都市部に近い割には比較的よく保たれている。高尾山は、東京近郊の行楽地として有名であるが、元来は修験道の霊場であり、現在は真言宗智山派大本山高尾山薬王院有喜寺の寺域となっている。そのため、天然の森林が守られてきた。中世には、八王子城北条氏照による「本山の竹木の伐採を禁じる」という制札が薬王院に残されており、江戸時代にも幕府直轄領となり八王子代官・大久保長安が山林保護政策をとり、その書状が同じく薬王院に残されている。その後も帝室御料林、国有林と常に保護されてきた。

東京都心部に近いため、明治以降、牧野富太郎をはじめ、多くの研究者により高尾山が最初の発見地として新しい植物が発表された。

日本百景に選定されている。また、2007年には、ミシュランガイドで、最高ランクの“三つ星”の観光地に選出されている[1]

[編集] 交通

高尾山へは京王電鉄高尾線もしくはJR中央線を利用するのが便利である。

その後、高尾山ケーブルカー、あるいはリフトで中腹まで登ることができる。


[編集] 登山路

山頂へは登山路(自然研究路など)が整備されており、各種ルートを組み合わせて快適な低山登山が楽しめる。なお、高尾山の標高は低いが、登山口の標高も低いため、標高差は小さくはない。総じて山頂までの所要時間は、全行程徒歩で1時間~2時間程度である。

[編集] 1号路(表参道)

東海自然歩道にもなっている標準的な登山ルート。リフト乗り場の北側を進み、山頂駅、薬王院、高尾山山頂に至るルート。途中に展望台の金比羅台がある。夕方、リフト、ケーブルカーの営業時間が終了した場合には、このルートを使って下山することとなる。ルートはほぼ石畳舗装されており、土に触れあいながらハイキングするようなルートではなく、車での資材運搬などにも使われるルートである。ケーブルカー山頂駅までの傾斜はきついが、その後は薬王院などを観て歩くことができる。

[編集] 2号路

ケーブルカーの山頂駅からサル山の南麓、神変堂、浄心門を経て山頂駅へ戻るルート。

[編集] 3号路

神変堂の南側から薬王院の南側斜面をたどり山頂へ至るルート。薬王院そのものは経由しない。終盤、尾根を直登する厳しい箇所がある。南斜面であるため、周囲は暖温帯の照葉樹林が中心だが、山頂近くではモミの密生する中間温帯林となる。

[編集] 4号路

3号路とは反対側に薬王院の北側斜面をたどり山頂へ至るルート。薬王院そのものは経由しない。途中に吊り橋がある。高尾山は、照葉樹林と落葉広葉樹林・中間温帯林の交じり合う場所であり、このルートは、イヌブナを中心とした冷温帯やモミなどの中間温帯の森林植生が見られるルート。なお、このルートは土がむき出しになって滑りやすい箇所がある。

[編集] 5号路

高尾山山頂直下を周回するルート。

[編集] 6号路

途中に琵琶滝を経由するので琵琶滝ルートと呼んでいる。沢沿いを歩くので夏、暑いときに最適なルート。ケーブルカー山麓駅南側の道路をそのまま進んで行き、保養院の手前を左に入る。序盤はラクだが、山頂直下は急な階段を登るきついルートとなっている。途中に沢の中を飛び石づたいに登る箇所があるが、この飛び石の部分がわかりにくく、道なりに歩いてしまうと稲荷山コースに合流してしまう。ただ、このまま稲荷山コースを登って、最後の階段を避け、回り道するコース(稲荷山コースの項参照)が一番楽である。なお、このルートは琵琶滝を右に眺めながら進んでいくが、琵琶滝から右手に尾根をあがっていくルートがあり、途中3号路と合わせ、ケーブルカー山頂駅のあたりで1号路と合わさる。琵琶滝では有料で滝修行が体験できる。

[編集] 稲荷山コース

ケーブルカー山麓駅南側を流れる小川を渡る橋から取り付くルート。高尾山の南側に伸びる稲荷山の尾根筋を歩くため、尾根の取り付き部だけ少しきつめの登りがあるが、途中標高400m付近の「あずまや」を過ぎると緩やかな登りになる。あずまやのある場所は、冬の天気が良い時期なら筑波山まで遠望できる良い展望台となっている。あずまやから先はあまりきつい箇所もないが、山頂直下には230余段の階段が待ち構えている。階段下右手に続く道(5号路の一部)が6号路と3号路を併せた道につながり、山頂へと続くので、階段を登りたくない場合は、こちらの方が少し楽。階段下左に入る道は、高尾山周回コースの5号路で、こちらは、城山方向への迂回路になっている(裏側から高尾山頂に上る道もあるが、やはり階段できつい)。稲荷山コースは、高尾山に登る道の中では一番ハイキングコースというのにふさわしい道である。ケーブルカーで登って、下りにこのルートを使う人が多く、ガイドブックにも「下りに適した道」と書かれたりしているが、土がむき出しになって滑りやすい部分が何箇所かあり、また、最後には、きつい下り坂が続く。

[編集] その他

JR高尾駅からバスで蛇滝口まで行き(歩いても30分くらい)、蛇滝を経てケーブルカー山頂駅付近に至る蛇滝ルート、小仏のバス停から小仏峠、小仏城山を経て高尾山山頂へ向かうルート、また陣場山から高尾山山頂へ向かうルートなど、難度や時間設定を組み替えることができるほど良好な歩道が整備されている。

[編集] 高尾山から奥

高尾山から陣馬山奥多摩三頭山になどへ向けて、奥高尾縦走路 - 笹尾根や、東海自然歩道関東ふれあいの道など、尾根筋の登山道が通っている。

[編集] 登山上の注意点

  • 高尾山は植物の宝庫と言われ、様々な植物が見られるが、一部の心無い人たちが、花などを持っていってしまうため、かつてあちこちに自生していた和製ラン(キンランやギンラン、シュンラン、クマガイソウ、アツモリソウエビネ等)は、まったくと言ってよいほど見られなくなった。最近では、植物を持って帰る行為はほとんどなくなったが、逆に園芸植物を植えてしまう行為が増えていて、植生がわからなくなっている。いずれにしても、こうした行為は、後世まで残したい自然を破壊する行為であり、絶対にやめるべきである。
  • 都内では珍しいムササビの生息域である。遊歩道の近くに巣穴を持つ個体もいるので、夕暮れ時から夜間に掛けては騒がないよう注意されたい。
  • 焚き火やキャンプは禁止。
  • 高尾山は現在、2輪車をはじめ、マウンテンバイクなどの自転車も入山が禁止されている。

[編集] 高尾山とブナ

高尾山にはブナ(イヌブナが黒っぽい幹なのでクロブナとも呼ぶのに対して、こちらをシロブナと呼ぶことがある)も見られるが、イヌブナの方が数が多い。ブナに比べ材質が劣るのでイヌブナと呼ばれるが、実はブナと同じように食用になるし、鳥やリスの好物である。ブナと異なり、太い幹の周辺から「ヒコバエ」(幹の根元から生える枝)が多数出るのが特徴。一般に、ブナはより寒冷地に、イヌブナはより温暖地に分布し、高尾山以外の周辺の山にはブナは皆無である。また、現存する高尾山のブナはいずれも樹齢200年を越える大木ばかりで、実生や稚樹、若木などはまったく見られない。このことから、高尾山のブナは、江戸時代中期の寒冷期に分布を広げたものが、現在までわずかに生き残っているものと推測されている。

[編集] 高尾山で最初に発見された植物

  1. アカコミヤマスミレ(スミレ科
  2. アケボノミヤマシキミ(ミカン科
  3. アケボノオオフジイバラ(バラ科
  4. アサカワソウ(イネ科
  5. アズマナシ(バラ科)
  6. イトホロシ(ナス科
  7. ウスゲヌスビトハギ(マメ科
  8. ウスベニアカショウマ(ユキノシタ科
  9. ウスベニニリンソウ(キンポウゲ科
  10. エダウチミゾシダ(オシダ科)
  11. オオツクバネガシ(ブナ科
  12. オオツルウメモドキ(ニシキギ科
  13. オンガタイノデ(オシダ科)
  14. オンガタヒゴタイ(キク科
  15. キイロミミガタテンナンショウ(サトイモ科
  16. キランニシキゴロモ(シソ科
  17. ケタニタデ(アカバナ科
  18. ケヒメカンスゲ(カヤツリグサ科
  19. コボトケスミレ(スミレ科)
  20. サツキヒナノウスツボ(ゴマノハグサ科
  21. シロバナオオジャノヒゲ(ユリ科
  22. シロバナヒナスミレ(スミレ科)
  23. シロバナフクシマシャジン(キキョウ科
  24. シロミノアオキ(ミズキ科
  25. ジンバイカリソウ(メギ科
  26. ジンバホウチャクソウ(ユリ科)
  27. タカオイノデ(オシダ科)
  28. タカオコバノガマズミ(スイカズラ科
  29. タカオシケチシダ(オシダ科)
  30. タカオスゲ(カヤツリグサ科
  31. タカオスミレ(スミレ科)
  32. タカオヒゴタイ(キク科)
  33. タカオフウロ(フウロソウ科
  34. タカオホオズキ(ナス科)
  35. タカオホロシ(ナス科)
  36. タカオヤブマオ(イラクサ科
  37. タカオワニグチソウ(ユリ科)
  38. タルミヤシャブシ(カバノキ科
  39. トガリシオデ(ユリ科)
  40. トラノオジソ(シソ科)
  41. ナガバノアケボノスミレ(スミレ科)
  42. ナガホハナタデ(タデ科
  43. ヒナゲシオカスミレ(スミレ科)
  44. ヒレノブキ(キク科)
  45. フイリイナモリソウ(アカネ科
  46. フイリタマアジサイ(ユキノシタ科)
  47. ベニガクウツギ(ユキノシタ科)
  48. ボウズシラヤマギク(キク科)
  49. ボウズチカラシバ(イネ科)
  50. ホウチャクチゴユリ(ユリ科)
  51. ホシザキイナモリソウ(アカネ科)
  52. ホソバノミミガタテンナンショウ(サトイモ科)
  53. マルバカシワバハグマ(キク科)
  54. ミドリミツバウツギ(ミツバウツギ科
  55. ミヤマクマザサ(イネ科)
  56. ムラサキイチリンソウ(キンポウゲ科)
  57. ムラサキオニシバリ(ジンチョウゲ科
  58. ヤエキツネノカミソリ(ヒガンバナ科
  59. ヤグルマカエデ(カエデ科
  60. ヤブザクラ(バラ科)
  61. ヤマミゾソバ(タデ科)
  62. ヨウラククサアジサイ(ユキノシタ科)
  63. レモンエゴマ(シソ科)

[編集] ナイキ タカオ

ナイキの靴で「タカオ」というものがある。アメリカからナイキの開発者が「ある程度整えられたフィールド」を歩くための靴を開発するために高尾山へやってきたとき、重い頑丈な靴をはいた人ばかりを見た。そのような靴は、急斜面や荒れた路面を重い荷物を背負って歩くために作られたもので、高尾山のような、ゆるい、ある程度整えられた道を歩くのには適していなかった。そこで、頂上までの距離が短い高尾山のようなハイキングコースを歩くために作られたのが、「ナイキ タカオ」である。

[編集] 登山者数

 高尾山は都心から60分の所にあるので、都内からも登山者数が多い。年間の登山者数は250万人を超え、富士山やエベレストを遥かに越えて、世界一の登山者数を誇る。

[編集] 脚注

  1. ^ 高尾山が“ミシュラン”三つ星観光地に - 八王子市

[編集] 外部リンク


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