雪華図説
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雪華図説(せっかずせつ)は、下総国古河藩(現在の茨城県古河市)にて書かれた雪華の観察書である。
[編集] 概要
関東平野のほぼ中心にある古河では、雪国でもないのに、市内至る所に雪華(ゆきはな)紋様が見られる。江戸時代では現在よりも雪が降る日が多かった。雪の結晶が古河でも見ることができた天保年間は、現在にくらべて寒い気象だった。第11代の古河城主であった、土井利位(どいとしつら)は、今(2007年)から170年ほど前、オランダから輸入された顕微鏡を使って雪の結晶を観察した。その観察図と研究を「雪華図説」「続雪華図説」として出版した。日本で最初の雪についての自然科学書として高い評価を得ている。
その観察方法は、「雪華図説」の本文に記されている。おおまかな内容を紹介する。
- 雪が降りそうな夜に、黒地の布を外にさらして冷却する。
- 降ってくる雪を、その布で受ける。
- かたちを崩さないように注意して、ピンセットで取り、黒漆器の中に入れる。
- 吐く息がかからないよう、「蘭鏡」(オランダから渡来した顕微鏡の意味)で観察する。
雪は寒くなければ降らない。そして、結晶がきれいに形作られるのは、相当寒い必要がある。雪の粒が大きい、牡丹雪では結晶を観察できない。マイナス10度位になると、雪の結晶がはなれたままに降って来るので、いい結晶を見ることができる。江戸時代の寒い夜に顕微鏡で観察するのは、かなりの苦労があった。