雇用保険事業
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雇用保険事業(こようほけんじぎょう)とは、雇用保険法にもとづき、雇用保険を財源として行う公共事業のこと。
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[編集] 概要
雇用保険とは通常失業給付を指すことが多いが、一方それを財源として失業対策、失業予防等のための各種事業が行われている。これは雇用保険が労働者からの負担だけでなく事業主も負担しているからであり、事業主からの要望も取り入れ、雇用保険の目的と合致する各種事業を行っている。
雇用保険法で定められている事業は、雇用保険法第3条により「雇用安定事業」及び「能力開発事業」(雇用保険二事業)とされている。かつては、雇用福祉事業も規定されていたが、「雇用保険法等の一部を改正する法律」(平成19年4月23日法律第30号)により廃止された。
[編集] 国家による社会政策
産業革命以降における失業問題は大きな社会問題であり、イギリスにおいては救貧法の伝統にもとづき、労働問題解決のための多くの試行錯誤が行われてきた。
その中できわめて生活の厳しい人の中で希望者を施設に入院させ、公費で救済する政策をとったが、人間として自立できなければ施設の入院者が減らないことが大問題となった。
そのためイギリス政府は、人間としての最低限の生活を国家が保障するナショナル・ミニマムとして、労働者の生活と権利を守るための1833年の工場法成立にも伴い、失業対策として各種事業を行ってきたが、その一連の社会政策が、フランスやドイツをはじめとする世界各国に大きな影響を与えた。
雇用保険事業もそれらの政策の影響が多く見られ、特に労働問題において失業給付等を行う救貧のほか、各種防貧事業を実施することにより失業予防をすることが主な目的となっている。
[編集] 公共の福祉と市民生活の保障
公共の福祉の実現をめざすナショナル・ミニマムは、イギリスの救貧法の伝統にもとづくものであるが、日本国憲法第25条における国民の生存権を保障する「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という条文にも、その影響が強く見られる。公民でもある市民生活を守ることは国家のみならず、都市共同体の基盤である市民自治等を守るという見地からも、近代国家においてきわめて重要な施策の一つである。
[編集] 参考文献
- 宮本盛太郎著 『来日したイギリス人 -ウェッブ夫妻、L・ディキンソン、B・ラッセル-』 木鐸社、1989年
- ビク・ジョージ/ポール・ワイディング著 美馬孝人/白沢久一訳
「イデオロギーと社会福祉」 勁草書房 1989年 - 田中豊治著 『ヴェーバー都市論の射程』 岩波書店 1986年
[編集] 関連項目
- 厚生労働省
- 労働法
- 雇用保険法
- ハローワーク
- 独立行政法人雇用・能力開発機構
- 救貧法
- フェビアン協会
- シドニー・ウェッブ
- ウィリアム・ベバリッジ
- 労働経済学
- 福祉国家論
- 社会保険
- 社会政策
- 社会福祉
- 完全雇用
[編集] 外部リンク
- 雇用保険法(法令データ提供システム)
- 雇用保険法等の一部を改正する法律(平成19年4月23日法律第30号)(衆議院制定法律)