降着円盤
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降着円盤(こうちゃくえんばん、accretion disk)とは、大量のガスや塵などが、ブラックホールや白色矮星のような中心天体からの重力によって落下する際に、天体の周りに形成される円盤のこと。中心天体に近くなるほど角速度が大きくなるような差動回転運動をしている。
一方が中性子星やブラックホールなどの縮退物質から構成されるコンパクトな天体である近接連星において、相手の星からコンパクト星側にガスが流れ込む時、ガスが角運動量を持っているために直接落下せず、ガスがコンパクト星の周りを周回するようにして円環状に降着円盤を形成することがある。
星を取り巻く円盤を構成する物質は、中心天体の重力やガスの粘性による摩擦などによって次第に角運動量を失い、ついには星の表面に落下していくことになる。この過程で物質が持っていた重力エネルギーが解放されて光や熱エネルギーに転換し、降着円盤からは可視光線やX線などの電磁波や数百万度から一兆度に達する摩擦熱が放出される。
また降着円盤フレアや宇宙ジェットといった大規模な現象が観測されることがある。
[編集] M17「オメガ星雲」
2004年5月には、我々の銀河系から約7千光年離れたいて座の散光星雲 M17(オメガ星雲)に、直径およそ20,000天文単位の巨大な降着円盤が発見された。
[編集] 参考文献
- 『降着円盤への招待』(福江純 講談社ブルーバックス)ISBN 4061327178