金属アセチリド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
金属アセチリド〈きんぞくアセチリド、Metal acetylide〉とはアセチレンの水素の一方、あるいは双方を金属で置換した炭化物の一種の総称である。単にアセチリドとも称する。
炭化カルシウム CaC2 をはじめ，炭化ナトリウム Na2C2 または NaC2H、炭化アルミニウム Al2C6、アセチレン銅（銅アセチリド）CuC≡CCu、アセチレン銀（銀アセチリド）AgC≡CAg または RC≡CAg などが代表的な金属アセチリドである。
M2C2型アセチリドはアルカリ金属、銅(I)、銀、金(I)など、 MC2型アセチリドはアルカリ土類金属、亜鉛、希土類元素、ウラン、トリウムなど、 MHC2ないしはMRC2型アセチリドはアルカリ金属、銅(I)、銀、金(I) などで見られる。
アルカリ金属あるいはマグネシウムのアセチリドは加熱化金属に導入すると生成する。安定な場合はI族元素のアセチリドは金属塩のアンモニア水溶液にアセチレンを吹き込むと生成する。I族元素以外の場合は金属酸化物を過剰の炭素と加熱しても生成する。
炭化カルシウム CaC2 は水と反応するとアセチレンを生成するが、二炭化ウランや炭化トリウムは水と反応してアセチレン、メタン、エチレン、水素を同時に発生する。
銅(I)，銀，金(I) のアセチリドは爆発性を持つ。
[編集] 参照文献
- 長倉三郎、他(編)、「アセチリド」、『岩波理化学辞典』、CDROM版 第5版、岩波書店、1998。
- 大滝 仁志、「アセチリド」、『世界大百科事典』、CD-ROM版、平凡社、1998。
