重力単位系
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重力単位系(じゅうりょくたんいけい)とは、基本単位として質量の単位の代わりに重量(力)の単位を含む単位系である。
国際単位系 (SI) やCGS単位系などにおいては、力の単位は質量の単位(キログラム (kg) またはグラム (g))と長さの単位(メートル (m) またはセンチメートル (cm))をかけたものを時間の単位(秒 (s))の 2 乗で割ったもの(SI ならば kg·m/s2)として絶対的に定義される。それに対し、重力単位系では、その地域における重力または標準重力加速度 (9.80665 m/s2, 196133/6096 ft/s2) に基づく重力を力の単位とする。
SI では、重力単位系の単位は採用されておらず、ほとんどの国でも、公式の計量単位からは外されている。しかし、使い慣れている、直感的に理解しやすいなどの理由で今日でも使用され続けている。
重力単位系の力の単位は、単位質量にかかる重力として定義され、その質量の単位名称の前に「重量(じゅうりょう)」をつけるか、後に「重(じゅう)」をつけて単位名称とする。英語では、質量の単位名称の後に -force を付ける。重量グラムには「ポンド」 (pond, 記号:p) の別名がある。単位記号は、質量の単位記号の後に w (weight) か f (force) を付ける。以下に示す換算値は、標準重力加速度によるものである。
- 重量グラム(グラム重、ポンド)
- 1 gf = 1 p = 9.80665 g·m/s2 = 980.665 g·cm/s2 = 980.665 dyn
- 重量キログラム(キログラム重、キロポンド)
- 1 kgf = 1 kp = 9.80665 kg·m/s2 = 9.80665 N
- 重量ポンド(ポンド重)
- 1 lbf = 196133/6096 lb·ft/s2 = 196133/6096 pdl
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[編集] 質量の単位
ヤード・ポンド法(欧州ではヤード・ポンド法でなくフート・ポンド法とは呼んでいる)の重力単位系において、力の単位(重量ポンド)から組立てた質量の単位をスラグ (slug) という。1 スラグは 1 重量ポンドの力によって 1 フィート毎秒毎秒の加速度が生じる質量 (lbf·s2/ft) と定義される。1 スラグは約 32.17405 ポンドである。
メートル法の重力単位系における質量の単位は、上記のスラグの定義をメートル法に置き換えたもの(kgf·s2/m) で、メートルスラグ (metric slug)、mug、TME (独: technische Masseneinheit)と呼ばれる。1 メートルスラグは正確に 9.80665 キログラムである。メートルスラグには hyl という別名もあるが、この名称は CGS 単位系のgf·s2/m (= 9.80665 g) の意味にも用いられる。
[編集] 圧力の単位
力を面積で除すると圧力となる。重量キログラム毎平方センチメートル (kgf/cm2) には工学気圧 (at) という単位名称がある。
- 1 at
- = 1 kgf/cm² = 10 000 × gn kg/m² = 98 066.5 kg/(m·s²) = 98.066 5 kPa
[編集] エネルギーの単位
力に長さをかけるとエネルギーとなる。重力単位系のエネルギーの単位に固有の名称がつけられていないが、英語圏では、キロポンド(重量キログラム)にメートルをかけた単位 (kp·m) が、中点を入れずに kpm と書かれることがある。
- 1 kpm
- = 1 kgf·m = gn kg·m = 9.806 65 kg·m²/s² = 9.806 65 J
[編集] 仕事率(工率)の単位
単位時間あたりのエネルギーの消費あるいは別の形態のエネルギーに変換する仕事を仕事率、工率と称する。
19世紀のフランスでは、ポンスレ (poncelet, 記号: pq) という仕事率の単位が使用されていた。1 ポンスレは、1 キンタル (= 100 kg) の質量のものを 1 メートル毎秒の速度で垂直に持ち上げる仕事率と定義される。仏馬力 (PS) は、その 3/4 である。
- 1 pq
- = 100 kgf·m/s = 100 × gn kg·m/s = 980.665 kg·m²/s³ = 0.980 665 kW
- 1 PS
- = 3/4 pq = 75 kgf·m/s = 75 × gn kg·m/s = 735.498 75 kg·m²/s³ = 0.735 498 75 kW