配線用差込接続器
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配線用差込接続器(はいせんようさしこみせつぞくき)とは、差込プラグとプラグ受けで構成され、差込プラグをプラグ受けに抜き差しすることによって、配線とコード又はコード相互間の電気的接続および(又は)断路を随時容易にできるようにした接続器(JIS C 8303-1993)。差込プラグ、コンセント、コードコネクタボディ、マルチタップに分けられる。 定格電圧100Vから300V、定格電流50A以下、2極から5極のものは、電気用品安全法適用品である。
電安法では、電気用品の技術上の基準を定める省令 別表第四6などに規定があり、JISでは、JIS C 8303などに規定がある。IECではIEC 60884など。[1]
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[編集] プラグ
プラグ(差込プラグ)とは、導体となる刃と、絶縁物で覆ったコードなどとの接続部などから構成され、これを手にもってプラグ受けと抜き差しするもの。
[編集] コンセント
コンセントとは、電源などを供給するために、家電製品などの電気器具のプラグを接続する差し込み口 (プラグ受け) のうち、造営材、機器などに固定できるものこと。一般には壁面や床面などに設けられる。英語の名称でエレクトリカル・アウトレット (electrical outlet)、または単にアウトレットと言うこともある。また業種によってはレセプタクル アウトレットと言うこともある (但し英語の receptacle outlet はもうあまり使われることがない古い表現)。
日本ではコンセントまたは電源コンセントという名称が一般的だが、これはいわゆる和製英語で、concentric plug(同心のプラグ)を略したものである。大正末期には差し込み口とコードの先の組み合わせを「コンセントプラグ」と称したが、東京電燈(現・東京電力)に勤めていた小林勲が、同社の電気工事規程である内線規定を起草する際それぞれを「コンセント」と「プラグ」とに分けて称したことから、もっぱら差し込み口を「コンセント」というようになった。
[編集] コネクタボディ
コネクタボディ(コードコネクタボディ)とは、プラグ受けのうち、コードなどの延長用で、固定しないで使用するもの。
[編集] マルチタップ
マルチタップとは、プラグ受けのうち、二口以上の刃受、コードなどとの接続部、電源用差込刃などから構成されるもので、一つのコンセント又はコードから二つ以上の分岐接続ができるもので、固定しないで使用するもの。
卓上などにおいて使用するものをテーブルタップ、コードで吊り下げて使用する目的のものをペンダント形マルチタップ、電源用刃を持つものを差込式マルチタップ(三角タップなど。)という。
詳しくはテーブルタップを参照。
[編集] 形状
国によって形状は異なっており、日本の一般家庭やオフィスなどに引き込まれている、単相交流100ボルト用のものでは、細長い差し込み口が2つのものが主流で、左側の差し込み口の方が少しだけ長くなっている(左側が9mm、右側が7mm)。少し長くなっているほうが接地側となるのが正しい接続法である(JIS C 8303 2極コンセント 15A125V)。しかし逆に差しても位相が反転するだけなので、通常使用では意識する必要はない。
また、2つの差し込み口の下に、接地極用の丸い差し込み口を設けている接地極付コンセント(アース付差し込み口、アース付コンセントともいうが、接地端子付コンセントと混同されることがある)がある(JIS C 8303 2極接地極付コンセント 15A125V)。計3つの穴が開いたもののことで、3芯または3穴 (けつ) ともいわれる。なお、コンセントのオス (プラグ) 側がアース付コンセントで、メス (ジャック) 側が通常のコンセントの場合はアース端子が邪魔になり差すことができない。この場合は変換アダプタが必要となる。
動力用の三相3線式200V用には、接地極用を含めて4つの差し込み口を持つものもある(JIS C 8303 3極接地極付コンセント 15A250Vなど)。
アース端子は日本国内で正しく施工されている場合はD種接地(100Ω以下)に接続される。
[編集] 豆知識
外国への旅行などで、普段使っている電気製品を現地で使用する場合には、プラグの形状の違いや、電圧の違いを吸収するための変換器(英語版記事)が必要になる(参照en:List of countries with mains power plugs, voltages and frequencies)。 ノートパソコンの電源アダプタや充電式シェーバーなど一部の製品では、日本で使用されている100ボルトから、東南アジアやヨーロッパなどで使われている240ボルトまでの幅広い電圧に対応しているものがあり、それらの場合はプラグ形状のみを変換する安価な変換プラグを購入するだけでよいが、100ボルトにしか対応していない機器を使用する場合は電圧を下げるために変圧器(トランス)が必要になる。100ボルト専用機器と安価な変換プラグの組み合わせで使用してしまい機器を故障させるトラブルが後を絶たないため、国外に持ち出して使用することが想定される機器については240ボルトまで対応できる機器が増えてきている。
[編集] 種類
JIS C 8303-1993に規定されているものは以下の通り
- 抜止形
- 引掛形
- 露出形 : 差し込み口の無かった部屋に新たに差し込み口を設ける場合、壁内部に隠蔽するには一時的に壁を撤去し配線の後に壁を復旧する必要があり時間と費用がかさむが、安価に差し込み口を必要とする際には電気配線及び器具を壁面に露出してステップル、若しくはモール等で壁面に固定する形態をいう。
- 埋込形 : 新築の建物ではあらかじめ差し込み口を必要とする位置や個数、型式などを設計段階で検討し、配置計画を行なう。この際、美観上や保守、耐用年数等の観点から壁面内に電線用の配管や配線を行ない器具を壁面と同一面に取りつけ、器具が露わにならない形態をいう。
- 連用形 : いわゆる連用枠に取り付けられるもの。
- 線ぴ用 : 屋内配線用合成樹脂線ぴにはめ込み固着できるコンセントのこと。
- 防水形 : 屋外で雨水などがかかる場所で使用できる構造のもの。以下の二つに分かれる。
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- 防浸形
- 防雨形
- 普通型 : 防水型に対するもの。屋内形。
- 扉付 : 刃受穴を自動的に遮蔽できる扉を持つもの
- パイロットランプ付
- アースターミナル付 : 接地線接続端子(接地用端子)を持つもの。接地極付という意味ではない。
- 栓刃可動形
それ以外の区別
- 漏電遮断器付 : 差込接続式漏電遮断器として、JIS C 8371 漏電遮断器で規定されている。
- タイマー付 : 特殊用途品としてJIS C 8303-1993では規定されていない。
[編集] 類似するもの
- シーリングローゼット : 天井に取り付けて照明器具の電源を接続し、主として照明器具を吊り下げるもの。JIS C 8310で規定。
- ライティングダクト: JIS C 8366で規定。
- 電気器具用差込接続器(英語版記事) : 電気器具と器具コードを接続するもの。JIS C 8358などで規定。[2]
[編集] 接地極付コンセントの施設
- 電気洗濯機、衣類乾燥機、レンジ、電気冷蔵庫、食器洗い機、冷暖房機(冷房機)、温水洗浄式便座、電気温水器、自動販売機に使われるコンセントは接地極付コンセント(接地用端子付が望ましい)とすることとなっている。
- 住宅に施設する200V用コンセントは接地極付コンセントとすることとなっている。
- 屋側の雨線外または屋外、台所、厨房、洗面所、便所に施設するコンセントは接地極付コンセント(接地用端子付が望ましい)とすることが勧告されている。
- 住宅以外に施設する200V用コンセント、医療器具用のコンセント、単相3線式分岐回路に用いる100/200V併用コンセントは接地極付コンセントとすることが勧告されている。
- その他一般に、住宅に施設するコンセントは接地極付コンセントとすることが推奨されている。
- (内線規程3202-3の2005年改訂による)。
[編集] 演出空間で用いられる差込接続器
劇場等演出空間電気設備指針、演出空間仮設電気設備指針では、安全性確保の観点から、接地極付の配線用差込接続器を使うよう定められている。 したがって、1999年以降に建設、改修された設備については、すべて接地極付のものが使われていることになっている。
施設、業者によっては、これまでの2極のコネクタを接地極付のものに取り替えただけで、接地線を配線していない例もあり、注意が必要である。
- JIS C8303-1993(配線用差込接続器)に規定されているもの
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- 2極15A125V
- 2極接地極付15A125V
- いわゆる平行プラグ・コンセント。ごく小規模な施設で使用されている。大規模設備で使用するものでも、エフェクトマシンのモータ電源、カラーチェンジャの電源等に用いられる。汎用品のため、コストが安い。
- コンセント/コードコネクタボディには抜止形が用いられることが多い。
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- 2極引掛形15A125V
- 2極接地極付引掛形15A125V
- 2極引掛形20A125V
- 通称はツイスト、ツイストロック
- 分割型のアッパーホリゾントライトなどの固定設備にもっぱら用いられる。
- 20Aのものについては、改修で後述のC型20Aに取り替えられることが多い。
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- 3極接地極付引掛形20A250V
- 三相3線用であり、舞台機構用の動力電源として用いられることが多い。
- 通称はこれも、ツイスト、ツイストロック
- JIS C8303-1983に規定されているもの(廃止規格)
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- 2極20A250V
- 自主規格/民間規格
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- A型 2極30A125V
- A型 2極60A125V(通称ラージA)
- 旧規格。接地極を持たない、逆差しが可能であるため極性が一定しない、電圧側電線が先に接続される可能性があるなどの問題があるため、C型の規格が策定された。
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- C型 2極接地極付20A125V(JATET-L-3030-2 演出空間専用差込接続器C型20A)
- 20A125V 2極引掛形、20A125/250V 2極(T型)のうち100V系を置き換える規格。
- コンセントの外径を、これらと同一にしており、容易に交換できるよう配慮されている。
- 通称ミニC、20C
- C型 2極接地極付30A125V(JATET-L-5040-2 演出空間専用差込接続器C型30A)
- A型 2極30A125Vの代替規格。
- 通称はC型であるが、20A,60Aと区別する必要がある場合、特に30Cということがある。
- C型 2極接地極付60A125V(JATET-L-5050-2 演出空間専用差込接続器C型60A)
- A型 2極60A125Vの代替規格。
- 通称ラージC、60C
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- C型シリーズの特色として、接地極を持ち、逆差しができなくなったほかに、コンセント、コネクタの電圧側極に接点機構が設けられ、必ず電圧側が後に接続されるようになっている点がある。
- C型プラグをA型コンセント、コネクタに差すことはできるが、若干隙間ができるため避けたほうがよい。
- また、JATET規格になる以前の旧規格のC型は、現規格のものと組み合わせたときに、若干隙間ができることがあるので注意が必要である。
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- D型 2極20A250V接地極付(JATET-L-6060-2 演出空間専用差込接続器D型20A)
- 20A125/250V 2極(T型)のうち200V系を置き換える規格。
- コンセントの外径を同一にしており、容易に交換できるよう配慮されている。
- 単相3線100/200Vの200Vを使用することが前提になっており、L1,L2,EのうちL1,L2の双方に接点機構が設けられている。
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- C型 4極100A250V
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- AD型 2極接地極付100A125V
- C型をそのまま拡大した形状。10kWソーラーなどで用いられている。
- 日本国外の規格/国際規格
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- CEEform(IEC 60309-1/2、英語版記事)
- 多極接続器。日本国内の照明機材ではあまり見られないが、ヨーロッパ発のツアー機材ではよく見られる。ロック機能がついているのが特徴(JATET規格等では、あえてロック機能をつけていない。ただし、初期のC型にはロック機能付のものが存在した)。
- 演出空間仮設電気設備指針では、照明系統との誤接続を防止するため、音響系統用として挙げられている。しかし、実際はC型を用いることが多い。
- 通称もそのまま、シーフォーム
- カムロック/カムタイプ(英語版記事)(UL498)
- 単極接続器。300A、400Aのものが主に電源配線に用いられる。
- パワーリンク・パワーロック(IEC 60309-1)
- 単極接続器。400Aのものが主に電源配線に用いられる。日本国内の照明機材ではあまり見られないが、ヨーロッパ発のツアー機材ではよく見られる。
- 演出空間仮設電気設備指針では、照明系統との誤接続を防止するため、音響系統電源配線用として挙げられている。しかし、実際はカムロックを用いることも多い。
- ソカペックス(19pinマルチコネクタ)(UL1977:コネクタ規格、USITT RP-1:ピンアサイン)
- 19極25Aのものが(2P+E)×6として、6回路のマルチコネクタに使われている。
- 通称はソカペ。
- MSコネクタ(MIL-C-5015)
- 26極13Aのものが6P×4+E×2として、54極13Aのものが6P×8+E×6として、マルチコネクタに使われている。主に舞台機構でチェーンホイストの4台、8台駆動に用いる。アナログ(パラレル)調光信号用にも使われる。。
- 3極接地極付引掛形 20A480V
- 三相3線用であり、舞台機構用の動力電源として用いられることが多い。
- 通称はこれも、ツイスト、ツイストロック
[編集] 脚注
- ^ 規定・規格一覧
- 法令
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- 電気用品の技術上の基準を定める省令 別表第四6
- 電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準について 別紙24(IEC-J60309-1)、154~159(IEC-J60884)
- JIS
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- JIS C 8303 配線用差込接続器
- JIS T 1021 医用差込接続器
- JIS C 4501 防爆形差込接続器(炭坑用)
- JIS F 8836 船用防水形プラグ及びソケットアウトレット通則(IEC 60309-1と同等ではないが、JIS C 8285-1で省かれた定格電圧の色による識別がこちらにはある)
- JIS F 8838 船用防水形プラグ及びソケットアウトレットボックス(IEC 60309-2と同等ではないとされる)
- 翻訳JIS/IEC
-
- JIS C 8282シリーズ(IEC 60884シリーズ、ただし-2-11は対応するIECなし) 家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント
- JIS C 8285-1(IEC 60309-1) 工業用プラグ、コンセント及びカプラー-第1部:通則
- IEC 60309-2 Plugs, socket-outlets and couplers for industrial purposes - Part 2: Dimensional interchangeability requirements for pin and contact-tube accessories
- 日本配線器具工業会規格
-
- JWDS 0022 差込接続器の定格と極配置
- JWDS 0031 小型2極接地極付30A250V極配置(IH調理器用)
- ^ 電気器具用差込接続器に関する規格
- 法令
-
- 電気用品の技術上の基準を定める省令 別表第四6
- 電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準について 別紙25(IEC-J60320-1)、別紙26(IEC-J60320-2-1)
- JIS
-
- JIS C 8358 電気器具用差込接続器
- 翻訳JIS/IEC
-
- JIS C 8283-1(IEC 60320-1) 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ―第1部:通則
- JIS C 8283-2-1(IEC 60320-2-1) 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ-第2-1部:ミシン用カプラ
- IEC 60320-2-2 Appliance couplers for household and similar general purposes - Part 2-2: Interconnection couplers for household and similar equipment
- IEC 60320-2-3 Appliance couplers for household and similar general purposes - Part 2-3: Appliance couplers with a degree of protection higher than IPX0
- IEC 60320-2-4 Appliance couplers for household and similar general purposes - Part 2-4: Couplers dependent on appliance weight for engagement
[編集] 関連項目
- 商用電源
- 配電
- 単相3線式
- 三相3線式
- トラッキング現象
- テーブルタップ
- en:Industrial and multiphase power plugs and sockets - IEC 60309-1/2関連、この記事自体の範囲としても、こちらも含まれる。
- en:NEMA connector - JIS 2P15A125V関連、3極接地極付引掛形。
[編集] 外部リンク